15話 答え
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小鳥がチュンチュンと鳴き始める頃、リリーは眠い目を擦りながら重い瞼を開いた。
茶色い木の天井と、簡単なシーツが体に覆い被さっているのが目に入る。
ここでリリーは、自分の家に帰ってきていることを思い出した。
リリーは起き上がろうとするが、何かが引っ掛かり起き上がることが出来ない。
ふと横を見ると、エルが思いっきり抱き締めてきていた。
「ふふ、エルちゃん起きて。朝だよ···ってわわわ!」
リリーが声をかけると、エルは更に腕に力を込め、リリーもエルに抱きつくような形になってしまった。
これはいけないと思い、リリーは少し大きな声でエルに呼び掛ける。
「エルちゃん、起きて!朝だよ!」
「んん·····あ、りりー?おはよう······ぎゅー」
「わ!エルちゃん寝ぼけてる!?」
いつも冷静で割とクールなエルがそんなことをしたことにリリーは少し驚いた。
そして最悪のタイミングで悪魔が現れる。
「リリー、エルるん、ご飯·····って、あらあらうふふ」
そう、マリアだ。
マリアの視界にはリリーとエルが抱き合っている姿がしっかりと映っている。
そして寝ぼけているからなのかエルの顔が少し紅潮していた。
そんな二人を見てマリアは、
「お邪魔だったかしら?ふふふ、ごゆっくり~♪」
天使のような悪魔の微笑みを浮かべてそそくさと部屋を出ていった。
「ちょっと!? ママ!違うの!聞いて!ママぁぁぁぁ!!」
部屋にリリーの叫びが響いた。
◆◆◆
───リリーの脳内は尋常ではないスピードで回転していた。
辺りの状況を一旦整理してみよう。
今リリーとエルはリビングのテーブルに向かい合わせで座っている。
エルは真っ赤でずっとうつむいている。
マリアは料理を作るためにキッチン。
リリーは頭をフル回転させ、やがて一つの結論に辿り着いた。
────「あ、詰んだ」それが現状だった。
「·······ねぇ、リリー」
「ひっ、ひゃい!?」
エルがうつむいたままいきなり話しかけてきた。
あまりにもいきなり過ぎたので、リリーは少し焦ってしまった。
「·····朝の事は忘れて」
「え、えーと····」
「いいから」
「はい」
そんな時、中途半端な空気をぶち壊すかのように、幸せオーラ全開のマリアが、食事を持ってやってきた。
「今日の朝御飯は赤飯で~す♪」
「ちょっとママ!さっきのってご飯って呼びに来たんだよね!?わざわざ炊きなおしたの!?バカなの!?」
リリーが顔を真っ赤にしてマリアを質問攻めにするが、マリアはそれをスルーし、
「それじゃ、いただきまーす♪」
「スルーしないでよママ!·····あっ、おいし」
◆◆◆
「これから、リリーとエルるんの将来に関わるお話をしたいと思います!」
マリアは唐突にそう言って、外に出ていった。
リリーもエルも何だろうと思い、マリアに続いて外に出た。
庭には椅子が3つ用意されていた。
マリアは二人をそこに座るように促す。
二人が座ると、何故かマリアは立ったまま真剣な表情で話し始めた。
「まず、始めに一番驚く事を言わせてもらうわ。ごめんなさい。」
マリアはそう最初に言い、呼吸を整えリリーの目をしっかりと見て、言った。
「リリーはね─────人間じゃないの。」
リリーとエルに衝撃が走った。
リリーは涙目になり、問う。
「····それじゃあ、私はママの子じゃ無いって事·····?」
「それは違うわ。今からその答えを見せてあげる。」
マリアはそう言うと、海岸まで歩いていき、徐に懐から笛を取り出した。
マリアは美しい音色を奏でる。
エルもリリーも聞いたことが無かったが、不思議とリリーには懐かしく思えた。
すると、遠くから凄まじいスピードで何かがこちらにやってくる。
「グオオオオオオオオッッ!!!!」
耳が張り裂けそうなほどの咆哮。リリーとエルは目を瞑り耳を塞ぐ。
咆哮が止み、二人は恐る恐る目を開ける。するとそこには、
────銀色の巨大な龍がいた。
そして、その傍らにはマリアが立っている。
「これが答えよ。」




