第7話『あかりだけが、違う ― 輪郭視が示す特別な反応』
女子たちが“二重化”したあの瞬間。
教室の空気が一気におかしくなったのを、僕は確かに感じた。
でも――
ただ一人だけ、全く違う反応を示した女子がいる。
そう、
幼なじみのあかりだ。
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あかりの輪郭を見た瞬間
「ゆーと? なんか顔色悪くない?」
心配そうに近づくあかり。
その声は優しい。
でも僕の視界には、それとは“別のもの”が現れていた。
(……え……? なにこれ……)
あかりを見た瞬間、
輪郭視が勝手にONになった。
制御できない。
急激に視界が吸い寄せられる。
そして、他の女子とは違う異変が起きた。
あかりだけ、輪郭が“発光”する
輪郭がズレない。
二重化もしない。
霧も濃くならない。
ただ――
薄い金色の光を帯びて、呼吸に合わせて脈動していた。
(なんだよ……これ……
他の女子は輪郭がズレたり、裏の顔が見えたりしたのに……
あかりだけ……光ってる……?)
心臓が鳴る。
怖いとかじゃない。
直感が警鐘を鳴らしている。
“これは普通じゃない。
あかりだけは、別の存在だ。”
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. そして、さらなる現象
「あのさ……悠斗? なんか変だよ?」
あかりが手を伸ばした。
その瞬間。
輪郭の光が、僕の視界の中で“形を変えた”。
まるで、あかりの身体から出た“何か”が僕に触れようと伸びてきたように。
(えっ……なにこれ……!
触れる……?)
そして――
あかりの“瞳だけ”が、かすかに見えた
ほかの女性は全員、霧で瞳が見えない。
母も、先生も、他の女子も。
なのに――
あかりの瞳だけは、一瞬だけ霧が薄れた。
その奥に、人間らしい温度と感情が見えた。
(……見えた……?
なんで……?
なんであかりだけ……?)
感動か、混乱か、理性の崩壊か。
感情が一気に押し寄せて喉がつまる。
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. あかりの身体が“反応している”
その直後。
光の輪郭が、あかりの胸元から腰、脚へと脈動していく。
身体ラインが強調されるどころではない。
彼女の周囲の空間そのものが、淡く揺らぎはじめた。
「あ、あれ……? なんか、あったか……い……」
あかり自身も気づき始めた。
胸に手を当て、顔を赤らめる。
(やばいやばいやばい……!
なにこれ……俺の能力の影響?
それとも、あかり自身が……?)
理性が完全に煽られる。
喉が渇く。
頭が熱い。
そのとき――
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三条先生が静かに近づく
「……なるほどね。
やっぱり“彼女”は反応するのね」
教室の後ろで腕を組んだまま、三条先生が言った。
「え……先生……あかりに何か……?」
先生は冷たい声で言う。
「悠斗くん。
あなたの輪郭視は、世界を“二層”に分けて見る力。
でもね……」
そこで言葉を切り、あかりに視線を向ける。
「——あかりさんだけは、その“二層の境界”に触れてしまっているの」
(境界……?
どういう……)
そのとき、あかりが僕の腕を掴んだ。
「ゆうと……なんか……こわい……
でも……離れたくない……」
手が震えている。
僕の輪郭視のせいなのか。
それとも、あかり自身が何かを秘めているのか。
ただ一つ分かるのは――
あかりだけが、この“霧の瞳の世界”で特別な存在だということ。




