72 島津攻撃2
「謝っているんだから許してやれ」
言われた雪子だが、最初は何を言っているのかわからなかった
思わず口元に扇子を持っていっていた
混乱すると普段の行動をするものである
また、動くことで新しい考えを出すというのもある
それを見て言ってきた島津のクラスメイトの毛利
もちろん島津の親戚で国内2位の企業グループの跡取りである
バカすぎて声も出ませんわ
いえ新しいイケニエにして差し上げますわ
それくらいしか存在意義がありませんもの
理事会の息子にはまともな人間はいないのですか?
そう言いたいですわ
「おーほっほっほっ、おかしなことを言われますわ
寄付金を支払わなければ退学なのは常識なのですわ
そんなことも知りませんの?」
雪子は悪役令嬢らしく高笑いした
・・・自動的に発動する悪役令嬢スキルは勘弁して頂きたい、雪子は心底思った
寄付金を支払わなければ退学なんてそんなルールはない
でもそんなことを言えば島津が嘘を言ってきたことになる
しかしあると言えば
「では退学にしてくださる?」
と言うだろう
まあできるわけがないのは判っている
つまりどちらを選択しても破滅は免れない
「「・・・」」
ダメんズはグウの音もなかった
ちまみにズで最初から複数形である
「まあまあ、そんなに怒らずに」
毛利の方が先に再起動した
そしてなあなあで誤魔化そうとした
普通の人間ならばなんとかなっただろう
しかし断念なことに相手をしているのが悪役令嬢なのだ
相手の攻撃ネタをを増やすことにしかならなかった
「退学にするのですか?しないのですか?」
相手の韜晦にも負けない雪子
「まあまあ」
「YESですか?Noですか?」
「そんなに怒らずに冷静になって話し合いましょう」
「YES?」
「可愛い顔が台無しだよ?」
「No?」
「世の中どちらかなんてことはないからね?」
上から目線で宥めてきた
「・・・」
冷たい目線で毛利と島津を見せた後教室を後にした
それを見て買ったと思った島津と毛利
しかしそれが間違いだと判るのは次の日のことだった




