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満州防衛体制

 建国直後から、満州国軍では日本から軍事顧問を招いて、軍の建設に力をいれていた。


 一時期、日本陸軍内部では、関東軍の大規模な増強を画策する派閥もあったが、それでは満州国をせっかくここまで独立国として対外的に見立ててきた努力が水の泡になる可能性があった。


 結局、この案は満州国が自国軍隊の整備完了までの5年間のみ、自国権益と邦人保護のために、現在展開中の戦力にさらに2万名の増員を認めるという相互協定が結ばれることで決着した。


 実際には、さらに軍事顧問団という名目でプラス1万名が送られている。


 さて、そんな満州国軍が軍の整備を急いだ理由が、隣接する中華民国とソ連の動きであった。


 蒋介石が満州事変後から共産党への攻撃を緩め,満洲から脱出した張学良と共に満洲帝国の打倒を狙っているという噂がまことしやかに流れていたのだ。


 さいわい、建国から1年半の間は特に何もなかった。これは幸運というべきだった。なぜなら、建国当初の満州国軍はそれまで満州内にいた馬賊や軍閥の集まり的な面が強く、加えて質的・量的な面でも圧倒的に中華民国軍に対して劣っていたからだ。


 また北で国境を接するソ連も、革命後の混乱を抜けて極東方面の軍備を増強していた。特に陸軍力と空軍力の増強は、満州国にとって悪夢であった。それほどまでに、建国時の満州国の戦力は心許なかった。


 そんなわけで満州国は建国直後から、海外の顧問団を招聘したが、一部に英国人が混じった以外はほとんど日本からの顧問団だった。この時期独逸、アメリカは中華民国との関係が強かったし、フランスは不介入方針であったからだ。


 ただし、この英国からの軍事顧問団も昭和10年までに全て撤退している。ヨーロッパでの独逸の動きがきな臭くなったからだ。


 ちなみに、この時期満州国は積極的な海外企業の誘致を行ったが、結局誘致できたのは独逸のポルシェ社の子会社と英国のロールスロイス社の子会社のみであった。この時期,満洲の治安はあまり良好ではなかったために、海外の会社から嫌がられてしまった。


 そのため、積極的に進出したのは日本企業だけであった。


 なお満洲での外国系企業が増えるのは、皮肉にも独逸のユダヤ排斥による、ユダヤ人移民とその資本の流入が進んでからのこととなった。


 さて、そんな中。満洲国では海軍の整備も行っていた。主力は、ソ連との国境である黒龍江を守る河川艦隊で、多数の新鋭艦が建造された。ちなみに、この艦隊は河が凍る時期には乗員は陸戦隊として陸に上がるという面白い艦隊であった。そういうわけか、後にこの江防艦隊は陸軍に吸収され、江防軍となっている。


 一方,外洋艦隊はもともと領海が少ないことと、義勇海軍がその任務の多くを担っているため、積極的な整備は進められなかった。代わりに、司法権を持つ沿岸警備隊的な色合いが濃い海辺警察の整備が行われた。これには、日本から750t級旧式駆逐艦の「樫」級1隻が供与された。また、日本海軍から少数の軍事顧問もやって来ている。


 ちなみに、実際のところ海辺警察の規模は義勇艦隊よりも小さかった。そのため、海辺警察で整備されたのは人のみで、艦艇の整備は上記の1隻と少数の小型船に留まった。事実、海辺警察の人間が出向という形で義勇艦隊に乗り込み,共同で国境警備や漁業保護の任務に就く事もあった。


 そのため、海の守りは正規軍ではない義勇軍が担うと言う近代国家的には何ともおかしな状態となってしまった。


 こうして、満洲の防衛体制は強化されていったが、その満州国を震撼させる情報が、昭和8年に入ってきた。それは、蒋介石がアメリカやドイツ、ソ連から武器を購入し陸海空軍の早期整備を行い、満州国への侵攻を行うという物であった。


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