第五十六話 醒める
いらっしゃい。
時間は、有る。けど、溶ける。つまり、無い。フシギダネ。
「御加減いかがですかな、教皇様。お体に変わったことはありませんか?」
「大丈夫ですよ、枢機卿。もう随分と時が経ちましたが、この通りです。神の思し召しということなのでしょう。心配ありません」
柔和な表情を作り、老人は答える。
老人の名は、パラノティカ・デューク・マクレイン。精霊によってアマンドラ王国の領主と定められた、偉大な魔術師である。それは同時に、教会を統べる魔術師達の王、教皇たることも意味している。
「それは何よりでございます。私めにとりましては、教皇様が御壮健であられることが何より嬉しく、お倒れになられた際の事を思いますと、つい一つ覚えの挨拶となってしまいまして……、はは、申し訳ありませぬ」
照れた様子で頭を下げる枢機卿を、パラノティカはニコニコと見守る。
パラノティカは、目の前の老人を嫌悪していた。
媚びるな老いぼれめ。
貴様の生は男の腰ぎんちゃくになるために授かったのか?
目の前にこの世の神秘が転がっているというのならば、その深淵を覗き、暴かんとするのが男の一生であろうが。神の言葉を聞いたこともない貴様が、勝手に陶酔するのは勝手だが、何故その対象が私なんだ?
信仰がどうだと妄想を垂れ流す暇があるなら、魔術を探究し、神に近づく努力をしろ、薄ら禿のクソたわけが。何故枢機卿の正装に帽子がついているのか考えたことがあるか? 天上から見下ろす神が、貴様の禿げ上がった醜悪な頭皮を見るたびに吐き気を催すからだよ。もし私が神だったら、貴様既に磔刑だからな?
パラノティカが死の理から脱して五か月。文字通り目の覚めるような奇跡を経た世界は、相も変わらずクソったれな現実が横たわって見えた。魔術の探究にのみ人生の価値を見出した男にとって、求め続けた奇跡は、圧倒的な力の存在と、絶望的に才の劣る己の小ささを再認識させるのみで、己自身に何ら変化をもたらすものではなかったのだ。
思えば、神話を聞いて竜の血を浴びれば強くなれると妄想する子供のようであったな、私は。
「……如何されました、教皇様?」
フッと小さな笑いをこぼしたパラノティカを、枢機卿が心配した様子で見つめる。
「ああ、これは失礼しました。この世には、まだまだ探究すべき神秘が残されているものだと、つくづく感じ入ってしまったのです」
「おお! 流石は教皇様、私めも此度の奇跡には心の底より腰を抜かしました! その感動、大いに共感致します」
……貴様如き最下層のハゲが、私の心の表層すら触れられるものか、蒙昧腑抜けの凡俗め。
表面上は取り繕いながら、研究の続きがしたいからと枢機卿を追い払い、自室に戻る。
食事と聖務の度に顔を合わせねばならぬのは間違いなく苦行ではあったが、媚びへつらう豚の為に頭を悩ますことは、限りある時間の浪費であるとパラノティカは信じる。
この日も以前の日々と変わらず、魔術研究のために搔き集めた資料の山と向き合おうとしていた。
山積する教会秘蔵の書物。かつての聖人達が残した魔術研究の足跡。理解は出来ても再現は出来ぬ魔術の高みに、日々打ちのめされる。
自分に才は無い。そんなことは分かり切っている。この百年間努力を続けたが、この枯れ木のような体は劣化を続け、魔法士となることは最早叶わなかったのだ。
それでも、だ。死から蘇るという超常の奇跡を経れば、その神秘の一端でも掴めたのではないかと期待もしたのだ。いや、期待をせねばならなかったのだ、私では。
不愉快だ。
何かが私に命を与えたが、私は私のままで他はない。この期に及んで恥など知らぬ。私が欲しかったのはこの手に宿る力であり、命ではない。有り体に言えば、自分の手から奇跡が生じ、それを理解出来たならば、その瞬間に死すとも悔いはないのだ。
一体、何が私に命を与えた? また期待をさせただけだというのか? 教皇に選ばれた時の様に。
ふざけるな。ならば、最初からあの化け物女がアマンドラの領主になればよかったのだ。それが自明の理だったのだ。それを、なぜこのクソ雑魚の凡人にその地位を与えた?
目指すべき地位がまだあると思えば、盲目のままに突き進むことも出来たのだ。今の姿は何だ、この体たらくは。先人の残した奇跡の残り火に触れ、その身に奇跡も宿したというのに、私は、結局、私でしかなかったぞ!
許しがたい。自分では気づかぬ才が精霊に認められたのではないかとか、ゼルネットの出自に問題があるから私が選ばれたなどと、勝手な解釈をした己の浅慮が。道理の通らぬ判断を下した世界が。
噛み締める奥歯はすでに無く、握りしめた手には大して力も入らない。歳の割にはしっかりとしているが、ゆっくりとしか前に出ない足で部屋の奥へ進み、採光窓から離れた机を前に腰掛ける。
意識は冷え、思考は静か。そこに濁りはない。私は理解している。
絶望的に足りぬのだ。
魔力量が。
百年の探究の末に辿り着いた結論が、至極単純なそれなのだ。
机の引き出しから秘密裏に依頼した魔術研究の報告書を手に取り、パラノティカは毎日繰り返す儀式の様に、救いのない現実を見つめる。
抱え込んだ自分とは比較にならぬ優秀な魔術師に、教会秘蔵の資料を流して研究させた。私では扱うことの出来なかった高度な魔術や魔法。届いた報告書によると、再現出来たものもあれば、出来なかったものもあったという。そして、その出来ない理由に関しての考察は、私が出した結論と同じであった。
自分の見落としであってほしかった。まだ自分には理解の及ばぬ領域があり、違った視点が必要であったのだと。だが、報告書に記された記述はこうだ。
魔力量が足りないので出来ません。
何と簡潔な一文であろうか。くそったれが。
常識だったのだ。魔法士になる資格がある者にとっては。
そして、恐らくだが、魔法士が総じて長命である理由もまた単純なのだ。教会の儀礼的な祈りや神の教えがどうだなどというのは、一切関係がない。
命の長さは、魔力量に比例している。
この老いた体も百二十年の時を生きているが、それは長年の修行によって魔力量が増大した結果に違いない。そして、才のない自分ではこの程度の結果にしかならなかった。
立つべき場所を間違えたのだパラノティカ。お前は教会の机で理屈を学ぶのではなく、風を巻き起こし、炎に塗れ、狂人の如く大地を駆け続けるべきであったのだ。教会で得られる知識を求めるあまり、教会の教えに囚われてしまった。あれは、魔術の研鑽と普及のために作られた規範や習慣が、時と共に歪められて形骸化した鎖なのだ。今ならば分かる。
……今さらどうするんじゃ馬鹿垂れが!!
もう時間ないだろうが! 腕見ろって、指見ろって、ほっそほそだよ!
すがるしかないだろうが、奇跡に!
「クソっ! この軟弱な体が恨めしい! 重要なのは魔力量なのだ、神秘を解き明かせるというのならば、人である必要すらなかったというのに。何故、私はゼルネットの様に力を持って生まれなかったのだ!」
手に持った報告書を机に投げつけ、怨嗟の声を漏らす。
神に囚われた故に、自分の可能性を狭めたというのに、それ故に、神にすがらねばならぬというのか!?
怒りに顔を歪ませながら、震える指を組み、祈りを捧げる。これしかなかったから。
「……そう言えば、枢機卿……名前は覚える価値もなさそうだったし、役職で呼べば事足りるから覚えていないが、さっき奴は確か私が生き返ったことに腰を抜かしたとか言っていたな。何故だ? 奴ならば馬鹿の一つ覚えに神に感謝とでも言うはず。何故感動より驚きが先に来るのだ? 何故神に感謝をせん?」
顔を上げ、指を組んだ手を顎の下へとずらす。祈りから思考へと変化する。
「この部屋へ入る権限を持っているのは枢機卿だけだ。まさか、私が生き返る瞬間に立ち会ったのか? 今私が生きているのは、訳の分からん奇跡などではなく、明確な意思によるもの……? あの凡俗が何か出来るわけがないから、誰かを呼んだと考えるべきだが、あの小心者のハゲが独断でそのようなことをする度胸があるわけがない。つまり、権力を持ったものが、私を生き返らせる術を持つ何者かを通した。私を生き返らせて都合のいい権力者となると、陛下なのであろうが、何故秘密にする必要があるのだ?」
この時、パラノティカの胸中を埋め尽くしていた絶望は期待へと変化し、凍えていた探究心は情熱となって燃え上がり始めた。
「あの枢機卿の態度、まるで何事もなかったかのように振舞っている。奴はそんな役者か? 嘘をつき続けるにはまず自分を欺く必要がある。そんな覚悟も意志力も有るはずがない。だとすれば……、見たものが自分にとって都合が良くない、望ましい光景ではなかった。だから話さないし、話そうとも思わない。記憶から消して見なかったことにする。変化を望まず安穏と生きていたい志なき豚の思考はそんなところであろう。しかし、だとすれば何だ? 奴にとって望ましくないものとは」
人間不信に陥った国王と、信仰陶酔者の枢機卿が秘密にする、力を持った何者か。
「……異人種? 人ではない? なるほど教会、それも教皇の私室に連れ込んだという事実は、実に都合が悪い。それに、死者を蘇らす奇跡を起こせるほどの力、魔力量を有する人間など見つかるとは思えん。だが、あの王がどうやって異人種と接点を持つ? 何者かが力を誇示するために売り込みに来たのか? いや、有り得ん。あの王が他者を信じるわけがない。たとえ利益があったとして、私のためにリスクを冒すわけがない。だとすると……」
興奮気味に回る思考が熱を帯びた声となって漏れ出す。
「……魔王か?」
パラノティカの推理がある一点に帰結する。今持ち得る情報から導き出された、ただ一つの確信であった。違うけど。
魔王の根城は王宮内にある。陛下が接点を持っていたとしてもおかしくない。
確か、烏賊忍者、だったか? 良い評判は聞かぬし、強さも恐れも噂にならぬから、ついその存在を失念してしまう。
だが……、そもそもおかしかったのだ。奴は何千年生きている?
私の考えが正しければ、奴もまた強大な魔力量を誇るはず。その気にさえなれば、王国を恐怖に陥れることが可能な魔の王なのだ。死者を蘇らせるほどの力を持った者がいるとすれば、思い当たるのは魔王の他おるまい。
……メイエンヴィークもゼルネットも、それがよく分かっていたのだ。どれ程の脅威をこの地に縛り付けているのかを。だから目を離さなかった。今も抑えとなって監視を続けているのだ。
「おのれ、お前と私では、そこまで差があったかゼルネットよ……許せん、ずるい」
割と勘違いしながら、自分という存在の小ささをパラノティカは一人思い知らされる。
「才の無さなど既に承知している。これからなのだ、私は。目的があって私を蘇らせたというのなら、時はまだ残されているはず。そして、奴が人の頼みに応じたというのなら、私がより大きな見返りを用意できるというのならば、私にはまだ先がある」
パラノティカは机に積んだ研究資料を払いのけると、引き出しから羊皮紙を取り出し、ペンを握りしめた。
「残された道が邪法しかなくとも一向に構わん。今まで正法に否定されてきたのだ。鬼になれと言われれば鬼と成ろう。ファッキン化け物女め、私もお前の側になってみせるぞ」
見渡せば壁がある。視界の端から端まで巨大な壁が広がり、その高さは見上げると思わず足がすくむほど果てしない。
「……こりゃ、すげえな」
「だろ? これが、スタイ家ですら攻め込もうとは考えなかった、難攻不落の地だ」
「ウハハハハ、どうだ! これが俺達の国、ネフレスクの誇る至高の長壁! おい、見張り! ぐずぐずするな客人が来てんだ、早く門を開けろ!」
雪解けを迎え、ネフレスクではオークの山で交わした約束通り、クリモリ村の一行を招いた祭りが行われようとしていた。
鬼の国ということで、呼ばれてもいないのに俺は嫌だぞなどと話に加わりたがる者もいたが、そもそも険しい道のりを長距離移動せねばならず、村の仕事や食料を考えると、祭りに参加できる人数は限られていた。ということで、選考の結果、竜退治に参加したメンバーに加えて、イミーニア、スウェイク、バゼット、マーニャが旅に加わることとなった。
強く希望するイミーニアにメヒヤーが反対出来ず、それならばと兄であるスウェイクも呼び、どうせならと、ザッツカークで知り合い、共に旅をしたバゼットも加えた。未だ人魚感覚の抜けないマーニャは目を離すのが怖いし、見聞を深める機会ということで、連れていくことにした。以前ならば、危険であるとして選考外に当たる人選だが、今回はバランという優秀なガイド兼ボディガードが初めからついているので問題はないと判断された。
実際、一行は旅のほとんどをバランの人形が引く、幌を張った車に乗って移動することとなった。
「…………着いた、のかし、ら……?」
とはいえ、悪路を進み、それに伴う振動もあるわけで、終始快適というわけにはいかなかった。
「やれやれ、だから言ったろ。お姫様には無茶だって。おとなしく家で編み物でもやっときゃ良かったのさ。冬の間、婆さん方に教えてもらったんだろ?」
「………………」
「ああ、こりゃ本当に参ってるな。おーい、スウェイク、お前は大丈夫か―?」
ルヴナクヒエの声に反応し、車の影から痩せ細った青白い顔が覗く。
「は、はは……、僕は慣れてるからね……。食事の量を減らしておいて正解だったよ……」
「お、おう、安静にしろ。出す時はあっちで頼む」
「はっは、船旅を思い出すなスウェイク。ルヴナクヒエ、お前は知らねえだろうが、荒れた海はこんなもんじゃすまねえんだ。それで、バゼットはどうした? マーニャも出てこねえな」
「ああ……、二人とも中で寝てるよ」
幌の中を見ると、いびきを掻くバゼットの腹を枕にすやすやと眠る青髪の女の子の姿があった。
「海の生活を慣れてるってのは伊達じゃねえな」
「いや、流石に鈍感なだけだと思うわ。俺もケツ痛えし」
「や~、なるべく揺れないように気を付けたんですが、ちょっと道が険しかったですね~」
腰の低い魔法士の頭がさらに下がる。
「いやいや、バランさんがいなかったらそもそもが二進も三進もいってねえよ。お陰でちょっとした道も出来たしさ」
後ろを振り向くと、一行が通った場所は木々が倒れ、一筋の道が開かれている。車に乗るのでほとんど歩かなくてよかったとはいえ、移動するにはある程度の幅が必要であった。そのため、バランの作った人形が立ち塞ぐ木々を引き抜き、岩をどけ、整地してしまったのである。
「ちゃんとした舗装はしていないので、一年ももたないでしょうが」
「帰る時に目印の看板でも何本かさして、鬼の方々に話しときゃ、向こうが村へ来るために勝手に整備してくれんじゃねえかな? あんまりわんさか来るようだったら、ジルのあんちゃんに怒られるかもしれねえが」
「はは、禍福は糾える縄の如し、余所者が余計なことをしていいものか、気が引けてしまいますよね~」
「そうかい? 俺はそこんところ気にしねえ性質だからよ、ははは」
「おう、どうした何の話してんだ?」
鬼の国が誇る雄大な巨壁を背に話し込むメヒヤーに、エイゼックが様子を確かめに来る。
「ああ、こっちの話だ。後で話すから安心しろ」
「おお、なんかあるのかい? まあいい、それより手間取っちまってすまねえな。来客には慣れてねえんだ」
「そりゃ多分お互い様だと思うぜ。それにしても遠目からでもたまげたが、近くで見ると更にとんでもねえ壁だな。どうやって作られたんだ?」
「おう、よく聞いてくれた。俺の爺さんが生まれるずっと前からあるネフレスクの歴史ともいえる壁だが、実はよ……」
エイゼックが手を口に当て、深刻そうな顔とボリュームを下げた声で、如何にもここだけの話という体を作る。
「俺もよく知らねーんだ!!」
胸を張り、からからと笑うエイゼック。その様子を見て、バランは苦笑し、メヒヤーは白々しい
ほどに残念がってエイゼックの背中を叩いた。
単純な相手には単純な反応を返す。効果的ではあるが、分かっていても難しいことです。
「いやよ、すげー魔法士がすげー魔法ですげー壁作ったって話はあんだけどさ、何千年、何万年前の話だって感じで、記録も何も残ってねえんだ。実際、こんなもん作れるのは魔法なんかね―とは思うが、ここの顔役やってる身としては、昔はもっと栄えててこれだけの建造物が作れるくらいの歴史があったと思いたいね。それはそれで国が衰退したってことで良くないんだけどよ」
「何事も右肩上がりとはいかねえよ。美味い飯屋が現れたらみんな家で飯作らなくなって、その飯屋がなくなったら、以前より不味い家の飯食わなきゃなんねえんだ。落ちるのも歴史ってことだな」
「大事なのは今だよなあ。それでも昔は凄かったって思いたいのが、人情ってもんよな。おっと、門が開いたみてえだ。さ、入るぞ、壁に興味があるなら内側からもじっくり見てくれよ」
壁に備えられた門が開くと、穿たれた巨大な穴が姿を現す。松明によって照らされた道は百メートル近く続いているようで、築かれた壁の理解し難い分厚さを物語っていた。
「……こりゃ、人の手には余る代物だな。とても人力で作れるとは思えねえ」
「俺は、鬼の力なら出来たんだと信じてえんだよ」
「無茶じゃねえかなあ……。なあ、バランさんはどう思う? 俺達の中じゃ一番分かるんじゃねえか?」
急に話を振られ、バランは困ったような顔を見せる。
「ん~、どうでしょうねえ。人間でも、ものすごく力を集めれば出来るのかもしれませんよ」
「だよな! 鬼だったら、なおさら有るんじゃねえかな?!」
「馬鹿、ただのお世辞だよ。俺達は招待されて来たんだから、今の流れで聞かれたらそう答えるしかねえんだよ」
「や、聞いたのメヒヤーさんですよね?」
「あ、すまねえ。純粋に気になったもんで、つい」
「ウハハハハハ、ともかく謎多き国ネフレスクにご到着だ! ゆっくり楽しんでいってくれやお客人よお!」
坑道の様な壁の内部を、エイゼックが先頭に立ち、肩で風を切る。
鬼の国の歴史上、初めて招かれた人間。歴史上、重要な出来事ではある。が、招く方も、招かれる方も、その視点に気付くことはなかった。
こういった部分に無頓着であるがゆえに、ネフレスクの歴史書は記述が乏しく、後世の歴史家から見ても、その内容はとてもペラかったのである。
「……おい。…………おい!」
「……ん、あえ?! おえ? へ、へ?」
幌の奥で少女がむくりと体を起こす。
「な、なななな、な、に、何?」
「いや、着いたぞって……はあ。お前もそっち側だったか」
ルヴナクヒエが手前に転がるバゼットとマーニャに視線を向け、呆れた表情を見せる。
「……へ、へへ」
状況をよく呑み込めていない少女。寝起きの脳細胞は、とりあえず笑って切り抜ける判断を下した。
お疲れさまでした。
土日に書き終えればええやろの精神で続けた結果、週の前半はサボり、結局描き切れず次週持ち越しが多発しておる。良くないのじゃ。絵も描きたいはずなのじゃが、じゃがじゃがポテトさつまいも。流石に志が低いので、毎日少しずつは書くよう習慣にする。絵はちょっとリハビリが必要かもしれない。




