はじめに
無数に存在する異世界、その中の一つにカザロイアは存在した。
いまだ科学文明は発展しておらず、剣が全てを支配している世界。
遠大な二つの大陸から成り北と南に分かれ、数々の種族と人間が争い、共存し、栄えていた。
しかしそんなどこにでもある凡庸な世界に突如として歪が生まれ、世界の在り方を変えてしまう。
「デモンズゲート」の出現、それによる北の大陸を収める大国ヨーランドの滅亡、魔族の出現、魔素の充満。
いまだ剣のみを振るい戦うヨーランドの住民は成す術もなく魔族により南の大陸の都市国家群へと逃避を余儀なくされ。
北の大陸の文明は終わりを告げた……
だが、文明が潰えようとも、人々の心に残る故郷への思いは消えなかった。
北の大国の再興を願い切磋琢磨し力を付け生き抜く人々の中に彼は居た
亡ヨーランド王国第一王子クレイン・ケーニッヒ。彼もまた国と民を失い、南への逃亡を経てなお祖国の再興を願い戦う者であった。
歪が生まれ、秩序の消失した世界で。彼と、彼が操りし魔剣「グリムリーパー」そしてどこからか現れた魔族たち。
カザロイアの運命を巡る旅が始まろうとしていた……