*バラの国のお姫さま~bad end*
~最初の夢・バッドエンド~
☆バラの国のお姫さま☆
昔々ある小さな国で、可愛いお姫さまが誕生しました。この国は領地が余り豊かで無く、王さまも国民も皆家族の様に寄り添って日々を暮らして居ました。
国の特産は小さな可憐なミニバラです。温室で大切に育てられ、輸出されていました。
お姫さまの10才のお誕生日。お城ではささやかなパーティーが開かれて居ました。でもお姫さまは少しお疲れぎみ。主役なのに抜け出して、バラの温室の有る庭園に隠れて居ました。ベンチに座って居たら何だかうとうと…。
おい!あっいけない寝ちゃってた?ガバッと頭を上げ目を開けると目の前にはキラキラした男の子。知らない子だけど誰かな?
その男の子は隣国の王子さまでした。
居なくなった私を皆で探していて、王子さまが見つけてくれたそうです。バラの大好きな国の王子さまで、我が国の温室に視察に来ていたみたい。
パーティー会場に戻ったら、大輪の赤いバラの花束のプレゼントを貰ってしまいました。何だか真っ赤な花束は私に似合わない気がするけど、やはりプレゼントは嬉しい。
それから半年後、隣国に戻った王子さまからお手紙が届きました。婚約して欲しいとのお手紙でした。勿論大国の王子さまからの申込みです。家族は大喜び。国民も大喜び。勿論お断り何て出来ません。私も一度逢ったきりですが、あんなに素敵な王子さま。嫌いな訳は有りません。まして一目惚れ何て言われて喜んで居ました。
でも我が国は貧乏です。持参金が余り出せません。無くても構わないとは言われた様ですけど…。ならば一念発起!と、国総出で大輪のバラの品種改良を進める事にしました。実は前々から試みては居たのですが中々大きさが安定しなかったのです。でもお姫さまの為に頑張ろう!バラが大好きな大国に嫁いでも恥ずかしく無い様に!皆で頑張りました。
バラは完成しました。ピンクとホワイトの沢山の花びらに包まれた大輪のバラ。一本でも存在感抜群。キラキラしてます。お姫さまはそのバラを摘んで花束にして王子さまの到着を待ちわびて居ました。今日は王子さまがお城に訪問してくれるのです。
しかしやって来た王子さまは厳しいお顔でひと言。婚約を破棄させて欲しいとのお言葉でした。勿論此方から文句は言えません。でも何故!?お会いしたのは一度だけ。でもお手紙やプレゼントで気持ちは繋がっていたと思っていたのに。お姫さまは王子さまが本当に好きになって居たのです。
その夜王子さまに渡せなかったバラの花束を胸に、お姫さまは湖に身を投げてしまいました。国中の皆が悲しみました。
お姫さまの国葬には、王子さまは来ませんでした。他国のお姫さまと結婚したそうです。
皆が悲しみながら最期のお別れをしました。バラを1輪づつ棺におさめます。最後にロマンスグレーな男の方が、棺バラを捧げました。これで本当のお別れです。
お姫さまはお空に登って行きました。
お葬式に来ていたロマンスグレーのおじさまが実は超大国の王さまで、この後棺に供えられたバラを気にいってくれた事。沢山注文してくれて国が豊かになった事。皆は国が豊かになる事を喜びながらも、本当はそれよりも何よりお姫さまに幸せになって貰いたかった事。実は超大国の王さまはお姫さまをお誕生日のパーティーで見て以来、可愛いと思っていた事。でも一回り以上の年の差で何も言えなかった事。言って居れば何かが変わって居たのかと後悔した事。
お姫さまは知る事が出来ませんでした。