13話 夏休み、リリー宅へ
「明日から夏休みで嬉しい気持ちもわかるが、休み明けの魔法大会に向けての鍛練を忘れないように!あとカーライルとアスターレイは職員室に来い。以上!」
明日からは夏休みだ。この学校長期休みに宿題は出ないが、実力が上がっていないと退学もあり得るのでなかなかにシビアだ。教室がざわついている。
そんな中リリーは、説教があると思いビクビクしていた。
だが、エルは何となく察していたため、躊躇いなくリリーの腕を引っ張った。
「ほら、リリー、行くよ」
「ああっ!待ってエルちゃん!心の準備が·····ああっ待たれよ!うわーん!」
◆◆◆
「アスターレイには夏休みの間、カーライルの家にいてもらう。」
職員室に入りまず最初に言われた言葉がそれだった。
リリーは腰を抜かしそうな勢いで驚いており、エルはうんうんと頷いている。
「もともとカーライルは家に帰るつもりだったのだろう?じゃあ良いじゃないか。親御さんにも話は既に通してあるぞ」
「まあ嬉しいんですけどぉ·····急すぎていろいろ着いてけませんよ·····」
「これで話は以上だ。夏休み、エンジョイしてこいよ?」
すると、エルは窓の近くまで歩いて行き、窓に手をかけた。
「ありがとうございます。」
その一言でエルは窓から飛び出してしまった。
「ああっ!ちょっと待ってエルちゃん!先生すみません!」
そう言い残してリリーも窓から飛び出してしまった。
先生はしばらく唖然としたままだった。
◆◆◆
(リリーの家に、お泊まり······)
「······♪」
エルは今、気分ルンルンで空を飛んでいた。
ここだけ聞けばのどかなものだが、スピードは音速を越えているのである。
「エルちゃん、楽しそうだね?」
「ぴっ!?」
····それ故、リリーが突然隣に現れたので驚いて変な声が出てしまった。
エルは真っ赤になりそっぽを向いて、リリーは少し笑いながら手を合わせた。
「······リリー、ちょっと嫌い」
「ふふ、ごめんごめん。許して?この通り!」
「·······許す」
「あはは、エルちゃん大好き!」
リリーは笑ってエルに抱きつく。
エルは少しバランスを崩してしまったが、すぐに立て直す。
「·····で、どうしてこんなに、早かったの?」
「瞬間移動したんだよ。私の家って遠いから、案内してあげなきゃって」
リリーがエルの方を向いてにぱっと笑う。
エルは自然と微笑んでいた。
────もう一度言うが、音速を超えるスピードでこのふたりは飛んでいる。




