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転生メイドは貞操の危機!

作者: 早桃 氷魚
掲載日:2026/01/25





 エーベルシュタイン公爵家の嫡男、ロルフは、ふわふわの淡い金髪に、青い瞳を持つ、天使のような子どもだった。

 両親も使用人も、誰もがロルフを可愛がったが、ロルフがいちばん懐いたのは、五歳のときに専属メイドとなったクララだ。専属になる前から、クララはどのメイドよりも熱心にロルフの世話をしてくれて、いつもロルフの側にいてくれた。

 優しくて、いつもギュッと抱きしめてくれる。お母様とは違う、もっと甘くてやわらかい感触。

 忙しい両親の代わりにクララがいてくれたから、ロルフは寂しい気持ちを抱えずにすんだ。




 ロルフが六歳のとき、公爵家に一つの変化が訪れた。

 お母様から話を聞いたロルフは、まっさきにクララに伝える。

「クララっ! きいてきいて!」

「お坊ちゃま。廊下を走るのは行儀が悪いですよ?」

「も~! クララ、だめ!」

 クララはときどき、ロルフを他のメイドみたいに「おぼっちゃま」って呼ぶ。

 だいたい、ロルフのマナーが悪いときだ。

「クララはぼくのメイドなんだから、ロルフってよばないとダメなの!」

 そんなワガママをぶつけると、クララがクスクスと笑う。

 四つはなれてるだけなのに、クララは大人みたいで、すごくきれいなんだ。

 クララはロルフの乱れた襟元を整えて、にっこり微笑んだ。

「ふふ。ロルフ様、ですね」

「うん!」

「それで、お話とは?」

「あ、そうだった! ぼくね、おにいちゃんになるんだよ!」

「まあ! ロルフ様がお兄様に?」

「うん! きょう、おかあさまがおしえてくれたんだ! こんど、おとーとか、いもーとが生まれるって!」

「では、ロルフ様は立派なお兄様にならないといけませんね」

 クララはニコニコしながら、ロルフの頭を撫でてくれる。

 本当は、使用人がそんなことをすると、ブレイだって、クララが怒られる。

 だからロルフは、クララが怒られないように、二人きりのときだけ、頭をなでてもらった。

「ロルフ様に、ご兄弟が誕生するなんて……」

 クララは、しみじみとつぶやく。

 あめ色みたいな瞳は、遠くを見ていて、ロルフは首をかしげた。

「クララ?」

「あっ、すみません……ロルフ様は、ずっと一人っ子だと思っていたので」

 そう言ったクララのまなじりに、涙が浮かんでいる。

「どうしたの? だれか、クララをいじめたの?」

「いいえ。ロルフ様のご家族をお守りできたことで、まさか、新しい命が……っ」

 クララは声を震わせる。

 でも、泣いているのに、笑顔なんだ。

(どうして?)

 ロルフにはよく分からない。でも、クララは喜んでるみたいだった。

「本当によかったですっ」

「クララ……ぼく、いいおにいちゃんに、なるから!」

「まあ! ロルフ様ったら、何てお優しいのでしょう!」

 クララが、ぎゅっと抱きしめてくれる。

 良い兄になると、クララが喜んでくれるらしい。

「ぼく、いいおにいちゃんになって……クララのことも、まもるからね?」

「っ! 天使だわっ!」

 クララが感激の声を上げ、満面の笑顔でロルフを見つめる。

 大好きだって言われてる気がして、ロルフも嬉しくなった。

「だいすき、クララ」

 ロルフがニッコリ笑うと、クララがまたぎゅうっと抱きしめてくれた。




(終わり)




お読みいただき、ありがとうございます!


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お話を書くモチベーションが爆上がりしますヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪


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