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3 ヒロインの登場ですわ

「いいかげんにしなさいっ!」


雪子わたくしをかばって絢子さんが絶叫してくださいましたわ


・・・幼馴染の優しさが見に沁みましたわ







ごきげんよう


冷泉院雪子ですわ




わたくし、天敵ヒロインからの被害にあっている最中ですの


ええこちらを見下して酷いものでしてわ


抵抗したら「ひどい(涙)」と言われましたの


酷いのは貴方だ、とこちらが言いたいですわ





え?


状況が判らない?


ではちょっと長くなりますがお付き合いくださいな






わたくし今日から高等部でしたの


わたしくの通う共和学院の高等部は基本持ちあがりですわ


その人数は定員の半分


つまり残りは入学試験を受けた外部生になりますわ




・・・高等部から外部生を入れることについては賛否両論でしてよ?


才能のある人間アスリートを支援するべきという意見がある一方、売名行為だと非難する意見がありますわ




どちらの方も正しいと思っていますから永遠に結論は出ませんわ


不毛な議論ですわね






ほらウチの学校、おぼっちゃまお嬢様学校ですわよね?


親が社長だとか政治家だとかの家柄ばかり


地位と名誉とお金はありますのよ?


その反面、世の中の常識だとか頭の良さとかは微妙なレベルですわ





・・・昔、お昼のランチが1500円と言って日本中から反感を買って愚か者のレッテルを貼られた方がいましたわ


最初、セレブの間では何が悪いのか判らなかったそうですわ


ちょっとお安かったかしら?とか思われていたとも聞いていますわ


まあ、真実はご存じの通りですわ




おかげでセレブの世界で伝説になっていますわ


庶民てきを知りセレブを知れば百戦危うからず


それが合言葉になっていましてよ





ですから時間をかけて人柄まで検分して引き抜きをかけますの


東○王チームを丸ごと召し抱えれば勝ち組になりましてよ?






え?


青田買いは法律違反?


こちら(セレブ)側には法を執行する側の責任者がいましてよ?


捕まる事はありませんわ


おほほほほっ





そんなわけで庶民枠で入ってくる人間が大勢いますわ


甘井苺ヒロインもそのうちの一人でしたわ





わたくし一目見てわかりましたの


天敵ヒロインだ、と




・・・悪役令嬢のスキルはハンバがないですわ


敵が一目で判るスキルが標準装備されてますわ





少しでも目を逸らせれたらヤられる


冷や汗がでましたわ




それが悪かったのかヒロインから目をつけられましたの


わたくしは大人しいからマウントされた、というわけですわ




え?


十分に饒舌?


失礼な


わたくし内気な内弁慶でしてよ?


その証拠にモノローグでしか喋っていませんわ


・・・泣いていいですか?






おかげで


「どこ中?」


「家はどこ?」


とグイグイ聞かれましたわ




大体引っ込み思案のコミュ障の人間が知らない人間相手にまともに会話ができるはずがありませんわ


「えっと」


とか


「あの・・・」


とかロクに返事をできませんでしたわ





・・・死んでいいですか?







ヒロインのお家は商店街にある個人経営の洋菓子店だそうですわ


外部生ですから当然、高等部には誰ひとりとして知り合いがいないそうですわ


ですから「お友達になりましょう」と言われましたわ




自分から


「友達になりましょう」


と言う人間を初めて見ましたわ


庶民の方のバイタリティに驚きですわ





まあ女子はクラスに友達が居ると居ないとでは天と地ほどの違いがありますものね


早い話、おトイレとか、体育の相棒とかのことですわ





そこまでは判りましてよ?


でもなぜ悪役令嬢わたくしに迫ってくるのかが判りませんわ





大体、わたくしがあなたのおみせを潰しますのよ?


友達になってどうするといいたいですわ





・・・まさか第一話のフラグがこんな所に出てくるとは思いませんでしたわ


わたくし本当に悪役令嬢でしたのにビックリですわ


てっきりわたくしの被害妄想だとばかり思っていましたのよ?








まあ、そんな重大事項ささいなことはさておいて



完全にわたくしは見下されているようですわ




地味だし


メガネをかけているし


友達がいないし


ぼっちですから仕方がありませんわ






・・・言っていて段々悲しくなってきましたわ


わたくし死んでもいいかしら?






でも疫病神ヒロインに関わるなるなんて真っ平御免ですわ


危険人物と関係を持つなんてありえませんわ


わたくしの座右の銘は『平穏無事』でしてよ?


好き好んで破滅フラグの近くに居たくはないですわ




関係を持たないし、逃げ回るという最初の方針を貫きますわ


・・・マウントされて逃げられませんけど





そこに現れたのが絢子さんですわ


見事にヒロインの魔の手から救ってくださいましたのよ




わたくしの王子様ですわ



・・・最近は女の子でも主人公しゃちょうになれますから王子様たすけぶねでの間違っていませんことよ?



持ちあがりの人間、つまりクラスの半分は顔見知りですわ


それどころか、下手したら家族よりもあっている時間が長かったりしますわ




そんな付き合いのクラスメイトに長年囲まれてきた弊害で、雪子は頭のおかしいにんげんの対処ができませんでしたわ


・・・公立の中学生とか高校生ならおかしなひとの対処ができると言う訳ではありませんことよ






そんなわけで雪子わたくしの願いは叶うことはありませんでしたわ


おそるべしヒロイン!


ですわ





「入試トップということは特待生なのかしら?」


そう問うと


「ええ、まさか一番になるとは思いませんでした」


苺が答えましたわ






ちなみに上のセリフは副音声だと


「学費を出せない貧乏人風情が声をかけるな」


になりますのよ?


ぜんねんなことに庶民いちごには通用しませんでしたわ


・・・これだから庶民というのは





冷泉院わたくしのいえは国内10位の企業グループですわ


悪役令嬢の強制スキルが発動しなくてもナチュラルに見下せますわ


さすがに10分も会話をすれば歓迎をされていないことが判ったようですわ


ヒロインが離れて行きましたわ




ふっ、勝った


そう思ったわたくしは悪くないですわ





「雪子様、大丈夫ですか」


甘井苺ヒロインとの会話が終わった途端、同じ内部生の絢子さんが話しかけてきましたわ




一ツ橋絢子さんのおかいしゃは冷泉院グループ傘下でしてよ


同じ歳ということで仲良くしていますの





もちろん絢子さんもセレブでしてよ?


ですから当然、先ほどの雪子わたくしの副音声も判りますわ


そしてそれがヒロインに通じなかったことも


そのために心配になり声を掛けてきてくださりましたわ


そしてその他の方々も


・・・友情が身に沁みましたわ





内部生は全員が幼稚舎からの付き合いでしてよ


そしてセレブ


そのため絢子さんと同じで以下同文


クラスの半分を占める内部生の反感が苺に集まりましたわ





自分の目の前でヒロインに対してクラスの大半が負の感情を抱いている事実に唖然としましたわ


これではまるで悪役令嬢ではありませんこと!?





「ちょっとお待ちになって!」


わたくしが止めに入ったのですが炎上は止まりませんでしたわ





まあ、ちょっと、いえかなり図々しさに腹立たしくはありましたわ


コレだから庶民はと見下しもしましたわ


でもそれがここまで広がるとは思いませんでしたわ




派閥を作ってヒロインをイジメる未来しか見えませんの


雪子わたくしは内心焦りまくりましたわ





・・・悪役令嬢のスキルの一つに『配下を作る』というのがあるのでしょうか?、と問い詰めたいですわ


出来たらクーリングオフをしたいですわ


窓口の電話番号はどこかしら?

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