問題と添い寝
結局、その日はコンビニ弁当で夕飯を済ませた。
このまま、大きな問題なく。今日という日が終わると思ってた僕は甘かった。
「篤姫、問題が発生した」
皿を洗う後ろで彼女の声。
「忘れ物?」
「うん、パジャマ」
「篤姫、余りでいいから貸してくれないか?」
「分かった、探してくる」
洗い終わった僕は押入れを探る。
「変わりに、布団は敷いて置いてあげよう」
別の部屋で布団をしくような音がする。
「ついでに、自分のも敷いたら?」
僕はパジャマを大ながら声をかける。
「ああ・・・・・・もんだ」
「布団も明日なの?」
僕は彼女の台詞をきって聞く。
「流石、よくわかったな」
感心する冬野。
「あのね・・・・どうするの?」
「一晩でいいから一緒に寝てくれないかな?」
とんでもない発言だ。
「駄目」
僕は即答してた。
「解決策は、君が布団で寝て、僕が上着で寝る」
「君は馬鹿なのかい?この季節、それで風邪を引かなかったら異常だよ」
睨まれた。
僕は反論したくても、できなくて、結局彼女に添い寝することになった。
「フフッ、起きてるかい?」
後ろから彼女の声。
「やっぱり、僕は遠慮する」
僕が布団から出ようとすると、
「なんだ、寂しいな。
スミスの代わりが居ないと寝にくい」
電気が消えてるおかげで彼女の顔は見えないけれど、不機嫌そうだ。
「スミス?」
「スミス。僕のお気に入りで、明日まで会えない」
不機嫌な声に不安が混じる。
「人形?」
「テディベアだよ」
違いが分からない。
「僕で、代わりになるの?」
「むしろ、スミスより暖かくて素晴らしい位だね」
「・・・今日だけだよ」
僕は諦めて布団に戻り、横になる。
「冗談だよ」
背中に感触。
多分、彼女の額。
「ホームシックかな、寂しいんだ」
僕はスミス代行として、少し体を彼女に向けてその頭を撫でてやった。
「フフッ・・・不本意だけど、落ち着くよ」
そのまま、数十分で彼女から寝息が聞こえた。
僕は静かに布団から出る。
毛布をもって布団から離れた壁にもたれかかり、呟く。
「女性と一緒の布団より、落ち着くね」
僕の意識は、あまり時間をかけずに消えた。
余談だけれど、
朝布団に僕が居ないことに少々むくれる彼女だったが、
お昼前に届いた旅行かばん二つと、
「ああ、スミス待っていたよ!」
テディベアを抱きしめる彼女はとても嬉しそうだった。