68.禍(まが)つ印③
お久しぶりです。生きてますヨ。
仕事が覚えられなくて毎日が苦しい日々です。ホント、他の人に迷惑かけずに済むように仕事できるようになりたいのに……。
きょうもがんばるぞーーーー!おーーー!(笑)
小説の方はなんだかおだやか。吉良と正樹と桐華の三角関係なんでしょうかね??
なんか吉良は本気な感じはしないんだけど。どうなんだろうなーー。
今日は風が強いなと正樹は空を見上げた。
正樹の先を新汰と吉良が歩いている。正樹は後ろを付いて来る彬華の様子を気遣いながら歩いて行く。
彼らは三日月神社の前に車を停めてその前を流れる白川の畔を歩いている。
神社の前には2、3台程は車を停めることができるスペースがあった。車はそこに停めてある。参拝者は他におらず、社務所も存在しない小さな神社には、神主らしき人物も見当たらなかった。
三日月神社に来たのは吉良の提案からだった。彼はこのあたりに瘴気を僅かに感じていると皆に告げていた。
「相馬さんも見える人なの?」
すぐ後ろから正樹が問い掛けた。それは、吉良を除く全員が疑問に思っていたことでもあった。
移動中の車内で吉良がその提案をした時に、彬華が正樹に問い掛けたのだ。が、当然正樹も判る筈もなくちょうど車を降りたタイミング見計らって聞いてみたというわけだ。
彬華が吉良に直接聞こうとしないあたりが、彬華が吉良を敬遠しているという意思表示らしい。
「ん?……ああ。いつもじゃないけれど、害意と言うか……悪意と言うのが正しいのか判らないけど、そういうのが強いものは見えるかな」
吉良が後ろを振り返ってそう答える。正樹は吉良の顔をよく見てはいなかったから気付かなかったが、吉良は真っ直ぐに彬華を見てそう答えていた。
吉良としっかり目が合ってしまった彬華はばつが悪そうに眼を逸らした。
その様子を見て吉良がくすりと笑う。顔つきが整っているだけにその笑顔は彬華の神経を逆なでした。
顔にはっきりと出るくらいにキツイ表情で吉良を睨み、ふんと顔を逸らしてから、振り返ったために歩調を緩めた吉良の横を通り過ぎようとする。
「俺に興味が出て来た?」
通り過ぎる時に彬華にだけ聞える小さな声で吉良は囁いた。が、彬華は何も聞こえていないという様子でそのまま横を通り過ぎた。
そのまま先を歩く新汰も追い抜いて、先に立って歩きながら彬華は周囲を見渡す。
吉良の言う通りこの周辺は良くない気が溜まっている気がしていた。けれど、彬華は今はそれをよく見る事が出来ないでいた。
ぼんやりと周囲を漂っているのは判るのだが、その根源がどこのあるかまでは判らない。
前に吉良を送った後、夕方になって戻って来た時には少しだけ気になる場所があった。そちらに目を向ける。
彬華のいる川縁から東へ視線を飛ばしてみる。川を越えて先は稲刈りが終わった田んぼが広がっていて、その向こうから更に東側は少しずつ高くなっていて遠くに住宅地が見える。
彬華の視界には僅かにけぶって見えるがそれがただの気象現象なのか、別の何かの力なのかまでは判別できない。
「あの洪水の時、お二人はこの辺りにいたんですか?」
振り返って彬華は新汰と正樹に問い掛けた。
「ああ、俺は違う。もうちょっと北の方。あっちにデパートの看板が見えるでしょ?あの辺りで洪水にあって辛うじて逃げられたから」
そう声絶えるのは新汰だ。
「俺は洪水には実際にはあってないよ。洪水の後、新汰から連絡貰って救援物資届けに行った感じ」
「あ、そうだったね。ごめん」
彬華はいつの間にか隣に立っていた正樹に顔を向けてはにかんだ笑顔を向ける。
「何か感じる?篠崎さん」
「戸上さんごめんなさい。あっちの方向が気になる程度にしか今は判らないです」
今度は問われた新汰に視線を向けて答える。
「じゃ、取り合えずあっちいってみようよ。俺この間はこの先行けなかったからさ」
「この間?」
軽い口調の吉良に問い返すのは新汰だ。
「うん。この間ちょっと気になってこの辺りまで着てみたんだ。そん時ちょうど司書のおねーさんと会ったからここまで乗せてもらったんだけどね」
何が楽しいのかにこにこした表情で吉良が説明を始めた。