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42.最悪の邂逅④

短いなぁ。でもここで切らないと変だしー。


変な取り合わせになってしまって混乱しているのは吉良と正樹だけではないのです。困ったなー。進まない進まない。

 吉良に連れられて、正樹は病院内を歩いた。


 土曜日だけあって、診療に並ぶ人々より、も見舞い客の方が多い。


 救急処置室の前の待合室に入り、腰を下ろす吉良。一拍遅れて、正樹もその横に並ぶ。


 処置室のドアは空いている。中はカーテンが引かれていて様子は伺えないが声だけはよく聞こえた。


 今は陸の意識を戻そうと声を掛けている。同時に血圧を測ったり、心拍を測ったりと手際良い処置がされていくのが判る。


 正樹の意識は主にそちらの方へ向かっており、隣の吉良がこちらを伺っているのを気付いていながらもあまり意識はしていない。


 正樹は戸上の家に全くの興味がないため、当主の綾乃に娘がいない事は知識としてはあるが、それ以外の親族――例えば綾乃の子供たち、綾乃の兄弟の子供たち――にまで女子が殆どいない事も知らない。


 だから、どこかに戸上姓ではない戸上の一族がいるかも知れないと普通に思っている。


 もとより正樹は口下手だ。苗字について誤解があったことは気づいたが、本家の人間のはずの吉良ならすぐに気付くのだろうと勝手に思い込んでいる。


 先ほどの水神:シュイの防壁を破ったことに関しても、風神:ヴィンドの助力があってこそなのだから、大した術力を持たない者なのだと判ってもらえると思っているのだ。それが戸上の人間でないことの何よりの証明なのは間違いないのだ。


 そもそも本家とかみの人間であっても、眷属神を連れていること自体が、相当珍しいのだと言うことを、正樹は知らない。


 さらに自らの従える眷属神よりも、明らかに格上の神を従えていることが、吉良を悩ませている理由なのだと気付くはずもない。


 正樹にはヴィンドを従えている自覚などなく、ただ何となく近くにいる物好きな神くらいにしか思っていないからだ。


 故に吉良は邪推してしまう。「能ある鷹は爪を隠す」正樹は鷹なのではないか?と。まして、戸上を名乗る相手ならば。


 戸上はこの崎宮さきのみや市に根付いており、既に一般人とほぼ変わらない戸上も数多くいる。その全てが戸上宗家に連なるわけでは当然ないが、まだ神の力が残るこの地で生を受ける戸上の全員に多かれ少なかれ素養はあるのだ。


 やがていくつかの検査を受けて、陸が肉体的には問題ないと診断されると、二人は集中治療室に通された。


 医師は熱中症か過労ではないかと二人に説明し、正樹と吉良に陸との関連性を聞いた。


「知人です」と正樹。


「僕も同じかなー」と吉良。


 吉良は従兄弟だが、婚外子であることが災いしているのかそんな風に流した。


 医師は家族ではないことを確認すると、家族に連絡を入れておいてくれるよう告げて二人の前から去って行った。

R03-6-11 一部改稿

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