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新型艦建造

 結局、義勇海軍最高幹部会議の結果は、予算内で出来うる限りの部隊装備拡充となった。


 しかし、この会議は面白い物で、参加者の多くは日本人であるが、中には王情報将校のように中国系や台湾系も混じっていた。そのため、白根をはじめ、日本人も出来うる限りの中国語を使おうとした。しかし、王たちの多くは日本語を解するものばかりで、大貫のように怪しい中国語で喋った後に、王に綺麗な日本語で答えられるという場面が幾度も合った。


 こうした言語がごちゃまぜになる状況は、大亜細亜造船や義勇海軍内では当たり前になっていた。言葉も文化である。そして文化は、常に変容するという事実が見られる場面である。


 閑話休題。


 会議の翌日、北上技師が司令官室に呼ばれた。


「巡洋艦ですか?」


 白根が北上に命令したのは巡洋艦の建造だった。


「そうだ。「流星」級駆逐艦と同じく、短期で量産可能な船だ。もちろん、安価にして欲しい。難しいだろうががんばってくれ。成功したらボーナスもちゃんと出すぞ。」


 中華民国海軍が巡洋艦を持つことから、対抗しての計画であろうが、また厳しい要求である。


 巡洋艦と駆逐艦は確かに同じ戦闘艦ではあるが、大きさを比べるだけで、3倍から6倍ある。加えて乗員の数も5倍になるし、主砲の威力も上がるから強度も強くしなければらない。加えて、建造期間も大幅に伸びる。


「一応帝国海軍に図って、軽巡「夕張」の概観図を譲渡されることとなっている。それを参考にしても良いということだから、とにかく短期間で作り上げて欲しい。それと、台湾の方は別の人間を派遣するから心配しないでくれ。」


 こうして、北上技師はこの日から部下の若い技師たちと相談して新型巡洋艦の設計、建造に取り組むこととなった。


 ちなみに、台湾というのは、基隆にある台湾支社の方である。現在台湾支社では、台湾海上警備隊の創設のための準備が行われていた。


 この台湾海上警備隊というのは、この時期増えつつあった中国からの密入国者と密輸物資を摘発するために立ち上げられた警察組織で、その巡視船を亜細亜造船が建造中なのだ。もちろん元となっているのは「流星」級だ。そして、この組織も有事には日本軍に協力する準軍事組織である。


 中華民国ではこの時期政情が不安定で、職をもとめて台湾、満洲に流入する人間が多い。加えて、日本などへのアヘンの供給基地ともなりつつあり、それらが日本などに持ち込まれていた。日本としてはそれを断ち切る必要があった。もちろん、それらの任務には義勇海軍も、満洲海辺警察も加わっている。


 それはそうとして、北上技師は数日間、徹底的に「夕張」の概観図を研究した。


 「夕張」は平賀中将の設計した艦の中でも有名な艦である。3000t程度の船体に、5500t級軽巡に近い武装を施したのだ。その秘密は、全ての武装を中心線上に集めた点にあった。


 武装を中心線上に集めたことで、武装による重心の分散が避けられ、コンパクト化が可能となったのである。もちろん、デメリットもあるが、この時点ではメリットがデメリットを大きく上回っていた。


 北上は、ここに注目した。


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