70.漠然とした不安
どうもこんばんわ。
今日は雨ですね。雨の中、御朱印集め行って来たよ。地元だと御朱印帳買うと御朱印書いてもらえてたから油断してた。
御朱印帳かって後で見たら、御朱印なかったorz
泣いていいですかね?
今度から書いてもらったら必ず見よう( ノД`)シクシク…
昨日から家の中の様子がおかしい事には気が付いていた。妙に浮足立っているし、人の出入りが多くなった。
昨日から徹の姿も陸の姿も見ていない。昨日は土曜日で大学は休みだった筈だが、陸はここ最近ずっと後ろの蔵に籠っている。
昨日の朝は、徹と陸と一緒に食事をしたから、その時から二人の姿を見ていないことになる。
いつもは静かな邸内がにわかに騒がしくなったのは、昨日の午後からだ。
午後は戸上当主から直々に術の教えを受けていた。
戸上邸にほぼ軟禁状態でいた清藍を気遣って文子が当主に進言したことから始まった。
年齢が近いせいか、文子は綾乃と親しく話す機会が多いらしい。勿論それだけではないのだろう。最初から文子に清藍を見守ってくれるよう話をしてあったのかも知れない。
清藍は真面目な性格だったから、予習復習をこなし、術の修行もしていた。そのせいで、徹と陸の二人に家の中で会う時間は減ってしまっていた。
そのせいで二人の様子の変化に気付くのが遅くなってしまった。
離れにある修練場で術について学んでいると電話の音が聞えた。この家はあろうことが、ダイヤル式のあの黒電話はまだ現役だった。ジリリリリという、清藍にはむしろ聞き慣れない音は、邸内にとてもよく響く。
その後すぐに慌てた様子で、文子が綾乃の部屋へ訪れたのだ。
けれどその日、綾乃の講義はそのまま続けられた。文子の来訪により一時休憩になり、綾乃からお茶を持ってくるよう他の家政婦に言って欲しいと頼まれそ、の場を離れただけで。
清藍がお茶を頼もうと台所に行くと、たまたま台所には誰もいなかった。彼女は家事全般を普段からこなしているから、不在を気にすることもなく自ら用意して、修練場に戻った。
その頃には慌てた様子だった文子も落ち着きを取り戻しており、三人でお茶を飲んだ時は穏やかな時間が流れたのだが――。
その後、日が傾く頃には。
邸内にはいろいろな人が出入りし始めていた。最初は使用人風の人物が多かったが夜八時を回る頃には、半狂乱の女性の声が離れにまで聞こえて来たりするようになっていた。
気になって文子に問い掛けたが、答えは教えてもらえず、陸と徹とも連絡を取ることも出来ずに今日に至っていた。
仕方なく昨夜は更新されることのないSNSの画面を睨みながらすごしたわけだが……。
清藍のために用意された部屋で、ベッドに背をもたれさせながら、未だ更新されないSNSの画面を見るのにも飽き、清藍はため息を付く。
陸も徹も帰宅した様子すらない。それが何よりも気になって仕方がなかった。
いつもはどれだけ顔を合わせなくても、朝食と夕食の時だけは二人を顔を合わせていたのに。
その感情が淋しさだと気付いて清藍は少し驚いた。
長い時間を一人で過ごして来たというのに、ほんの数か月ほど誰かと過ごしただけで、そんな感情を感じるようになっている自分。
一人でいることなんて当たり前だったのに……。
二人の顔を見る事が出来ないというそれだけで、淋しさと不安を感じて、清藍はぎゅっと手を握り締める。
得体の知れない何かが彼女心を侵食している気がして、不安が彼女の心を覆い尽くそうとしていた。