19話 やはり人外であったか
「あぁぁ~、私も戦いたいよ~」
「····いつからリリーは戦闘狂に?」
現在、リリー達は闘技場に客席で観戦をしていた。
今行われているのは学校の魔法大会。3日の間、闘技場を学校が貸し切りにして行う、学校内で誰が一番強いかを競う大会だ。この大会はトーナメント形式なのだが、リリーとエルはトーナメント表に名前すら書かれていなかった。
◆◆◆
「これから魔力適合率を測ってもらう」
夏休み明けの一番最初の授業は、魔力適合率とやらの測定だった。
魔力適合率というのは、ざっくり言えばどれだけ体が魔力に慣れているか、というものであり、これが高ければ高いほど魔法が上手くなっていく。そして、魔法を使えば使うほどこの値は高くなっていく。つまり熟練度のようなものだ。ちなみに、適正とは違い%で表される。
種族によって限界値が決まっていて、人間は80%が限界。ちなみに龍族は100%まで適合できる。この時点で既に嫌な予感しかしない。
「次、カーライル」
龍族うんぬんの説明が入ったとき、リリーは滝のように冷や汗をかいていたが、ついに順番がまわってきた。
どうか変な結果が出ませんように、と全力で祈りながら、リリーは適合率を測った。
結果は────────98%。
どうやらリリーは思っていた以上に龍の血が濃いらしく、ほとんど100%に近い数値を叩き出してしまった。
「·····まあ良い。次、アスターレイ」
正直この担任の対応に一番驚くリリーだが、エルはなんでもないように前に出て、測定を始めた。
エルなら余裕で80%を取れるだろうと思って油断していたリリーだったが、そのせいで地面に頭を打つことになった。
結果は────92%だった。
リリーは驚きの余り盛大にずっこけてしまった。
「·····あれだ、お前ら、魔法大会はシード枠な。3日目のラストにだけ戦ってもらう。そうじゃないと駄目だ。うん」
◆◆◆
一週間前にこのような事があったため、二人は暇をもてあましていた。
リリーがふと思い付いた疑問を口にする。
「ねぇ、エルちゃん。なんであの時、エルちゃんも人間じゃない数値出したの?」
「それが、わからない。本にも、『龍の血が流れているものの体液を接種すれば、魔法力上昇が見込める。ただし、龍の細胞に適合出来なかった場合は死に至る』としか、書いてなかった。」
「へー、体液を接種·······あ」
エルがマリアに酒を飲まされていた時の事を思いだし、少しゾッとした。運が悪ければあの時エルは死んでいたのか、と。
だがそんなことは微塵も覚えていないエルは、首をかしげながら、
「····心当たり、あった?」
「え!?あ、いや、ないよ」
うっかりコミュ症っぽくなってしまったリリーだが、これで誤魔化せると思うリリーは少しアホである。もっと言えば、これで誤魔化されるエルもアホだが。
「いやー、暇だなー。エルちゃん、模擬戦でもしない?」
「·····いいけど、どこで?」
「う~ん、あ、上空はどう?」
「うん、良いと思う」
リリー達は、上空3000m程の所にいた。何故こんな高いのかというと、魔法の余波が届かないように、というのが一つ。地上の人に見られたら困るというのが一つである。
「うわぁ、やっぱりちょっと怖いなー。」
「じゃあ、やめる?」
「やめない!じゃあ始めるよ!」
こうして二人は、約3時間の間、魔法を撃ち合っていた。




