6 先生だって大変なのである
「・・・はあ、勘弁してくれ・・・」
担任の兵頭先生がガックリと肩を落としていましたわ
「申し訳ありません?」
わたくしが悪い訳ではありませんが思わず謝ってしまいましたわ
ごきげんよう
冷泉院雪子ですわ
現在、わたくしのクラスはセレブと庶民の二派に分かれて対立していますの
言っておきますがわたくしのせいではありませんわよ?
苺のせいですわ
決して悪役令嬢のスキルではありませんわ
・・・たぶん
そこで担任の兵頭先生に呼び出されましたの
クラスが対立しているけどどうにかならないか、と
・・・絶対にわたくしのせいだと思っていますよね?
もちろん違うと言いましたわ
いくら悪役令嬢(仮)だからといって何でも悪役令嬢のせいにされるのは我慢できませんわ
冤罪は冤罪と言わないと勝手に犯人にされますことよ?
「あ~、やっぱりそういうか~」
兵頭先生は頭を抱えて悩み始めましたわ
ちょっと悩みが軽すぎませんこと?
そんなんだから影で『へーちゃん』なんてアダナで呼ばれるのですわ
「まあいっか、毎年の事だし!」
どうやら『毎年の恒例イベント』らしいですわ
本来は交わらないセレブと庶民
一緒のクラスに入れたら衝突は必然ですわ
多かれ少なかれ衝突は起きますわ
でも毎年1学期が終わる頃にはなんとかなるそうですわ
セレブは喧嘩なんて品のない事はしない
庶民は恩恵を受けるのが確定しているので頭を下げるくらいなんでもない
だからしばらくはギスギスするけれどそのうち平穏が訪れる
まあなんとかなるか
へーちゃんはブツブツ言っていましたわ
・・・それって平穏ではないですわよ?
セレブはイジメなんてしないけどニコニコ握手しながら空いている手で刺す人種でしてよ?
へーちゃんの目は節穴ですの?
庶民はATMと思っているのではなくて?
ATMに頭下げてもプライドは減りませんことよ?
「じゃあ仲直りを宜しく!」
軽くへーちゃん先生に言われましたわ
どうやっても衝突は必至ですわよね?
おまけに絶対に判りあえない存在ですわ
無理矢理にでも服従させればよいのかしら?
それとも恐怖で押さえつけます?
ロクでもない方法しか思い浮かびませんわ
はっ、考え方が悪(役令嬢)に染まりきってますわ
どうやって悪(役令嬢)をやらせたいのかしら?