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2話 え、私が新入生代表!?

「受かってるかな···」


そう呟いてそわそわと落ち着かないように歩き回るリリー。

そう、あの勉強地獄を乗り越え入試を受けたのだ。


「ただいま~。あ、リリー、こんなお手紙が~。」


そう言ってマリアは持っていた手紙をリリーに手渡す。




 受験番号498番 リリー・カーライル


     合格




シンプルな事しか書かれていなかったが、リリーにとってそれはとてつもなく嬉しいことだった。


「や······やったぁ!合格したよ!ママ!」


涙を浮かべて歓喜するリリーに、マリア。


「この紙、裏に何か書いてあるわよ?」


「え?」


そう言い、リリーは紙を裏返してみた。するとそこには、


『入試で満点だった貴女には、新入生代表になる義務を与えます。感謝してください☆


 ローレイズ・メルタクラスより』


とだけ書いてあった。


ローレイズ・メルタクラスといえば、メルタクラス大陸を発見したローレライ・メルタクラスの姉であり、そして学校の創始者でもある。つまり偉い。

だがリリーは、


「だ、代表!?ムリムリ、恥ずかしい!なんで私なのよ!」


手紙に全力で抗議していた。

幼い頃から人前で話すのが大の苦手だったリリーは、受験より大きな壁にぶつかることになった。




◆◆◆


(あああああああああもおおおおおおおお恥ずかしいよおおおおおおおおお)


リリーは今とてつもなく悶えていた。自分が全校生徒の前で話している姿を思い浮かべただけで顔が真っ赤に染まっていた。


『新入生代表の挨拶。リリー・カーライルさんお願いします』


「は、ひゃい!」


思いっきり噛んでしまった。恥ずか死にそうになる。


(あれは人じゃないきゅうりだきゅうりきゅうりきゅうり······よし、いける)


『皆様、入学おめでとうございます。───


気持ちを落ち着かせたらすらすらと発表することができた。

リリーは元々記憶力が異常に良い。辞書一冊を1日で全部記憶できる程には。


───新入生代表、リリー・カーライル。』


拍手が巻き起こる。おかしくはなかったらしい。


(恥ずかしいよおおおおおおおおおうわああああああああ)


リリーはまた悶えていた。




◆◆◆



「じゃあ自己紹介も終わったし、適正属性と魔法適正値を調べるぞー。廊下に適当に並べー。」


やっと魔法が使える、とリリーは安堵していた。

周りが殆ど年上なのだ。緊張しかしない。






廊下を抜けるとそこは闘技場のようだった。


「ここは練習場、実技の時に主に使うからなー。」


そう言って教師は全員に小さな水晶玉を配った。


「最初に属性を見るぞー。それに力を込めるイメージをしてみろ。」


力といってもピンと来ないリリーは辺りを見回してみた。

既に一部の人の水晶玉が光っている。なるほど、色で属性がわかるのか。


属性は基本6つで、火、水、風、地、光、闇。上級属性とかもあるがいまはどうでもいい。


(力···力かぁ······えいっ)


ちょっと強く水晶玉を握ってみたら、それが虹色に輝きだした。

それを見ていた教師はぎょっと目を剥く。


「適正···全属性適合(オールマイティ)だと······」


オールマイティ。全適合の呼び名。今までオールマイティはたった2人。

ローレライ・メルタクラスと、マディウス・エルダーという魔導師だけだ。

つまりリリーが世界で3人めとなったのだ。

リリーもそれは知っていたので、


「え、えぇ!?私が!?」


と叫んでしまい、回りの注目を集める事になってしまった。



◆◆◆



「ま、まぁ全属性適合が出たのは歴史的快挙だが、今は全員の魔法適正値だ。」


魔法適正値というのは、言ってしまえば魔法の才能である。それを数値化したものだ。

もっとも、この数値は鍛えることができるので、ステータスの方が近いのかも知れない。


「測定にはこの装置を使う。先にやりたい奴は前に出ろー。」


「ではwwwww拙者がwwwwいや失礼wwwww某がwwwwww先にやらせてもらうwwwwwで御座るwwwデュフコポォww」


なんだあいつ。もう一度言おう。なんだあいつ。


「ウザール・キモキモイの魔法適正値は······92だ。一般人以下くらいだな。努力してくれ。」


「そ、そんな······ゆ゛る゛ざん゛!」


「はい、次。じゃあエル・アスターレイから。」


そう先生が言うと金髪の子が出てきた。

エルちゃんと言うらしい。


「エル・アスターレイの適正値は······!?860!間違いなく天才だ!」


「「「「おおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」


凄い歓声が上がる。


(天才······いいなぁ。歓声は要らないけど。)


「次───


            ────最後!リリー・カーライル。」


「あ、はい!」


さて、どの程度のものになるだろうか。500行っててくれると嬉しい。


「リリー・カーライルは·······」


なかなか発表してくれない。よくみると小刻みに震えている。


「あの、先生。気になるんで、早く······」


「あ、ああ。すまない。リリー・カーライルの適正値は······」


次の瞬間、教師の口から恐ろしい一言が発せられる。




「リリー・カーライルの適正値は······5800。」

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