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17話 エルのキャラ崩壊は加速する

自分以外の全てが灰色に染まり、凍った様に何も動かない世界。


「これが····時魔法·····凄い。私、時を止めてるんだ······」


そう呟いたリリーは、立ち上がろうとする。が、体が動かない。それは、膝枕で寝ているエルも固まってしまっているからだ。それに気づいたリリーは、エルだけ時間を動かす事にした。だが。


「ん······あれ、りりー?」


「あ、起こしちゃった?ごめんね、エルちゃん」


時が止まった中でエルが目覚めてしまった。だが、エルは寝ぼけているのか、リリーの体に抱きつくと、そのまますやすやと寝息をたて始めた。


「また寝ちゃった。あれ、こういうのって幼児·····なんとかって言うんだっけ。まあ良いや」


 リリーが言いたかったのは幼児退行であり、その考えは間違ってはいなかった。

 エルはもともととても甘えん坊な性格だったが、色々あって今の性格になった。だが、やはり根本は変わらず残ってしまった。なので、精神が不安定な時にこうなってしまうのだ。

 だが、リリーはそんな事は知らないので、変なの、程度にしかとらえていない。


「やっぱり普通に運ぶかぁ·····よいしょっと、何で寝てる時ってこんなに重くなるんだろう」


リリーは胴体に抱きついているエルを起こさない様にゆっくりと部屋のベッドに運んだ。



◆◆◆



「ふぅー。今日は疲れたなー。お風呂が染み渡るよー。」


 湯船の中でそんなババ臭い事を言っているのは、リリー・カーライル(12)。12歳である。

 マリアにスパルタで指導された後にエルに膝枕をして、その後に気の済むまで寝ているエルをなでなでしていたため、相当疲れが溜まっているようだった。

 リリーが一人でゆったり風呂を満喫していると、唐突に扉がガッと音を立てて開いた。


「·····リリー、良い?」

「おっ、エルちゃん。どうぞどうぞ。ところで、何でバスタオル?」


 エルが入ってきた。昨日も風呂は一緒に入ったが、昨日は無かったバスタオルがエルに装着されている為、リリーは少し疑問に思った。だが、今のエルにはそれは悪手だった。


「·····リリーは、私の素肌、見たいの?」


 リリーは固まってしまった。当然だ。普段は大人しいエルが、起き抜けでもないのにそんな事を言い出したのだ。しかも、顔をほんのり染めて。 真っ赤だったならまだ冗談として通じただろう。だが、エルの表情は完全に冗談のそれでは無かった。


「え、あ、ちょ、エルちゃん?なんか変じゃ·····ああっ!待って!今はタオル取らないで!」


 エルがバスタオルを取って向かって来るため、リリーは必死に説得するが、無意味。魔法まで行使して、エルは一瞬でリリーの背中に抱きついた。


「リリー、大丈夫。怖くないよ·····だから····ね?」

「ね?じゃないよ!怖いよ!ってちょっと臭うよ!エルちゃんお酒飲んだでしょ!」


そう、リリーの言う通りエルは酒を飲んでいた。正確には、こうなる事を見越したマリアが無理矢理飲ませたのだが。マリアはリリーを何処へ向かわせたいのだろうか。


「大丈夫だよ~、消臭魔法ってゆう隠密用の魔法があるの~。えい」


そう言うとエル(酔い)は手を上に掲げると、手から魔力の球を出し、それを口の中に入れた。


「ほら、お酒の臭い、しないでしょ?だからね、リリー?」

「確かにお酒の臭いはしなくなったけど!そういうことじゃ····ど、どうして顔を近づけてるの?」

「ふふ、もう観念して?逃げ場は無いし、防音もばっちり。大丈夫。痛い事はしないよ」

「ま、待って!近い!近い!待っ······」









おまけ



「ちょっとママ!何してくれてんの!」


「ふふ、どうだった?感想は」


「どうじゃないよ!ちゅーされたよ!初めてだよちゅーされたの!舌入れられたよ!」


「あら、良くそれで済んだわね。媚薬盛っておいたのに」


「本当に何してんの!?」

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