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7 苺のお家で女子会ですわ

「ごきげんよう」


わたくしはヒロインに挨拶しましたわ


苺の家の玄関で




ほほほほほっ!


不思議?


訳が判らない?


教えてさしあげてもよろしくてよ?



地面にはいつくばってこんg、ゴホンゴホン


思わず悪役令嬢スキルによる毒舌が発動する所でしたわ(汗)


一体わたくしに何をさせるつもりなのかしら








ごきげんよう


冷泉院雪子ですわ






現在、わたくしはお友達の苺のお家にお呼ばれしていましてよ




おーほほほほほっ!


もうこれで悪役令嬢だなんて言わせませんわ!


だって苺のお家はわたくしが潰すことになっていた洋菓子店なんですの!





え?


関わらないことにしたのでは?


苺は撥ねつけても撥ねつけても突撃してきますのよ?


路線変更ですわ


・・・雑草パワーというのはあなどれませんわ





下手に嫌われると没落ルート一直線でしてよ?


そんな危険なことしませんわ


堅実が一番でしてよ?





拒絶できないのなら身内に取り込めばいいじゃない


昔の王女様が言っていましたわ


まさにその通りですわ





それに腐ってもヒロインでしてよ?


学年一番の人材を逃す手はありませんわ


見事に悪役令嬢を回避できた暁には優秀な手駒にしてさしあげまずわ





さしずめ下僕1号


下剋上ですわ






本来ならば無理難題を吹っ掛けて困らせた上に、裏から手をまわして潰してましたわ


でも今回はそんなことしませんことよ?


円満な人間関係を構築していますわ


そのおかげで今日はお家にお呼ばれですわ!






悪役令嬢を回避するために苦労した甲斐がありましたわ


これでわたくしも普通の人ですわ


おかげさま(?)で苺と呼び捨てですわ




え?


最初から呼び捨て?


心の中で、だけでしたわよ?





「甘井さん」


と呼んだら<ガ―ン>とショックを受けた顔をされましたわ


そして名前を呼ぶように言われましたわ





そこで


「苺さん」


と呼んだらさらに<ガ―ン>とショックを受けていましたわ


そして呼び捨てにするように言われましたわ





・・・学院の女子ルールでは名前+さんでしてよ?


呼びつけは使用人だけですわ


ヒロインはわたくしのことを破滅させるつもりなのでは?


最初はそう勘繰りましたわ






ですから


「クラスメイトでもさすがに呼び捨てはいけませんわ」


そう言ったのですが


「私のことが嫌いなの!?(ウルウル)」


とやられて渋々了承しましたわ





ここでヒロインに嫌われるか


悪役令嬢っぽい行動をするのか


どちらもバットエンドしか想像できない選択肢





・・・どうしてもわたくしを悪役令嬢にしたいらしいですわ


でも全力で回避してみせますわ


悪役令嬢の強制力なんかに負けませんことよ?







そんなわけで今日は苺の家に遊びに来ましたわ




そこっ!


イミフとか言ったら悪役令嬢スキルで呪われましてよ?


強制力が半端ないですからね?




・・・実はわたくしもなぜ苺の家に遊びにいくことになったのか不思議なのですわ


だれかの悪意があるとしか思えませんもの




まあ仕方がないからあきらめて遊びにいくことにしましたわ


わたくしの知らない所で事態が進んでいて何時の間にか断罪ルートになっていたら嫌ですわ





ちなみに手土産は有名店の和菓子ですわ


当然、洋菓子は選らばなくてよ?


そんなケンカを売るようなことはしませんわよ?


・・・何かの間違いで悪役令嬢ルートに戻ってしまうなんていうのはナシですわ(ガクガクブルブル)






通されたのは苺のお部屋でしたわ


うちのおトイレと同じくらいせま、ゴホンゴホン


小じんまりとした可愛いお部屋でしたわ




悪役令嬢スキルが発動しなくても普通に話しているだけでナチュラルに毒を吐きそうになりましたわ


庶民いちご、恐ろしい仔





そこで庶民で言う所の女子会をしましたわ


一本でも人参


二人でも女子会(笑)





庶民のすることは全然判りませんわ


普通の会話しかしていなくてよ?


なぜわざわざ命名する必要があるのかしら?


御茶会でよろしくなくて?





言っておきます悪役令嬢わたくしヒロインのことが嫌いではありませんことよ?



ヒロインが嫌いなだけで苺は違いますわ


無駄にちょこまかと動くハムスターみたいでかわいらしくてよ?


あるいはゼンマイ出動くおもちゃかしら?




あっても良いかしら?


くらいの好意がありますわ




良く言えば下町育ちな分ガサツなだけですわ


悪く言ったら無神経で我儘で厚かましくてどうしようもない


その程度の人間しょみんに一喜一憂しませんわ




・・・なんで庶民こんなの敵役ヒロインなのか一度問い詰めたいですわ






まあ、悪い人ではないから悪役令嬢ルートを回避するのも楽ですわ




庶民の言う所の


ぬるゲー


というやつですわ





悪役令嬢回避なんて容易過ぎですわ


ええそんなことも思っていましたわ


でも勉強の仕方を聞いた時に思いましたわ


絶対に苺はチートを貰っている、と






昔、落ちたコインを一瞬で数える弟が出てくる映画がありましたでしょ?


あんな感じでしたわ


一度読めばすべて頭に入る


そんなヒロインスキルを持っていましたわ





だれかが精神を強化していましたわ


あるいは新型の意思伝達粒子を浴びせて強制進化?


複数の外部記憶装置がある?


とにかくだれかの悪意が介入しいることが判明しましたわ






でもわたくしは負けませんわ


ええ、全力をもって叩き潰した上に回避してみせますわ


悪役令嬢の名にかけて!









とまあ、所信表明演説はさておいて


おやつの時間になりましたわ




苺パパは大会で優勝するほどの実力ですわ


となると入手不可能とまで言われたアレが食べられるかと思いましたわ


大会で優勝したというアレですわ





未来ではわたくしが独占しようとして見事に返り討ちにあうやつですわ


・・・いったい何やってますの未来のわたくし







わくわく


どきどき


心うきうきして待ちましたわ




ところが出てきたのはどこにでもある普通のモンブランでしたわ



わたくしの期待を返しなさい!


思わず言いそうになりましたわ




悪意があるのか


ええもちろん美味しくいただきましたわ


さすが未来の有名パティシエ


普通のモンブランでも美味しゅうございます






でもちょっとだけ残念でしたわ


てっきりあの大会で優勝したモンブラン(以下、大会モンブランと呼びますわ!)が食べられると思っていましたの





でも大会モンブランは人気なのでしょう


数量限定の幻の一品


余っているというか、娘の友達にまで廻ってはきませんでしたわ


まあお店の主力商品ですもの


当然ですわ





わたくし出されて物に文句をいうような失礼な教育を親からされていませんわ


「美味しいですわ」


ときちんと空気を呼んで返事をしましたわ





「・・・本当に?」


苺にじと目で睨みつけられましたわ


女の感は恐ろしいですわね(汗)




スイーツには厳しい苺


さすが将来のパティシエール


スイーツに関しては妥協するという選択肢がありませんでしたわ





「・・・申し訳ありません」


目を逸らして返事をしましたわ


悪くはないのになぜか謝りましたわ


・・・これではどちらが悪役令嬢かわかりませんわ




でもあえて厳しい真実を言わせようとする苺が悪役令嬢になっているような気がしますわ


スイーツ限定の悪役令嬢


将来ユニットが組めそうなので、今のうちに友達を辞めた方がよろしいのかもしれませんわね(汗)






大会モンブランが食べたいと言っても多分通じないですわ


だってわたくしが勝手に付けた名前ですもの


商品名が思い出せませんわ






まあそんな訳で



クリは茹でると味が落ちるので焼く


クリのクリームの水分で土台のスポンジが湿気るので表面にアイシングをする


土台のスポンジは食べ応えがあるようにドッシリ


クリのクリームの柔らかさとアイシングのパリッとした固さ、そして土台のスポンジのドッシリとした固さが奏でるハーモニー


知っている限りのことを詳細に伝えてみましたわ






・・・聞いていた苺の口元からヨダレが垂れそうでしたわ


どうやら苺も好きなようですわ






残念ながら大会モンブランは売り切れのようでした


さすが幻の一品


残念ですわ


今後お店に行って買いましょう


そして何が何でもゲットしてさしあげましょう





って、モンブランが目的ではありませんことよ?


あやうく悪役令嬢ルートに戻る所でしたわ!


恐るべし『悪役令嬢の強制力』ですわ





わたくしは明るい未来を目指して頑張りますわ!


何者にも負けませんわ


絶対に勝ちますことよ!

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