日々7
「二人は一体どうしたんだ?」
居間で夕食を食べる父が母に尋ねた。
「さぁ?私が帰ってきてからずっとあんな感じだったから」
母が首を横に傾けた。
「うぅむ。それは困ったね。どうしたものか」
二人の行動は家族からすれば異様な光景に見えるのだろう。
陽気なユージロウがハルリに日頃から何かと言及
されるところを間近で見ているからだ。
それなのに、今回は父と母が帰ってきてから一度も面と向かって話していない。
何かあったと勘ぐるのが普通だ。
ふと、父一一シンヤがひらめいた様子だった。
「今度、図書館へ行こう。あの子達本読むの好きだったよな? それだったら……」
「何言ってるんですか? 高校生と受験生にそんな時間ありません」
「でもハルリは内部進学だろ?受験なんて関係ないじゃないのか?」
「例えなくても受験生には変わりありません。勉強しないといけない時期なんです」
「そんなに追い詰めるようなことしなくても愛だろ?俺なんて中学の時、こらと言って改まって勉強なんかしたことないぞ?」
「そんなこと知りません」
「そうか……ハルリ可哀想だな。遊びたい年頃だろうに…」
「では、貴方が変わりにしますか?」
「いや、遠慮しておく」
シンヤは咳払いをして焼酎を湯飲みに注いだ。
「サヤ、すっかり母親が板に付いたな。昔の君じゃあ想像がつかなかったよ」
母一一サヤは、笑っていた。
「そりゃあ、何年子供育ててると思ってるんですか?私も変わりますよ」
「フフッ、そうだな。俺達は年を取ったな」
そう言ってシンヤはゆっくりと湯飲みにを口まで運んだ。
「あら?そういう割にはお酒が良くおすすみのようですけど?御体に気を付けては?」
しまったと思った。一気にお酒が飲みにくい状況になってしまった。
「では、これで最後にしようかな?」
シンヤは原液を湯飲みに注ごうとした。
「そんなこと言って、また注ぐんでしょ?見え見えですよ」
「そんなことは……あるかもしれないな」
困り顔のシンヤをサヤは笑いをこらえてみていた。
やがて、耐えきれず二人揃って吹き出すように大笑いしていた。