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58.病室での会見②

 今回も短くて申し訳も……。


 今日も研修です。この年で、新人研修とか結構きつい……。1回どころか、10回やっても覚えられなさそう( ノД`)シクシク…


 同期の女の子は私より10歳以上若そうだし。覚えも早い。でも泣かないゾ!おばちゃんは頑張るのだ!!wwww


 あぶないあぶない。愚痴ばかり書いていて大事なことを忘れていました。


 もしかしたら58は近々追加をするかも知れません。短すぎるので。ああもう一日48時間ほしいね☆

 これは……!


 吉良きら清藍せいらんに対する認識が、親近感のに由来するそれから、僅かに変化する。畏敬いけいを含めた術者じゅつしゃに対するそれに。


 噂は数々聞いていた。


 曰く、水上みかみの生き残り。


 曰く元当主候補あいらの妹。


 曰く水神の呪いをも跳ね返す者。


 曰く……。


 何かの水音を聞いたような気がした。ぽとんと、小さい水の一滴がこぼれ落ちる音。


 けれど、それを言う誰もが、彼女が力を振るうところを見たことがない。


 話してみれば普通の女性だった。少し人馴れしていないだけの。その女性から零れる術力の気配はそれほど多くはない。


 だから、吉良はきっと自分の立場を彼女に映していたのだろう。


 戸上の一族の末席にいるせいで、誇大評価されている自分と、藍良の評価のおかげで噂だけが独り歩きする清藍。


 それは彼女を通して自分を見るようなもので、僅かな憐憫れんびんはあるものの親しみを感じるだけでそれ以上の感情が湧いてくることはなかった。


 けれど、今は。


 また一つ――。水滴の滴り落ちる音。ただ一つ。


 自分でも驚くほどの魅力となって吉良を惹き付けた。


 脳裏に浮かぶ清藍の姿が、以前は、気弱きよわい印象を与えるものでしかなかったが、今はきらきらしい輝きを放つ原石の様に思える。


「彼女はまだ術の制御もすらろくに行一緒えておりません。一緒に流された日上君に……」


 その後も新汰あらたから説明が続けられていたが、大半は吉良の耳に左から右に通り抜けるのみだ。


 ゆっくりと……一滴、また一滴としたたる水がやがて甕の中を満たしていくように、何かが吉良を侵食していく。


 何かが、誰かに呼ばれているような気がする。


 そんな考えが吉良の頭を横切よぎり、吉良は視線を上げて周囲を見回した。 


「どうしました?相馬さん?」


 考え込んでいた様子だった吉良が、急に動きを見せたのでそれに気付いて新汰が問い掛けて来た。


「いえ――。何か……。いえ何でもありません」


 ひとしきり病室の中を見回して――当然病室の中には彼ら三人以外誰もいなかった――新汰へ視線を戻して微笑んだ。


 気分が切り替わったのか、吉良の頭の中からは先程の考えはきれいさっぱり消え失せていた。


「判りました。彼女は先が楽しみですね。それ程の術者だったとは。それに気付かない僕はやはり、本家の方々には遠く及びませんね」


 そんな風に伝える声は穏やかで。けれど――何かの予兆を運ぶようだった。

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