51 決着!
{青江視点〜}
「・・さお大丈夫か?」
さおの様子を見て、俺はふと不安の声を口にしていた。
だがそれは仕方ない。
なにしろ、さおは囮になると言い、
ダンジョンのボスに一人で立ち向かっていった。
正直、最初は、さおなら大丈夫!
と俺は完全に勝った気になっていた。
だが、さおだって人間だ。
当然やられることだってある。
さおが魔物に吹き飛ばされたとき、
それを実感した。
さおは学園一の強さを持つヤマトも、
その後に出てきたゴーレムも、俺たちが苦労して倒してた、
ファイヤーウルフもなんのことないように、倒していった。
だから、さおが押されている、あの魔物が怖い。
いつも、さおがなんとかしていたからこそ、
俺たちであの魔物を本当に倒せるのか。
そういう疑問が何度もよぎる。
今はさおの魔法でなんとかなっているが、
もうすぐその魔法も解けそうに見える。
今のさおには、もう一度、魔物を閉じ込めるあの魔法を使う力は無いだろう。
魔法が解ければ、だいぶ不利になり最悪全滅するかもしれない。
そういう、いつもでは考えもしない、
弱気なことばかり考えてしまう。
だが、そんな俺にホシは明るく言った。
「全く!そんな暗い顔して!青江らしくないよ!
それに、さおなら大丈夫だよ!
青江と違って、さおはここまでくるくらいの
エネルギーは残してあるだろうし!」
一見明るく見える、ホシだが、その手は震えていた。
!そうだよ!怖いのは俺だけじゃ無い!
さおもホシもカイもみんな、本当はあの魔物が怖いんだ!
でも、だからこそ、今は弱気になっていられない!
さおがせっかく作ってくれた時間だ!
今のうちに倒さないと!
そして、俺たちは前に進む!
こんなところで立ち止まっていられない!
「ホシ!カイ!あの魔物倒すぞ!」
俺は気合いを入れて、二人にそう言った。
いつもなら、嫌そうな顔をする二人だが、
今回はなんだか嬉しそうだ。
「で、どうやって倒すの?」
「う!それは・・決めてない。」
俺の言葉にホシは呆れていた。
「うーん、あの魔物、普通の攻撃では、倒せなさそうですね。
せっかく、さおさんが時間を稼いでいますし、
青江さんが前言っていたことをやってみませんか?」
俺たちの会話を聞いていたカイがそんな事を言った。
前の、魔力を一箇所に集めて放つ、俺が思いついた技だ。
正直、上手くいく保証はない。
だけど、カイの言った通り、普通の攻撃は通らない気がする。
それなら、やってみるしかない!
だけど、俺の魔力量だと、あの魔物は倒せないかもしれない。
あれを使う訳にはいかないし。
「うーんでも、青江の魔力だけでは倒せないかもね。」
ホシも俺と同じ意見のようだ。
なんか、ないかな。あの魔物を倒す方法。
あ!そうだ!
「全員の魔力を使えばいいんじゃないか!」
そう!俺一人の魔力じゃ全然足りないけど、
ホシとカイの魔力も使えば倒せる。
「うーん、確かに授業で、やり方は習ったけど、
全員の魔力が無くなるのは危険だよ!
魔力がなくなれば、体力もなくなってく。
全員動けなくなったら終わりだよ。」
・・・・そんなの授業でやったけ?
ホシの危険だということよりも、
俺には、授業で習ったという事が衝撃だった。
いやいや!今はそんな事はいい!
それよりも!
「大丈夫!俺運いいから!」
「・・はあ、わかった。
どうせ青江は魔力を分ける方法聞いてないだろうから、
私とカイの二人で、青江に魔力を送るよ。」
失礼だな!まるで俺が授業をちゃんと聞かない奴みたいじゃないか!
確かにわからないけど!
決して授業中に居眠りをしている訳ではない!
やっていても、2日に一回だ!
そんなくだらない事を考えている間に、
ホシとカイが俺の背中に手を置いていた。
「んじゃ!私の魔力思う存分持っていきな!」
「僕は魔力そんなに持っていませんが、
それでよければ使ってください!」
その二人の言葉のあと、俺に魔力がものすごく流れてきた。
よし!俺もやるか!
そう思い、俺は一点に魔力を集中させた。
「ふぅー」
俺は少しずつ魔力の球を大きくさせていき、
ほぼ全ての、魔力を使いきった。
くっ体が重い。魔力も体力も残りわずかだな。
俺は力を振り絞ってさおに叫んだ。
「おーい!さお!その魔物倒すから、少し離れてくれ!」
「!」
さおは状況を理解したのか、
すぐさま走っていった。
だが、走って体力が減り、
魔物を封じていた、魔法が解けてしまった。
魔物はさおを攻撃しようとしているが、
もう遅い!あんだけ離れた場所にいたら、
さおに被害はでないだろう!
俺はみんなの位置を確認して、
俺たちの魔力の塊を魔物に放った。
その魔力はものすごいスピードで飛んでいき、
魔物に直撃した。
ふぅ、あ!みんなは!
そう思い、みんなを探していると、
後ろから声をかけられた。
「すごいじゃん!ぶっつけ本番で成功させるなんて!」
「え!あれ、初めてつかったの!」
振り返ると、みんながポーションを飲みながら、立っていた。
っ!
俺は魔物を倒した事とみんなが無事な事が嬉しくなり、みんなに飛びかかった。
「うわ!ちょっと青江、まだ回復しきって無いんだけど!?」
その後、俺はあの魔物がCランクの鬼だと、初めてしった。




