表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/82

8 私の女神様@甘井苺

今日は入学式です


私、甘井苺は緊張していました


なにせ新入生代表としてあいさつをしなければならないのです




大勢の前で挨拶をするのを想像しただけで眩暈がしてきました


なぜ自分が挨拶をしなければならないのだろうか?


盛大に文句を言いたいです




ここはセレブの学校です


大勢の前で挨拶できる生徒なら掃いて捨てるほどいることでしょう


なのに入学試験で一番だったという理由で挨拶させるのは間違っています




一番寄付している人が挨拶すべきだと思います


大声で言いたいです


いえ、言えませんけど








大勢の前での挨拶さらしものを終えた時、私は思いました


人生いきているって素晴らしい




いや真面目な話です


これは実際にやった人間しか判らないと思います


小市民に晴れ舞台は必要がありません


モブで十分なのですよ


いやマジメな話です





新入生挨拶くぎょうが終わったので私気分は晴れ晴れです


そこでようやくこの学校に入学した目的を思い出しました




家の洋菓子店を立て直す、です




私の家は昔ながらの個人経営の洋菓子店です


自宅の一階が店で二階が住居です


アーケードがある商店街にあります


昭和の香りがプンプンですね


いや実際は近所の肉屋のコロッケを揚げる匂いなんですけどね





コンビニでのケーキ販売などもあり私の家の経営は厳しです


ああ、最近では冷凍ケーキというのもありましたね


前者は写真映えする上に美味しいので大人気


後者は冷凍庫から出しておくと3時間後には美味しく食べられる


どちらも仕事勤めの女性には必須アイテムと化しています


『一日仕事をして頑張ったわたしへの御褒美』というやつです


おかげでウチは大打撃ですよ




大企業の前に個人商店はなすすべもなく駆逐される運命なのです


私はパティシエールでを目指していますが、先に家業が潰れそうです





でもそんな理不尽は受け入れません


無駄かもしれませんがあがいてみせます


まあそれでダメなら諦めもつくというものです


いや失敗なんて嫌ですけどね





家業の建て直しのために入った学校です


精一杯頑張ります




まあ、することが決まっているわけではないんですけどね


破滅ルートの回避方法が判っているなら教えて欲しいです





とりあえず目の前の出来ることから始めます


教室に入って隣の人に挨拶しました




「ごきげんよう」


予想外の返事が返ってきました


それが冷泉院さんとの出会いでした





見知らぬ私に対して親切にしてくれました


セレブというのは庶民を見下して高笑いしていそうな印象でした


でもそうではありませんでした




もう神様、女神様、冷泉院様です


なんかうまくいくような気がしてきました






ああ、そういえばなぜ高校に入ると家業が立て直せるかについて話していませんでした


私が入学した高校は


セレブの、セレブによる、セレブのための高校


です





例えるなら


『某ホスト部がある高校』


ですね




あるいは東海地方にある寄宿制の中高一貫校?


海外ならイートンでしょうか?





まあそこになぜか私のような庶民がいるんですけどね


中学まではセレブばかりですが高校になると受験で庶民が入学するんですよ


まあ大抵はスポーツができる人間ですね


国際大会で優勝できるレベルが集められます





最新の練習環境


豊富な資金による海外遠征等の支援


勝ちたいならうちの高校に入れ


そんな噂まであります


まあ各競技の優勝者から入賞者はうちの高校で占められているから噂はホントですよね






そんなセレブの高校になんでいるのか不思議です


いや私が受験したんですけどね




中学の先生に


「甘井は成績が良いから一度試しに受験してみたらどうか」


と言われたんですよ




共和学院はスポーツだけでなく学力が高い人間も優遇しています


模試の上位をすべて独占です


どんだけ人材を集めたら気がすむんでしょうね





私は私立の滑り止めとして受験しました


受験料や入学金がタダといのが嬉しいです


私立は入学しなくてもお金を毟り取るのが普通です


ところがさすがセレブの高校は違いました


太っ腹です


貧乏な私には嬉しいです





・・・もっとも中学の先生からの推薦がないと受験できないんですけどね


絶対に賄賂を貰っていると思います


だって私が合格したら「内緒だぞ」といって回る御寿司を奢ってくれましたよ


絶対に黒ですよね


大人って汚いです






受験の時に校内に入りましたが緊張していたせいでろくに見ていませんでした


おかげで入学式では豪華絢爛な校舎に驚きまくりでした


・・・お金ってあるところにはあるんですね







隣の席の冷泉院さんは優しかったです


女子同士は親しいと『名前+さん』呼びだそうです


セレブの女子限定のルールだから間違っても呼ばないように等々イロイロ教えてくれました





セレブって心までセレブなんですね


感動しました





ああ女神様!


一生ついていきます!


どうぞ苺と呼び捨てにしてください


思わず言った私は悪くない(はず)












・・・あれ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ