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Number  作者: ささみ紗々
6/16

#6 断章

今回は短いです!

あれ、お付き合いは?って思うかもしれませんが、これからちょくちょく断章入れていきます。お話の大事なポイントをぶっこんでいきますので~!

「あれ? うみ、それなに?」


「ん?」


 とん。友達の綾香が、瞬間、触れた。

 ぶるっ。私の体が震える。冷や汗が出る。そこはダメ。触らないで。

 首筋を指でなぞりながら読みあげる絢香の、声が、響いた。


「1888?」

「いやっ!」


 あ。


 ぱしっ! 払い除けた手が、そのまま空で静止する。絢香の目が少しずつ大きく開かれていく。


 やっ、ちゃった。


「ごめ、」

「うん、大丈夫」


 ニコニコと笑う絢香に安心。の、はずだけれど。


「聡美~!」


 くるりと踵を返した絢香が、五人で話す女子達のグループに混ざって、同じ色に染まる。


 あ。


 また、私は一人になる。



 こうなるともう、魚眼レンズで見た景色みたいに私の世界は歪む。

 ぐるっと私を取り囲むようにみんなが立ってる。みんなから薄く伸びた影が、長く濃くなって私の元に来る。口元がぐいっと裂けた影。私を笑うのは、やめて。




 教室はキャンパス。でっかいでっかいキャンパス。

 顔を初めて合わせる日は少しだけ緊張して暗い色が浮かんで、そんな色はすぐ大きな声に消されてオレンジになる。


 人はそれぞれ色があると思う。ちなみに私はグレーかな。薄い色。誰にも気づいてもらえない色。

 綾香は黄色。明るい鮮やかな色。でもその色は、時に攻撃的になる。

 聡美たちのグループは赤。クラスで一番目立つ色。でっかいでっかいキャンパスに、でっかいでっかい存在感を放つ。


 人には人の、居場所ってものがあるんだ。


 私はここに来る意味があるんだろうか……どうせいつか、死んでしまうのに。

 ここに来ることが苦手だ。きっとみんな私を気味悪く思う。

 どうして自分だけにこんな辛いことが待っているのか、なんでみんなは何も知らないで笑っていられるのか。……神様は差別的だと思う。


 私はそっと首筋を触った。……怖い。

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