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60.再集合後の騒動①

 吉良の性格の悪さがバレちゃいました★


 やばい。仕事内容の復習もせず小説書いてるwwwwww


 いやん、怒られるwwwww一回教えてもらった後、すっかり忘れてるとかだとめっちゃ怒られますwwww仕事行く前にもっかい復唱だけでもしなくてはwww


 というわけで、また三日後にwwwwww

 ある人からヒントを貰ったんだ。


 そんな風に新汰あらたは話し始めた。まず、彼らは木の神を探している事を告げられた。そのあたりの細かい事情は割愛されたが、吉良きらは大方当主からの密命で儲けているのだろうと見当をつけた。


 何と言っても彼らは、当主の覚えもめでたい術者一派なのだから。


 今や当主候補最有力だった暁乃を差し置いて、清藍せいらんめとって陸が実質の当主の座につくのではないかという噂がまことしやかに流れているくらいだ。


 だからこそ、半ば強要されて本家への出入りを頻繁ひんぱんにしているという事実を思い出し、また顔をしかめそうになる。


 嫡子ではなく、本家の跡目争いに何の興味もなさそうな――実際全く興味がないのだが――それでいて人当たりの良い吉良は、父にとって実に使いやすい駒なのだろう。


 年に数度も会うことのなかった、それでいて今年は月に数度以上も顔を合わせている父の顔を思い出し、吉良はまた顔を顰めそうになり、何気ない様子で口元を隠すように手で覆った。


 はたから見れば話を聞いて思考しているように見えるだろう。


「事の発端は地震なのではないかってね」


 新汰の声は穏やかだ。それにすらイラついてしまう自分を心の中で叱咤する。


 しっかりしろよ俺。今はそんなこと気にしている場合じゃないだろ。と。


 何の発端なのだかは判らなかったが、どうも地震で大きく地形が変わったことが。もくの神が行方不明になっている理由ではないのか、という考えに辿り着いたらしい。


「でも、この辺りで地形を変えるほどの大きな地震なんて、関東大震災くらいじゃないの?」


 関東大震災と言えばもう百年近く前の話だ。たった百年前だというのに今とは街並みは全く変わっている。歴史的にも近代として時代を区切っていいくらいの前ではないだろうか。


「関東大震災の被害ってこっちの方まであったのかな?っていうか、結構前の話だよね?それよりも東日本大震災の方があの辺りに直でダメージ行きそうだけど」


 正樹が珍しく饒舌じょうぜつになっている。吉良はあまり興味がないために口を挟まないが、地元の歴史に関しては詳しい。それは戸上一族としては当然の知識だったので敢えて口を出す気にもなれなかった。同じことをきっと新汰も知っているだろう、と。


「俺もあまり詳しくなくてさ、昨日少しネットで調べただけなんだけど……」


 おやっと吉良が片眉を上げる。意外な返事ではあった。けれど、新汰の父がだいぶ前から本拠地を東京に移していることは知っていた。その関係であまり郷土史を学ぶ時間がなかったのだろうか。


 そう言えばこいつ、結構バカ学校出身だったっけ。


 新汰に視線を流しながらそんなことを考える。そもそも新汰は次男だ。最初から家を継ぐつもりもなかったのだろう。


 いい大学を出たこいつの兄貴の方が結局使えなかったんだったなぁ。


 そう、今や新汰は跡取りとして父親の仕事を手伝っている筈だ。


 もったいな。ちゃんと勉強させときゃ本人だって苦労しないですんだだろうに。


 自分とは関係のない家庭のことだと軽く考えてしまいがちだ。出来のいい兄に家族全員が期待をしすぎたのかも知れない。


 新汰が付け焼刃で説明するまでもなく、関東大震災での被害はどちらかと言うと県央の崎宮さきのみや市の方が大きくて震度五だった筈だ。


 言うまでもなく、崎宮市とは戸上邸も存在するこの地で、県庁所在地でもあった。


 北へ行けば行くほど揺れは小さくなっていったはずで、今話題に出ている榎山えのきやま市辺りでは、震度四程度だった筈だ。


 当時の建築技術を考えれば、人的被害は大きかったかもしれないが震度四程度では大地へは大した被害は出ていないのではないだろうか。


 対する東日本大震災では県北は確か震度六弱を記録していた筈だ。正樹の言っていることは正しかった。しかし。


「いや、東日本大震災ではないと思う」


 きっぱりと新汰は言ったのだ。

R02-09-06 サブタイトル変更  大地の傷痕 → 再集合までの騒動

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