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girls side

恋とはなんだろう。

 私はいつも疑問に思っていた。

 よく小説には恋をした、と書かれていたりする。恋愛小説も読むが、私にはいまいち、恋というものがどういう感覚なのかうまく想像できなかった。

 そう。あの瞬間までは。

 高校に入学する直前のことであった。

 私は受験勉強の憂さ晴らしに、ネットで小説を読んでいた。

 素人が書いた小説がネットに上げられてあって、私はそういう作品を読むのが好きだった。

 その日、私は素晴らしい作家と巡り合った。

 その作家は自分の作品を自分の作ったサイトにアップしていた。

 サイト名は『失楽園』。

 そこに上げられている作品はどれも素晴らしかった。今まで味わったことの無いような、甘美なる文章。

 私は寝ることも忘れて、その作家の作品を読み続けていた。

 その作家の名前はオサム・ダザイ。

 明らかに太宰治からとったのが分かる。

 そのオサム・ダザイはプロの作家ではないか、と私は考えた。プロだと思うほどに上手い文章だったのだ。

 しかし、それはない気がした。

 文章はプロ並みなのだが、内容が今までないような小説の内容だったのだ。

 こんな独特な小説を書いているプロの作家は、私の知っている限りはいなかった。

 私の中には、いつの間にか、自分でもよく分からない感情が芽生えていた。

 オサム・ダザイに対して、私は特別な感情を抱いている、と気が付いたとき、私はこれは恋なのではないか、と思った。

 尊敬、羨望。そして、会いたいという気持ち。

 普通の女子の恋とは少し違うかもしれないけれど、これは、私の恋だった。

 でも、私はオサム・ダザイについてなにも分からないし、それも仕方がない事だ、と思っていた。所詮は叶わぬ恋だと。

 しかし、私は彼と出会った。

 高校に入学して間もなく、私は自分が生きる意味を見いだせずに、自分に絶望していた。

 いっそ、自殺してしまおう。

 そう思って、その日、私は屋上に来ていた。

 普段、屋上は立入禁止である。

 私は規則を破れるような、そんな度胸のある女の子ではなかったけど、そのときは、そんなことも意に介さないほど、切羽詰まっていた。

 でも、人間、そんな簡単に死ねるものじゃない。

 それも自ら命を絶とうだなんて、そうやすやすとできたもんじゃない。

 その時は屋上でしばらくの間、外の景色を眺めていた。

 実際は、私は景色なんて眺めていなかった。

 目に写っていたのは確かに屋上からの景色だが、私は自分の死後のことについて考えていたので、実際には何も見えていなかったし、聞こえてもいなかった。

「ゴミみたいな人生が集まって、そんでそれがそれぞれ絡み合って。それが人生なんだ。」

 私は心臓が止まるかと思うほど、驚いた。

 気が付かないうちに、私の隣に一人の男子がいて、私に言ったのだった。

「『ディメンション・ルーラル』っていう小説に書いてあった言葉だけど、知らないよな。」

 知らないわけがない。その小説は、私が恋した小説家の作品なのだから。

「風紀委員に見つかったらヤバいから、教室に戻ろうぜ。」

 私はその男子の言葉にうなずいていた。

 私には確信があった。

 この男子こそオサム・ダザイであると。

 あんなマイナーなサイトを多くの人間が知っているはずがない。

 その後、私はその男子について調べた。

 名前は後藤又兵衛。一年四組の男子。そして、教室内でノートに何やら書いていることも知った。

 きっと、小説を書いているのだろう。

 後藤くんの周りには、変人ばかりが集まっていること、そして、私にとっての恋敵がいることも知った。


「で?なんであなたが後藤くんの自転車にまたがっているのかしら?」

 登校中、恋敵に遭遇したので、あいさつをする。

「なんか文句でもあるの?」

「文句しかないわよ。」

 昨日、この女の自転車は私が潰した。だから、この女は本来ならば歩いて登校しなければならないのだが、この女は、あろうことか、後藤くんから自転車をかっさらい、それに悠々と乗っていたのである。

「どうして後藤くんの自転車にあなたが乗っているのか、きちんと説明してくれるかしら?服部叶さん?」

「なんというか、成り行きで?」

 ブチッ。

 自分の中で何かがブチぎれる音がした。

 後藤くんは歩いているというのに、この女は・・・

「おおっと、待った。花びら女。これは又ちゃんの自転車よ?まさかこれも潰すつもり?」

 問答無用!

 私は叶に桜吹雪を浴びせる。

 叶だけを狙って。

「流石、バスケ部のエースね。」

 叶は私の桜吹雪を紙一重で躱す。

「ふふふ。ぶっ殺す!紅鏡花!」

 服部叶は電撃を発生させる。

 どうやら、今日も遅刻しそうである。


 ケンカというものは、どちらか片方が手をひいただけでは終わらない。敵に背を見せた方が三途の川を眺めるはめになるからである。

 しかし、今日は珍しく私と叶とは息があった。

 金曜の始業式の反省もあったのだろう。

 私たちは授業開始十分前に戦闘を終了し、学校へと走った。

 叶は早い。なにせ、中学時代から注目されていたバスケ部のエースなのだから。対して、私は運動が大の苦手である。正直、走りたくもない。

 しかし、負ける気は毛頭もない。

 少なくとも、この女にだけは負けたくない。

 否、負けてはならない。

 負けてたまるかあああああ!

 校門前のラストスパート。

 油断していた叶はとっさに速度を上げられない。

 勝つまでとはいかなくても、同着は狙える。

 否。否である。

 勝つ。

 勝つと決めた以上は、一度でも自分自身で決めたことはやり通す。

 それが私の信念。私自身のルール。すなわち、存在意義と言ったっていいかもしれない。

 ぬおわあああああ!


 結果 同着 授業にはなんとか間に合うも満身創痍


 私の席は窓際である。

 だから、何が言いたいのかと言うと、景色がいい。窓の外から色んなものが見下ろせる。誰かを上から見下ろし、見下ろされていることに気付かない様子はなかなかの絶景だ。

 趣味が悪い?

 人間誰だって、自分の中に普段の自分とは違う人格が芽生えているはずよ。

 そう。教室の中での私はとても静かだ。

 悪く言えば、地味。

 きっと、クラスメイトは私と叶とのやりとりを目の当たりにすると、私を私だと分からないだろう。

 そのくらい、私は目立たない。

 ほとんど空気だ。

 というか、うるさい。

 窓の外から、人間のはしゃぐ声が聞こえる。

 窓の外から見下ろすと、多くの生徒が校門の近くに集まっている。

 まだサイズの合っていない、皺一つない、光に当てるとつやつやと光りだしそうなくらいの制服。

 そんな制服を着て、園児の遊戯のように窓の外を新入生がはしゃぎ回っている。

 私も一年前はこんな姿だったのだろうか。

 嫌悪感が芽生えてくる。

 そして、去年もこの教室の窓から私を、嫌悪感に満ちながら見ていた人がいたのだろう。

 腹立たしい。

 過去の自分があんなガキだったことに嫌悪し、去年の自分をそんな風に見ていた人物がいたであろうことに腹を立てる。

 う~ん・・・

 なんとなく矛盾しているような・・・

「紅さん。ちょっといいかな。」

 私の返答を待たずに、一人の男子が私の前の空席に腰を下ろす。

「ええ。いいけど。」

 前の席に座られてしまっては、拒否のしようもない。

「ほれ。津島も来いよ。」

 そう言って、もう一人の男子が来て、私の右隣りの席に腰を下ろす。

「遠足でどこに行くかなんだけど。」

 前の席の男子、好男子と誉高い清水くんが言う。

 今週の木曜日に私たち二年生はウニヴァというテーマパークに遠足に行く。ちなみに、三年生は水曜日から金曜日まで修学旅行だそうだ。

 清水はウニヴァのアトラクションでどれに乗るかを言っているのだろう。

 もう一人の男子、津島は心上の空で天井を見上げている。

 この男子は後藤くんの周りにまとわりついている残念なイケメン連中の一人である。

「別に私はどこでもいいのだけれど。」

 私たちのクラスは班をくじ引きで決めた。その方が理に適っているからである。さすが特進クラス。無駄なことは一切しない。

 私の声はほとんど聞き取れないほどか細い。

 それもクラスの中だけである。叶に対しての時は、人が変わったようになる。

「そうか。津島はどうだ?」

「ん?あー。適当でいいよー。」

 津島は腑ぬけたような声を出す。まるで徐々にしぼんでいくバルーンのようだ。

 清水もご苦労なことである。くじ引きで班を分けたとはいえ、結局は現地では仲のいいメンバーと落ち合って、そしてウニヴァを楽しむのだろうに。無意味だと清水自体も分かっているのだろうが嫌な顔一つせずに私たちと相談しようとする。好男子の名は伊達じゃないってことか。

 私は窓の外に目を移す。

 校門あたりを見てみる。

 相変わらず、同じような真新しい制服に身を包んだ新入生とこれまた同じような服装に身を包んだ保護者がたむろしている。

 どうやら校門付近で写真を撮っているようだ。

 その中に、その場にうまく馴染んでいない人影が存在している。

 その姿からは、新入生のような緊張感は感じられず、かといって、我が物顔というような貫禄もない。

 後藤くんである。

 私はおもむろに席を立ち、教室を出ていった。


 状況は間一髪であった。

 もし、服部叶が後藤くんを飛び蹴りで突き飛ばしていなければ、後藤くんは今頃ハチの巣になっていた。

「チェイサー!」

 叶が後藤くんの腹に飛び蹴りを決めた瞬間、私は叶を桜吹雪で突き飛ばす。

 瞬間、叶のいた場所に機関銃の銃弾が炸裂する。

「ちっ。外したか。」

 そう言ったのは、機関銃を構えたメイド服姿の少女。年齢は私たちとそれほど変わらないだろう。

「なんだ?この桜の花びらは。周りが全然見えなくなっちまったぞ?これはあんたの能力か?」

 メイドが言った。

 私はすでに、先ほどメイドが機関銃の弾丸を打ち込んだ場所に立っていた。

 私は桜吹雪を私とメイドの周りに展開させていた。こうすれば、周りからは中の様子は全く分からない。

「あなたは何者なの?どうして後藤くんを狙ったのかしら。」

 叶に対するのと同じような口調でメイドに言う。

「俺の質問には答えねえのか。まあいいや。」

 どこがいいのだ。

 お前は、お前は、後藤くんを傷付けようとしたのだぞ。

「昼の王が痺れをきらしていてな。後藤又兵衛を襲うと膠着状態を打破できるとかで、私たちに後藤又兵衛とかいうヤツを殺れって命令してきたんだよ。」

「あなたたちの上が昼の王ってやつで、後藤くんを襲えって命令してきたわけね。」

 そして、分かっていることがもう一つ。

 先ほどメイドは「私たちに」と言った。つまり、他にも仲間がいる可能性があるということだ。

「う~ん、それはちっと違うかな。私たちは昼の王の味方ってわけでもないんだがな。どっちかっていうと、昼の王と夜の王との争いに巻き込まれてるってカンジかな?私たちも、そして、アンタも。」

 どういうことだ。

「どうやら、昼の王についても、夜の王についてもアンタは知らないようだからな。」

 メイドとその仲間たちがどういういきさつで後藤くんを襲い、後藤くんは実は無関係だった。

 そんなことはどうでもいい。

 コイツらは後藤くんを殺そうとした。

 その事実があれば十分だ。

 私が目の前のメイドを殺す理由には十分過ぎる。

 私は湧き上がる怒りと殺意を必死に押し殺しながら、メイドに最後の質問をする。

「今日はお仲間は一緒じゃないのかしら。」

 私は決意したんだ。

 後藤くんがオサム・ダザイだと分かった時に、決めたんだ。

 後藤くんをあらゆるものから守り抜く。

 それが私の生きる意味。存在意義。私は後藤くんを守っているから生きているのが許されるんだ。だから、生きている限り、後藤くんを守る。後藤くんのためなら、平気で命を投げ出そう。

「そう。」

 これがお前の冥途の土産だ。心して受け取れ。

「カナチュウ!十万ボルト!」

「か、かなちゅううううう!」

 私の声を合図に、メイドの背後から叶が攻撃を加える。

 メイドは驚きの声を上げる暇もなく、虚空へと吹き飛ばされる。

「やなかんじいいいいいい。」

 メイドは去り際にそう言いながら、昼間の星となった。

 ノリのいい、メイド。

「どういうつもりよ。服部叶。」

 服部叶を密かにメイドの背後に移動させていたのは私である。

「あんたこそ、あのメイドをどうしようとしてたのよ。」

 そんなの決まっている。

 殺す。

 しかし、この女は私がメイドを殺すのを防ぐようにメイドをはるか遠くに飛ばしたのである。当初の私の計画では、叶がメイドの動きを封じ、その後、私が無防備なメイドを滅殺するはずだったのに。

「又ちゃんがそんなことを望まないのを、アンタはよく知ってるでしょう。」

「私は嫌われてもいい。嫌われてでも、後藤くんを守る決意が私にはある。」

「そうじゃないでしょ!アンタはマタちゃんのなにを一年間見てきたの?マタちゃんはね、自分のために誰かが傷付くのが大嫌いで、それがマタちゃんにとって一番悲しいことでもあるのよ。」

「なんなの?幼なじみだからって、自分は後藤くんのことを分かってるっていうアピール?」

 違うのは分かっている。

 私は屋上で初めて後藤くんと出会ったことを思い出していた。

 どうして彼は屋上で私に声をかけたのだろう。

 きっと、私が死のうとしていたのを悟ったのだ。

 誰かが死のうとしているのを止められる人間はどれほどいるだろうか。

 少なくとも、私には止められない。

 いや、正確には、止めたって私にはなんの利益もないし、死ぬのは個人の自由だから止めない。

 彼はきっと、自分が誰も救えないのを知っている。でも、それでも諦めきれないのだろう。誰かが苦しんでいるその理由さえ、彼は理解しているのかもしれない。

 彼には誰かの苦しみを理解できるほどの思いやりと優しさがある。

「マタちゃんは誰にだって傷付いてほしくないの。傷付いている人をほっとけないの。だから・・・」

 分かってる。

 だって、私とあなたは一緒だから。

 同じ男の子を好きになってしまっているのだから。

「私のために涙を流してくれるわけ?」

「だ、誰がアンタのために涙なんて流すのよ。」

 でも、少し泣きそうな顔だったんだけどな。

 でも、いいや。

 私のためにあの服部叶が泣いているところなんて、見たくもない。

 もしかしたら、後藤くんもこんな気持ちだったのかもしれないな、とそう思っていた。

「後藤くんを保健室まで運ぶのを手伝ってくれないかしら?誰かが腹部に飛び蹴りを食らわした、可哀想な男の子を。」

 しょうがなかったじゃない、などと叶はいいわけをしている。

 当の後藤くんは、植え込みの植物の上に、干された布団のように引っかかっていた。


 放課後は塾へ行く。ほぼ毎日である。正直、帰宅部といっても、部活をしている叶のような運動部と、自由時間の少なさは同じ程度である。特に、私の進んだ特進クラスは、叶や後藤くんのような普通科の生徒とは比べものにならないほど、授業が難しい。塾へ行って、その日の授業をみっちり復習して、やっとのことでついていけている状況だ。

 それでも、私はへこたれない。なぜなら、自分で決めた道だから。自分自身の選択には、それなりの責任が伴う。そこのところはギャルゲで学習済みだ。

 春といえど、まだまだ日が短いようだ。塾から帰るころには辺りは真っ暗になっている。

 その暗い夜を見守るように、真ん丸な月が高い位置に輝いている。

 春の夜空に輝ける望月。

 ここに桜の木があれば最高だろう。

 しかし、私の歩いている市街地には桜の木など一本もない。

 そうだ。

 私はあることを思いつき、実行する。

 掌を広げ、器のような形をつくる。

 月からの輝ける果汁を受け止めるように。

 そして、その掌に向かって、息をふっと吹きかける。

 私の掌から桜の花びらが舞い上がっていく。

 月明りに照らされた花びらは、黄色い光に当たって透き通り、昼間の桜とは違う色合いを見せる。

 桜の花びらはすぐに散る。

 昔の人はそれ故に桜の花に美しさを見いだした。

 咲いて散っていく、その死と再生に美を感じたのだ。一時の美しさの哀れさに。

 私は哀れなのだろうか。

 それゆえに、このような能力に目覚めたのだろうか。

 それでもいい。哀れでもなんでも。そんなこと、どうだっていい。

 誰かに哀れまれようとも、私は自分の選択に責任をもって行動するのみ。それが例え誰かに操られた選択であっても。どんな選択にも、きっと責任が伴うはずはずだがら。何かをするという選択にも。何もしないという選択にも。

 私は他人を気にしない。

 笑いたければ笑え。可哀想だと思うなら、勝手に哀れんでいろ。

 私は咲き誇る。

 例え一時の間でも。

 精一杯咲き誇ってやる。

 自分がここにいると思い知らせてやる。

 百花繚乱。

 私はどんな花よりも可憐に、力強く咲いてやる。

 私は能力を解除する。

 すると、舞っていた花びらが消えていく。

 自分の能力には目を楽しませるようなことができることをその日私は初めて知った。


 私は自分の感性を疑ったことはない。

 人にはそれぞれ個性があることはよく理解している。

 人によっては考え方が違うことも。

 しかし、ゆずれないものが私にはある。

『今回はイマイチだったな。前回の方が俺は良作だと思う。』

 何を言っているのだ、この阿呆は。

 私はSNSでアニメの批評をしている阿呆にダメ出しをする。

 この阿呆はちょうど去年ごろ、急に現れた阿呆である。これでもちゃんとアニメを見て来ていたのか、と疑うほどに、着眼点がおかしい。貴様は今までアニメを見て来ていたのか?見て来ていたのなら、どこを見ていた?まさか、オープニングしか見ていないのか?ド阿呆が!

『一応、ロボットアニメはある程度見てるんだけどな。ガ×ダムとかは、劇場版で見たし。』

 なんだと⁉

 ガ×ダムを劇場版でしか見ていないだと⁉

 そんなヤツがアニメについて語っているとは・・・世も末だ。ふざけるな。たわけ!

『あー。俺、明日も授業だから、もう寝るわ。』

 寝るのが遅いんだよ。もう午前三時だ。おこちゃまはおねんねの時間だぞ。ろくにアニメについて語る資格のない坊やよ。

『おやすみ』

 起きてくるな。お前のような人間がこの世に存在しているだけで虫唾が湧く。

 とはいえ、私もそろそろ寝なければな。

 ホント、この世界にはどうしようもない阿呆もいるもんだな。

 私の身近にそんな阿呆がいないだけ、私は幸せだ。

 ハンドルネーム・冴えない男。

 それがその阿呆の名前だ。

 三次元でも冴えないのだろうな。あんな阿呆は。

 私はベッドに転がり、顔の筋肉を緩ませていた。

 笑っている?

 どうして私は笑っているのか分からなかった。

 虫唾の湧くような阿呆なのに。

 どうしてだろう。

 そんなことを考えているうち、私は眠ってしまっていた。



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