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52.奇妙な関係①

 やっと、女の子を出すことができました。


 でもラブコメ展開には発展できそうもない空気感。


 もうちょっと書き進めたかったのですが、眠くて無理……。サーセン、おやすみなさい。Zzz


 昨日書けなかったところまで追加しております。ご注意ください(8/12 追加)

 重苦しい空気が続く。息苦しさを覚えながらも正樹は病室の椅子の横で陸が目覚めるのを待っている。


 あまりに手持ちぶたさ過ぎて携帯アプリのゲームで時間を潰しているのはご愛敬か。


 しばらくして、手持ちのゲームにも飽きて、パイプ椅子の間から足をぶらぶらさせるようになっている頃に、がらりと病室の扉を上げる音がした。


「あ、ごめん。ノックもせず開けちゃった」


 その声は聞き覚えのある声。正樹にとっては勿論吉良にとっても。


 振り返り彼女の姿を見た途端に腰を浮かせた正樹は、入り口でドアを開けたまま中の様子を伺っている女性に駆け寄った。


「あ、……わざわざごめんね。ここんなことお願いして……」


 焦っているのか、いつもより大分大きい声はどもっている。


「ううん、大丈夫だよ」


 対する女性ははきはきとした物言いで正樹に答え、病室を見回して、固まった。


 急に硬直した女性に気付いたのか、顔を上げて彼女の視線を辿ると、女性の視線は窓際の吉良と目が合った。


「あ、ごめん。紹介するね。相馬君、俺と一緒に病院まで付き添ってくれたんだ」


 慌てて、吉良からも女性が見えるような位置に移動して、正樹が吉良の方に視線を向けながら説明する。その声は見事にしどろもどろだ。


「相馬君、彼女は……」


「知ってる。司書の篠崎さん」


「え?」


「……正確には司書じゃないけど」


 正樹と話していた時とはだいぶトーンを落とした声で、桐華が訂正した。


「知り合い?」


「うん」「そう、()()の知り合い」


 吉良と桐華の声が被り、正確に正樹の耳の届いたのかは微妙なところだ。


「えーっと……」


 にこやかな吉良の声と冷たい桐華の視線に二人の関係をおおまかには把握したのか、正樹は作り笑いを浮かべて、桐華を招き入れた。


「知り合い……じゃないんだっけ。人が倒れている所に居合わせたんだっけ?」


 桐華は感情の見えないその茶色の瞳で正樹に問い掛けた。


 病室の中は4人分のベッドが設置されていたが、今室内にいるのは、ベッドに寝かされている青年の他には、正樹と吉良しかいない。


「そうそう」


 答えたのは吉良だ。しかし、桐華は吉良の方へはちらとも視線を向けない。そのまま、正樹の回答を待つように彼の顔を眺めている。


「えーっと、そう言うことになるかな……」


 正樹の仕種が居心地悪そうな、ぎこちないそれになるのは仕方のない事だろう。


 こくりと頷くと、桐華は手に持って来た紙バックを持ったまま、病室の中の青年に近付く。


「あら、イケメンね」


 当然、陸の顔を知らない桐華はそんな感想をもらしたが、それは年ごとの女性特有の熱のこもった言い回しではなくただの事実のようにそっけない物言いだった。


 そのまま、興味を失ったかのように、手に持っていた紙袋をサイドテーブルに置くと中身をがさがさと取り出し始めた。


「一応、必要そうなものを大体揃えて来たと思うんだけど……」


 言いながら紙袋から取り出したのは、コップや歯ブラシなどの入院生活に必要そうな品々だった。


「あ、ああ」


 場の雰囲気に飲まれ、彼女に頼んでいたことすらすっかり失念していた正樹だったが、流石に彼女にそう切り出されれば思い出さない筈もない。


「ごめんね、面倒なこと頼んじゃって」


 慌てて彼女の傍に駆け寄り、紙袋の中身を一緒に確認し始める。


「面倒ごとに巻き込まれたのは、疾上君も一緒でしょ。あ、これ、タオル。いろいろ使う事あるでしょ。……あ、あと、時間がなかったから流石に衣類までは用意できなかったの。パンツとか……ちょっと買いづらかったし……」


「あ、ああ!そうだよね、流石に買いにくいよね!!」


 年ごろの女性に何を頼んでいるんだと、今頃になって気付いた正樹は少し顔を赤らめて言った。言った桐華よりも、正樹の方が声まで上ずらせてあたふたして見える。

R02-10-12 大幅追加

R03−01−23 誤字訂正


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