プロローグ
「なあ、あのゲームどんくらいいった?」
「俺まだレベル39」
「遅www。いたっ!」
あ、やべぶつかった。
「ごめ」
「チッ気をつけろよ、、、なあどうやったら強くなれんだ?」
「ああ、おすすめの周回があってな」
(……ぶつかってきたのはそっちだろ。なんで俺の注意不足みたいになってんだよ。
せめて謝らせろよ。)
そう心の中で愚痴を吐きながら廊下を歩く。
ガラガラガラ
教室に入り友達の席に行く。
「おっ!よう陰野!今日は一段と存在感薄いなww.お前この前カラオケ俺らと行ったときで5名で予約したのに4名様と思われて予約時間過ぎた時は流石に爆笑したぜwww」
「うるさいなぁ」
「まあまあそんな怒るなよ(笑)ところで今度、、、、、だよな!、、、、
朝の時間が過ぎていく
ホームルーム
「陰野隅夫!」
「あ、、はい!」
「ん?あれ?隅夫?」
「あの..先生。います」
「ああwすまんすまん」
(...お前わざとだろ。ふざけんなよ。時間返せよ。)
クラスのあちこちからクスクスと笑い声が起こる。嫌われてるわけでは無いと思うが何かモヤッとする。
そして時間が過ぎ
帰り道
(はぁ。体育の授業ではペアがいないことにすら気づいてもらえなかった。)
そう思いながら廃工場の近くを通る。
ここら辺は昔からヤンキーやら不良やらが溜まり場にしているためあまり通りたくないが近道なので
よく使っている。
(ん?何か騒がしいな。)
そう思いながら歩く。
陰野は好奇心に負け少し寄ってみることにした。
なにやら反社のような勢力が言い合っている。
「おいおいおいふざけんじゃねえぞ?おめえらなに喧嘩売ってんだよ。あんまうちの組織イモムシ4世を
バカにすんじゃねえよ。痛い目見せたろかぁ?」
「お前らこそうちのハムスターboysを舐めてんじゃねえぞ。」
(いや組の名前ダサ。ちょっとかわいい)
「やってやんよぉ!オラァ!」
パァン
(え?!!!!)
イモムシ4世の放った弾丸がハムスターboysの一員を貫く
「うぐっ!」
ハムスターboysの一員は血の流れる腹を押さえながら倒れ込んだ。
そのうめき声を合図に一斉に全員が抗争を始めた。銃の音、悲鳴、血の流れる音、勝ち誇った声など
大量の情報が陰野を襲った。
(え?銃?血?これは夢か?そうだよな。目の前で人が死ぬわけない。)
しかし陰野は警察に通報することも逃げることも許されなかった。
グサッ。ドロドロ
なぜなら誰かの放った弾丸が陰野を貫いたからだ。
(痛い痛い痛い痛い)
陰野が割れた水風船のように流れ出す血を見ながら徐々に体のの感覚がなくなるのを感じた。
「誰か!助けっガハァ!」
その叫びは誰にも聞こえなかった。もちろん陰野の死にゆく姿を気にする人などいなかった。
それは陰野の単純な存在感のなさである。
(いつもこうだ、、。)
陰野は小さい頃から存在感がなかった。誰かに認めさせるため頑張ってもそれを上回る者
が出てくる。どれだけ声を上げても気付いてもらえず、どれだか頑張っても認めてもらえず、
彼は自分は道ばたに生えてる雑草のように誰にも気づかれずに生きていくのだと思っていた。
だがこの時から変わり始めた。
ピーポーピーポー
救急車のサイレンが鳴り響く
(、、助かった!救急車が来てくれた!)
陰野は安心した。だが同時に疑問も覚えた
(誰が呼んでくれたんだ?警察はなぜいないんだ?)
だが瀕死の陰野にはどうでもいいことだった。救急車に乗せられたところで
意識はなくなった。