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第3話『保健室パニックと理性ギリギリの輪郭視』



 学校の廊下を歩く僕の心臓は、朝からもう限界に近かった。

 理由は単純だ。昨日の朝、母さんの瞳が霧に覆われ、今日、あかりも輪郭視の被害を受けたからだ。


(精神力の消耗がやばい……

 授業中も目を合わせられない……いや、合わせるどころか輪郭が強調されすぎて理性がヤバい……)


 ついに我慢できず、手を挙げて保健室へ向かうことにした。



---


 保健室の前に立ち、深呼吸。

 ノックして、扉を開ける。


「失礼します……」


 入った瞬間、僕はまた固まった。


 三条先生(女性・30代)が座っている机の前。

 例によって瞳は霧に覆われ、表情が読めない。

 だが輪郭視の効果で、体のラインはまるで光っているかのように強調されている。


(うわ……理性、ギリギリ……!

 下半身が……危ない……!)


 深呼吸で目をそらそうとするが、輪郭視は全力で僕の理性を攻撃してくる。

 距離が近いだけでなく、笑顔の口元は鮮明。

 瞳は霧。

 このアンバランスさが、さらに精神を追い詰める。


「あ、悠斗くん? どうしたの、顔赤いわよ?」


 近づかれるたび、理性は爆発寸前。


「い、いや、これは……その……!」


 言い訳は全く通じない。

 頭の中で叫ぶ。


(見たくて見てるわけじゃない!

 世界が勝手に見せてくるんだ!)



---


 そこへ、息を切らしたあかりが駆け込んでくる。


「悠斗、大丈夫!?」


(なんで来た!?)

 心の中で叫ぶも、あかりは無邪気に僕の肩に手を置く。


「変だよ? なんか見えてるんじゃない?」


 瞳は霧、輪郭視は最大級。

 体勢を立て直そうとした僕の理性は、下半身まで暴走寸前だ。


「ち、違う! いやいやいや!」


 三条先生も近づいてきて、二人に囲まれる状況に。


(うわああああああ!!

 完全に理性が限界……!)


 トリプル崩れ落ち。

 保健室のベッドの上に、僕 + あかり + 三条先生がごちゃっと倒れ込む。


「ちょ、先生!?」

「ご、ごめん……ふふ……ちょっと転んじゃった……」


 笑い声まで理性を刺激する。

 もうどうにでもなれ状態だった。



---


 ようやく落ち着いた頃、三条先生がふとつぶやく。


「ねぇ悠斗くん……最近、目がおかしいって感じることない?」


 心臓が跳ねた。


(……え? これって、やっぱり俺のせいじゃない……世界側の異変か?)


 初めて、自分の視覚異常が世界の異変とリンクしている可能性に触れた瞬間だった。




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