転生メイドは貞操の危機!
エーベルシュタイン公爵家の嫡男、ロルフは、ふわふわの淡い金髪に、青い瞳を持つ、天使のような子どもだった。
両親も使用人も、誰もがロルフを可愛がったが、ロルフがいちばん懐いたのは、五歳のときに専属メイドとなったクララだ。専属になる前から、クララはどのメイドよりも熱心にロルフの世話をしてくれて、いつもロルフの側にいてくれた。
優しくて、いつもギュッと抱きしめてくれる。お母様とは違う、もっと甘くてやわらかい感触。
忙しい両親の代わりにクララがいてくれたから、ロルフは寂しい気持ちを抱えずにすんだ。
ロルフが六歳のとき、公爵家に一つの変化が訪れた。
お母様から話を聞いたロルフは、まっさきにクララに伝える。
「クララっ! きいてきいて!」
「お坊ちゃま。廊下を走るのは行儀が悪いですよ?」
「も~! クララ、だめ!」
クララはときどき、ロルフを他のメイドみたいに「おぼっちゃま」って呼ぶ。
だいたい、ロルフのマナーが悪いときだ。
「クララはぼくのメイドなんだから、ロルフってよばないとダメなの!」
そんなワガママをぶつけると、クララがクスクスと笑う。
四つはなれてるだけなのに、クララは大人みたいで、すごくきれいなんだ。
クララはロルフの乱れた襟元を整えて、にっこり微笑んだ。
「ふふ。ロルフ様、ですね」
「うん!」
「それで、お話とは?」
「あ、そうだった! ぼくね、おにいちゃんになるんだよ!」
「まあ! ロルフ様がお兄様に?」
「うん! きょう、おかあさまがおしえてくれたんだ! こんど、おとーとか、いもーとが生まれるって!」
「では、ロルフ様は立派なお兄様にならないといけませんね」
クララはニコニコしながら、ロルフの頭を撫でてくれる。
本当は、使用人がそんなことをすると、ブレイだって、クララが怒られる。
だからロルフは、クララが怒られないように、二人きりのときだけ、頭をなでてもらった。
「ロルフ様に、ご兄弟が誕生するなんて……」
クララは、しみじみとつぶやく。
あめ色みたいな瞳は、遠くを見ていて、ロルフは首をかしげた。
「クララ?」
「あっ、すみません……ロルフ様は、ずっと一人っ子だと思っていたので」
そう言ったクララのまなじりに、涙が浮かんでいる。
「どうしたの? だれか、クララをいじめたの?」
「いいえ。ロルフ様のご家族をお守りできたことで、まさか、新しい命が……っ」
クララは声を震わせる。
でも、泣いているのに、笑顔なんだ。
(どうして?)
ロルフにはよく分からない。でも、クララは喜んでるみたいだった。
「本当によかったですっ」
「クララ……ぼく、いいおにいちゃんに、なるから!」
「まあ! ロルフ様ったら、何てお優しいのでしょう!」
クララが、ぎゅっと抱きしめてくれる。
良い兄になると、クララが喜んでくれるらしい。
「ぼく、いいおにいちゃんになって……クララのことも、まもるからね?」
「っ! 天使だわっ!」
クララが感激の声を上げ、満面の笑顔でロルフを見つめる。
大好きだって言われてる気がして、ロルフも嬉しくなった。
「だいすき、クララ」
ロルフがニッコリ笑うと、クララがまたぎゅうっと抱きしめてくれた。
(終わり)
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