#6 断章
今回は短いです!
あれ、お付き合いは?って思うかもしれませんが、これからちょくちょく断章入れていきます。お話の大事なポイントをぶっこんでいきますので~!
「あれ? うみ、それなに?」
「ん?」
とん。友達の綾香が、瞬間、触れた。
ぶるっ。私の体が震える。冷や汗が出る。そこはダメ。触らないで。
首筋を指でなぞりながら読みあげる絢香の、声が、響いた。
「1888?」
「いやっ!」
あ。
ぱしっ! 払い除けた手が、そのまま空で静止する。絢香の目が少しずつ大きく開かれていく。
やっ、ちゃった。
「ごめ、」
「うん、大丈夫」
ニコニコと笑う絢香に安心。の、はずだけれど。
「聡美~!」
くるりと踵を返した絢香が、五人で話す女子達のグループに混ざって、同じ色に染まる。
あ。
また、私は一人になる。
こうなるともう、魚眼レンズで見た景色みたいに私の世界は歪む。
ぐるっと私を取り囲むようにみんなが立ってる。みんなから薄く伸びた影が、長く濃くなって私の元に来る。口元がぐいっと裂けた影。私を笑うのは、やめて。
教室はキャンパス。でっかいでっかいキャンパス。
顔を初めて合わせる日は少しだけ緊張して暗い色が浮かんで、そんな色はすぐ大きな声に消されてオレンジになる。
人はそれぞれ色があると思う。ちなみに私はグレーかな。薄い色。誰にも気づいてもらえない色。
綾香は黄色。明るい鮮やかな色。でもその色は、時に攻撃的になる。
聡美たちのグループは赤。クラスで一番目立つ色。でっかいでっかいキャンパスに、でっかいでっかい存在感を放つ。
人には人の、居場所ってものがあるんだ。
私はここに来る意味があるんだろうか……どうせいつか、死んでしまうのに。
ここに来ることが苦手だ。きっとみんな私を気味悪く思う。
どうして自分だけにこんな辛いことが待っているのか、なんでみんなは何も知らないで笑っていられるのか。……神様は差別的だと思う。
私はそっと首筋を触った。……怖い。