2、先輩との、出会い
初めて先輩と話したのは去年の夏、予備校の食堂だった。
先輩の友達が、私が友達と話しているところに話しかけてきたのが始まり。
「ねえ見て!これすごくない?」
ー誰だこいつ…?なんか話しかけてきたぞ。
「え、何なに?」
私の友達の山崎さんは思いのほか友好的な態度で食いついている…。
私ものっておこう…。
「これ!」
その人が嬉々として見せてきたのはレシート。合計金額がぞろ目になったものだった。
「すごっ!」
私は素直な感想を述べた。ぞろ目なんて初めてみた…。
どうやらその人の名前は子安というらしい。(私はこのとき見かけでその人が同い年か年下だと思っていたためタメ口だった。先輩だと気づくのはもう少し先になる。)
「でしょ!? これもなんだよね」
そういって彼は何枚かレシートを取り出した。
実に楽しそうである。
「へー…すごいなぁ…」
私と子安さんと山崎さんのテンションが上がっている中で私と目も合わせようとしない背の高い男子、それが先輩だった。
ーなんかこの人、私のこと興味なさすぎな気がする…。
ある程度はテンションが上がっているような感じで少しの会話はあるものの何か壁を感じた。
私は何故かこの人と付き合う気がした。が、流石にそれはないかという位に接点は薄いものであった。