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恐らく、この物語に名前はない  作者: パブリッククレイン
5/8

日々5

「ただいまって言っておく‼」

「他に言うことあるのかよ……」

次女モナの虚言に合わせ、玄関まで迎えに行ったユージロウ。


「ただいまおかえり、おかえりただいま!」

「モナが帰ってきたんだよね?」

「そうだよ‼」

「うん、だよな」

「いいからモナのランドセル持っていってあげて」

ハルリはユージロウを見て居間に急かした。

「お母さん、まだ帰ってきてないの?」

「まだ帰ってきてない。というか、寝てたから分かんない」

「は?それじゃあいないのと一緒じゃん。泥棒でも来たら同じように寝てたで済ませるの?」

「それとは話が別だろ」

ハルリは少々イライラしていた。無理もない。暑い中、モナの迎えに行ったのに留守番していたユージロウが呑気に寝ていたのだから。じめじめしているため余計苛立ちは増す。



ユージロウは申し訳なさに謝る他はなかった。

ハルリは一杯乳製品の原液と水とを1:3の割合でグビグビと飲み干した後、自身の部屋に籠ってしまった。

残されたのはユージロウとモナのみ。

年の差、およそ十歳。何を話せと言うのだろうか。逆に会話が成立し、気兼ねなく話せたらそれはどちらかの精神年齢が異常である。



「モナは今から何がしたい?」

試しに聞いてみた。

どうせ、小学生の女の子だからおままごとや、お絵描きが妥当だろう。

「家族お絵描き!」

予想通り。しかも二つ同時。少し引っ掛かったが、お絵描きの題材を「家族」にしたいと言うだけだろう。

仕方ないから付き合ってあげようと思った。

クレヨンと自由帳で不器用な世界を描いていく時間。



ユージロウにとって普通だと感じる日常だった。

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