70 水泳編
「水のないブールはタダのハコだな」
どこかの豚のようなことを言ってみた
いやだって、目の前のプールに本当に水がないんだから仕方がない
なんでも理事の島津が冷泉院を怒らせたせいで寄付金が止まったそうだ
国内7位(の島津)が10位(の冷泉院)に負けるなよ
そう言いたい
ここで寄付金の半分近くを冷泉院が出していたことが明るみに出た
それをあえて知らせずに威張っていた島津理事
しかし冷泉院からの寄付金が無くなりそれが明らかになるといろんな所から
「ふざけるな!」
との声が上がった
また島津が没落しても冷泉院からの寄付金の再開は無かった
お金が必要なら島津に頼れば?
冷泉院の当主は許さなかった
当然島津は各方面からの集中砲火に耐えかねて売りはらえるものは売りはらった
島津グループの会社、工場、土地
もちろんそんなのでは足りなかった
なにせ潰れる寸前の会社を買うような所はないからだ
いや性格に言うとあった
外資系の企業だ
一般的に知られていないことだが外国の企業が国内に工場を持つことは不可能であった
会社設立事態が邪魔されるからである
ところが今回、島津関連の会社が売り出された
どんな手を使ってでも手に入れようとする
政府と国内の企業は手を取り合って戦うことになる
いやもうすでに始まっていた
その影響が大きくなると些細なことは後廻しになった
たとえば某私立校の寄付金とか、である
おかげで金がないためプールに水を入れることすらできていない
冷泉院雪子は扇子を片手に
「島津なりその黒幕の2位と4位に責任をとらせればよいのですわ」
そう言って見捨てていた




