帰り道
<ボクの気持ち>
いつもの帰り道。
人通り少ない、この道を二人で手を繋いで帰る。
この先の交差点で別れるのが、ちょっと辛くて…
ゆっくり歩き、遠回りをする。
こっそりする、別れ際のキス。
また明日!と手を振る君を見送る。
内緒の恋は、とても甘くて
いつまでも続くと信じていた。
だけど、
君は僕より
可愛らしい女の子を
選んだ。
僕にはないものを持つ女の子が憎かった。
あんなに好きだと言っていたのに、簡単に僕を捨てた君が憎かった。
世の中の全てが憎かった。
そんな風に憎悪する自分がイヤになった。
いつもの帰り道。
僕は一人になった。
ずたずたな心を抱えて
今日も一人、歩いていく。
<俺の気持ち>
夕陽がキレイだと言っていた。
伸びる影を見て、すごいと言っていた。
なんにでも、すぐに感動していたのを覚えてる。
俺の名前を呼ぶ、優しい声を覚えてる。
人気のないのを確認してそっと繋いだ手の温もりを覚えてる。
何度も貪った、柔らかい唇の感触を覚えてる。
好きだと、伝えたのに――。
愛してると、告げたのに――。
どうして、隣にいないのだろう。
自分から別れを告げたのに、傍にいないことが不思議でたまらない。
いつもの帰り道。
何故、俺は一人で歩いてるんだろう。
勝手に不安になって
勝手に怯えて
あんなこと言うつもりじゃなかったのに!
ひどい別れの言葉だった。
後悔しても、もう遅い。
いつもの、帰り道。
いろんな事を思い出して、涙で前が見えなくて、俺はしばらく立ち尽くす。
もう一度、伝えたい。
好きだよ――。
愛してる――。
でも、もう届かない。