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『異世界議員はつらいよ』  作者: カリア
第2部《改革の壁編〜副魔王省と予算バトル〜》
12/23

第2話「副魔王省の罠!焼きそば券は不滅です」

──数時間後、俺たちは副魔王省の会議室で地獄のような光景を目撃していた。


「なにこれ……」


俺の手元には分厚い資料。

タイトルは──


【第137回 焼きそば券政策活性化推進事業 概要書】


リエルがさらっと説明した。


「はい♡ 焼きそば券は“地域活性化”という名目で、現行予算の三割が振り分けられております♡」


「まさか焼きそば券がまだ現役とは……選挙で滅ぼしたはずなのに!」


「いえ、“選挙戦用焼きそば券”は禁止しましたが、“地域振興用焼きそば券”は継続中ですわ♡」


「名目の付け替えかよおおおおおおお!!!」



クラリスが腕を組んで冷静に指摘する。


「この“地域振興焼きそば券”、用途の9割が“省庁関係者向け茶会”と“謎の交流イベント”ね」


「不正じゃん!!」


「いえ♡“合法”です♡」


リエルの笑顔が今日も腹立たしい。



ミャウルが静かに一言詠んだ。


「券あれど

胃袋満たし

心カラ」


「句の語感のわりに現実が重い!!」



そこへ、副魔王省総務調整局長・カゲカツ=クロガネが仁王立ちで現れた。


「残業ゼロ補助金? 子育て支援?

──甘い!! 甘すぎる!!」


「じゃあお前らは焼きそば券で国民幸せにしてんのか!?」


カゲカツがバン!と机を叩くと、焼きそばの香りが充満した。


「幸福度ランキング最新データ──“焼きそば満足度”のみ急上昇中だ!!」


「国民満足度の指標、そこだけかよ!?」



だが俺は折れない。


「よし、こっちも“帰宅応援ポイント”で勝負してやる!!」


リエルが小さくささやく。


「ちなみに“帰宅ポイント”予算案は副魔王省が“夕飯食べ歩きツアー券”と統合しようとしていますわ♡」


「ふざけるな副魔王省!!!」



だが、この戦いは始まったばかりだ。

議会で勝っただけでは、国は変わらない。

俺たちは今日も“帰宅時間”のために戦う。


ミャウルが一句。


「焼きそば券

霞む夕日と

残業の音」


「ミャウル、俺たち……負けないよな?」


「絶対定時帰宅、達成する」


次回、副魔王省討論第一ラウンド開幕!!



(第2話 了)

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