赤いペイントゲーム
わたしはその小さな役目を終えると、最短距離で<羽を休める場所>に帰りたいと思った。
――ガー…キュィンキュ…ピー
波状の音を受け止めると瞬時に、わたしの中に入り込んでいる生物に理解できるよう訳しなおす。
「リーダーから各員へ…遅い夕食を楽しんでくれ、以上――」
盗み見た生物の顔が綻んでいる。
それほど劇的ではなかったが、成果が上々だったからなのだろうか?
いつもながらに赤い斑点を体中に浴びた生物が、わたしの砲塔が火を噴くたびに作り上げられた。
その中でもとりわけ記憶に残っているのは、移動する大きい生物を中心角に置いた、同方向にひろがる扇形の森を把握した場面だ。
空母で眠った振りをしていたわたし。その付近を、懐中電灯を片手に歩く生物達から噂は耳にしていた。
どうやら親戚の誰かが爆弾をこの辺りに投下したらしいのだ。
人工的に作られたであろう扇形を見て合致した。ここだ! と。
砲塔が動き出すのを感じて生物に身を委ねる。操られているのだから仕方がない。
『逃がすものか――テロリストの系列めッ!』
視線が合った気がした。
大きい生物とは比べようのない小さな小さな生き物と。
わたしは小さい生物を見つめ、ソレはわたしを見つめた。そんな気がした。
きっと大きい生物の持ち方が悪かったのだろう、空中に踊りあがる小さい生物の姿がくっきりと映りこんでいる。それも赤い斑点を刻み込みながら。
「育児休暇、取れるかな?」
逐一記録された録画というモノを思い起こしていた中で、生物がわたしの透けた部位を仰ぎみて言った。
見当違いの方向を見ているぞ、とわたしは生物に叫びたかった――真横には、数時間後に地平線に没しるであろう夕日の姿があった。
あなた達には生産の限界があるはずだ!
今のうちにこの風景を記録に残しておくべきだ!
わたしの熱意が伝わったのか定かではないが、生物の視線が左へと動いた。
「この戦争が終われば…きっと……」
戦争とはどういうことなのだろう? わたしはその単語をいまだに理解できないでいる
――ピィーン…ガー
気がついたときには、短い電子音を選んで発していた。意思疎通が出来るわけでもないのに。
しかし、この時ばかりはこちらの誘いに応じなかったのである。
故障か? と、話しかけてはくれなかった。
わたしは知っている――この生物が同じ系統の生物を生みだすということを。
わたしは知っている――親類が産みだされる方が、生物よりも早いということを。
産み(生み)比べをして初めて解かるだろう。あなた達は。
違和感を覚えたときには手遅れだということに。
わたしたち戦闘機が空地を支配する。
これは宣戦布告だ―――
防衛費にもの凄い税金を充てる国があったとして、あなたはその国で働きたいと思いますか? 私は嫌です。
まさに車に乗っている方限定の理屈ですね。ドライブなどで気分転換は出来ますが、特に仕事として使っている方はどうでしょう。ガソリン代がかさみます。結果、車屋のために働いているのではないかと、思ってしまいます。それ以上の稼ぎを得ている方には許容範囲でしょうが。
守るってことは一体どういうことなのでしょう? 争いがあってこそ意味あるモノでしょうか。日々モンモンとしております。