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76.黒い靄の中心点①

 前のが短かったのでもう一個投稿しとく。


 つぎはいつになるのかなぁ。あー、これから飲みなので風呂行ってきやす。


「この辺り……だと思う」


 という、彬華りんかの指示で新汰達は車を停めた。


 ちょうど近くにコンビニがあったため、そこに車を置き、四人は外に出て周囲を見回す。


 彬華と吉良は同じ方向を見ていた。コンビニのすぐ隣に小さな公園のような施設が見える。


「何が見えるの?」


 正樹は彬華を守るように傍に立っている。


 正樹の問いに彬華は束の間正樹を見て、すぐに視線を前に戻した。


「なんて言えばいいんだろう。黒い……靄のようなもの。その中心がこの辺りなの」


 彬華によるとこの辺りは黒い靄に覆われているのだそうだ。そしてその靄はこの辺りが一番濃いらしい。


「吉良君にも同じものが?」


 そう問うたのは新汰だ。


「残念ながら僕はそんなにしっかりと見えるわけでは……。ただなんとなくこの辺りの空気が重いから。それに確かに言われてみればこの辺りは暗い気がする。でもその程度だよ。すごいね、彼女は。かなりはっきり見えているみたいだ」


 感嘆の眼差しで吉良も彬華を見ている。しかし当の彬華は力を使いすぎたのか、大分疲労している様子だ。


「大丈夫?篠崎さん」


「ごめん、あんまり大丈夫じゃないかも……」


「少し休んだ方がいい。その場所の確認は俺たちだけで行こう」


 心配そうな正樹の様子に新汰が気を聞かせて提案した。


 彬華もその提案に逆らわず、そのまま再び新汰の車に乗り込んでぐったりと体をシートに深く沈めた。


 割と交通量の多い道路の反対側には、熊田市のゴミ処理施設らしき建物が見える。それをちらりと確認してから、新汰は尚も彬華を気にして車の方へ視線を送っている正樹あいぼうを促して歩き出した。


 二人に数歩遅れるようにして吉良も後を付いて来る。


「彼女、本物かもね」


 車から十分に離れてから、ぽつりとそんなことを言ったのは吉良だ。


「術者の素質は間違いなくあるだろうね。しかも、あの水使いと匹敵するレベルで」


 新汰もそれに応じて答え、残して来た車の方へ視線を流した。


「あれ程の術力の持ち主が戸上の網を抜けて存在しているなんて驚きだけど」


「それくらい隔世遺伝だったのかもね」


「新汰」


 珍しく鋭い声を上げて正樹が二人の会話を遮った。


「篠崎さんは霊感のあるただの人だよ」


 声は少し硬い。穏やかな正樹のそんな声を聞くこともあまりない。


 新汰は笑って頷いた。


「らしいよ、吉良君」


 吉良は苦笑いして肩を竦める。


「はいはい。そう言う事にしときましょ」


 大切な人を危険に巻き込みたくはない。きっとそれは誰しもが共通して思う事なのだろう。


 気持ちを入れ替えると、新汰は吉良に顔を向け促す。


「済まない。ここからは吉良君が先導を頼むよ。俺達には感知さえ出来ないから」


「りょーぅかい」


 吉良は何となくこの二人は信用していい人間なのかもしれないと、そう感じた。

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