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恐らく、この物語に名前はない  作者: パブリッククレイン
7/8

日々7

「二人は一体どうしたんだ?」


居間で夕食を食べる父が母に尋ねた。

「さぁ?私が帰ってきてからずっとあんな感じだったから」

母が首を横に傾けた。



「うぅむ。それは困ったね。どうしたものか」


二人の行動は家族からすれば異様な光景に見えるのだろう。

陽気なユージロウがハルリに日頃から何かと言及

されるところを間近で見ているからだ。

それなのに、今回は父と母が帰ってきてから一度も面と向かって話していない。

何かあったと勘ぐるのが普通だ。

ふと、父一一シンヤがひらめいた様子だった。



「今度、図書館へ行こう。あの子達本読むの好きだったよな? それだったら……」

「何言ってるんですか? 高校生と受験生にそんな時間ありません」

「でもハルリは内部進学だろ?受験なんて関係ないじゃないのか?」

「例えなくても受験生には変わりありません。勉強しないといけない時期なんです」

「そんなに追い詰めるようなことしなくても愛だろ?俺なんて中学の時、こらと言って改まって勉強なんかしたことないぞ?」

「そんなこと知りません」

「そうか……ハルリ可哀想だな。遊びたい年頃だろうに…」


「では、貴方が変わりにしますか?」

「いや、遠慮しておく」

シンヤは咳払いをして焼酎を湯飲みに注いだ。


「サヤ、すっかり母親が板に付いたな。昔の君じゃあ想像がつかなかったよ」

母一一サヤは、笑っていた。

「そりゃあ、何年子供育ててると思ってるんですか?私も変わりますよ」


「フフッ、そうだな。俺達は年を取ったな」

そう言ってシンヤはゆっくりと湯飲みにを口まで運んだ。

「あら?そういう割にはお酒が良くおすすみのようですけど?御体に気を付けては?」

しまったと思った。一気にお酒が飲みにくい状況になってしまった。

「では、これで最後にしようかな?」


シンヤは原液を湯飲みに注ごうとした。

「そんなこと言って、また注ぐんでしょ?見え見えですよ」

「そんなことは……あるかもしれないな」


困り顔のシンヤをサヤは笑いをこらえてみていた。

やがて、耐えきれず二人揃って吹き出すように大笑いしていた。

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