12話 ガルーダを使い魔にしたい(後)
少年の姿のガルーダはにやりと笑い両手を広げる。
リリーが警戒していると、ガルーダは詠唱に入った。
『母なる炎よ、更なる力を。不死の炎よ、焼き尽くせ。《竜王烈火》』
瞬間、竜を模した炎がリリーに飛びかかる。
リリーは防御魔法を使おうとして、ガルーダのサモン条件を思いだし慌てて炎の壁を作り出した。
「ふぅ、危ない。じゃあ次はこっちから。」
そう言うと、リリーは杖に魔力を込め、詠唱に入った。
「『炎、それは意思だ。何人にも負けぬ堅い意思を持て。』」
そこまで詠唱が終わった時点でガルーダは炎の檻に閉じ込められていた。
だが、まだ詠唱は続いていた。
「『檻に閉ざされし哀れな小鳥よ。格の違いというものを知れ。《獄炎の神槍》』」
リリーが杖を上に掲げると、空から炎でできた槍が大量に降ってくる。
そしてそれらが全てガルーダに吸い込まれるように飛んでいった。
───だが、リリーは続けて無詠唱での魔法を放った。
「《マジックボム》」
────その日、高台が一つ消滅した。
◆◆◆
『いやー、まさかこの高台を蒸発させるなんてねー、驚いたよ』
「私も自分の力が信じられないよ·····」
リリーは約10分前、大きな高台でガルーダと戦闘をしていた。
だが、リリーが放ったマジックボムにより高台は蒸発、クレーターのようになっていた。
ガルーダは鳥に戻り、リリーの前にちょこんと立っていた。
「ところで、エルちゃんさっきからふらふらしてるけど、どうしたの?」
ガルーダが人形になった辺りからだろうか。エルはフラフラとその場を回っている。
『ああ、ごめん、僕がちょっと幻覚魔法をね。解除するよ』
「にへへへ······ハッ!えっと、ここは····ってリリー、大丈夫?」
どうやら正気を取り戻したらしいエルに、リリーは少々疑問を覚える。
「私大丈夫だけど、エルちゃんどんな幻覚見てたの?すごい幸せそうだったよ?」
「!!」
リリーがそう聞くと、エルは一気に顔を耳まで赤くして、そっぽを向いて
「·····秘密。」
と言った。リリーはそれを見て可愛いと思ったが、あまりに真っ赤だったので話題を変えることにした。
「と、ところでガルーダ?使い魔にはなってくれるの?」
するとガルーダは嬉しそうに、
『勿論!いままで僕を圧倒できた人間なんて君くらいしかいないよ!ちょっと手を出してくれるかい?』
「こう?」
リリーは言われたままに右手を出すと、ガルーダはそこに翼を重ねた。
すると、リリーの手の甲に魔方陣が浮かび上がった。
『これで僕とは契約完了だ!誇っていいよ!』
◆◆◆
リリーたちは寮の部屋に戻ってきていた。
リリーが途中で瞬間移動なんてものを作り出したから、誰にも気づかれずに戻ってこれた。
「よく考えたら、ガルーダなんて連れてたら騒ぎなんてものじゃないよね······」
「リリー、先生に何て説明するの?」
「むむむ·····えぇい!どうにでもなれ!全部話してやるー!」
このあと滅茶苦茶説教された。




