第5話『輪郭視の実験、理性ギリギリの挑戦』
放課後、誰もいない教室に戻った僕は、心の中で決意していた。
(……もしかして、俺、この輪郭視を“意識的に制御”できるんじゃ……?)
昨日、保健室での理性ギリギリ状態を経験し、
「あ、見る/見ないを自分で選べれば……」と思ったのだ。
深呼吸。目を閉じる。
頭の中で強くイメージする。
「よし……見ない……見ない……見ない……」
目を開けると、まず目の前のあかりの輪郭が少し柔らかくなった気がする。
心臓が跳ねる。
(……効いてる? ほんとに?)
次に三条先生。
瞳は霧のまま、口元の笑みも健在。
しかし、輪郭の強調が明らかに弱くなっている。
「あ……なんか……できてるかも……」
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勇気を出して、あかりの身体の輪郭を完全に“抑えるイメージ”で集中してみる。
(……よし、輪郭消えろ……!)
すると、奇妙なことに、輪郭がだんだん自然になり、制服のラインも普通に見えるようになった。
目の前のあかりは、ただのクラスメイトに戻った。
「……す、すごい……俺、やればできる……!」
しかし、喜びも束の間。
頭の中に、下半身からくる理性ギリギリの警告信号が残っている。
(……危ねぇ……でも……この感覚、面白い……!)
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試しに廊下の空間、遠くの人影にも目を向けてみる。
輪郭視を意識的に“強める/弱める”ことができる感覚が、確かにある。
「なるほど……こうやってコントロールすれば……!」
しかし、同時に気づく。
輪郭視は自分の意識と連動している。
感情や理性が乱れると、勝手に暴走する可能性もある。
(……これ、暴走したら昨日みたいに完全にアウトだ……)
軽く身震いしつつ、僕は小さなノートに今日の観察結果を書き留めた。
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三条先生の姿も気になった。
彼女は少し距離を置き、僕の様子を冷静に見ている。
「……ふふ、やっぱり悠斗くん、感覚をつかみ始めたみたいね」
(……やっぱり知ってる……)
不安と興奮が混ざる中、僕は次の決断をする。
(よし……放課後はこの“輪郭視コントロール”の実験を続けてみよう。
危険かもしれないけど、やらなきゃ真実は掴めない……!)




