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千年竜  作者: ikhisa
序章
6/44

公演団-3

※結構えぐい描写があるのでご注意ください

公演団-3




「ミレリアがさらわれた!」

公演団が騒ぎになった。街中で攫われたので、それを見た住民が公演団に伝えたらしい。団員が手分けをして、ミレリアを探すことになった。

ルシエラが青い顔をしながら、団員が探す場所を、それぞれ地図で割り当てている。リュウはその割り振りを聞く前に、すでに飛び出していた。


・・・・


ミレリアは川沿いの廃屋に連れ込まれていた。口に猿ぐつわを掛けられて声が出せない。体を動かそうとしても、手が背中で縛られて、何もできない。周りの男たちを見ると、以前、舞台裏でミレリアを襲った男がいる。ミレリアは全てを察した。ミレリアはこういった時にどうすればいいのかを考える。・・・そして、以前聞いた、ルシエラの言葉を思い出した。




「どうしてもね、力が違うからね。逆らうと体力を使い果たして死んじまうのさ。だからね・・・力を抜いて・・・頭を空っぽにして・・・耐えるんだよ。アイツらが・・・飽きるまで・・・」




目を閉じて、ミレリアはルシエラの教えに従う・・・


抵抗をやめたミレリアを見て、男たちが口々に囃し立てた。

「お、こいつ諦めたぜ」

「もう少し抵抗してくれた方が楽しいんだけどな」

「まあいいや、さっさと脱がそうぜ!人魚のアソコってどうなってるんだろうな?」

「横になってる、とか聞いたことあるぜ」

ガハハハッと男たちが野卑た笑い声を挙げた。


ミレリアには、何も聞こえていない。それは一晩中、続いた。










リュウがその廃屋を見つけたのは、すでに明け方だった。中に入ったとき、それを目にした。

何人かの男はすでに飽きてしまって、半裸で雑談をしていた。三人ほどの男が、一人の少女にのしかかっている。少女は虚ろな目をして、こと切れた人形のように動かない。少女はミレリアだった。


リュウの頭の中が真っ白になった。そして昔、父と交わした会話を思い出した。


・・・・


「お父さんはどうやってドラゴンになったの?」

幼いリュウは父親の背中を見て聞いた。

父は思い出すように、言葉を紡いだ。

「昔な・・・仲間に馬鹿にされたんだ。海竜なんて何の役にも立たないだろう、と」

リュウの一族は海を泳ぐ海竜だった。父は続ける。

「それで・・・キレちまってな。その時にどうしてか分からんが、ドラゴンになっていた」

リュウには、普段はとても温厚な父がキレるなんて、信じられなかった。

「その時に、馬鹿にしてきたやつを殺してしまってな・・・それでこんなところまで流れてきちまった。母さんにも苦労を掛けた・・・」

父は後悔するように、噛みしめていった。

「お前も気を付けろよ、リュウ。俺たちドラゴンが何にキレるかは、キレるまで自分でも分からない」


・・・・


「コロス!!!!!!」

リュウはブチ切れた。


リュウはドラゴンだった。







乱痴気騒ぎをしていた男たちの目の前に突如として、クマのような大きさのドラゴンが出現した。ドラゴンは爪を振り上げると、雑談をしていた男たちを一瞬で血まみれの肉塊へと変えた。ドラゴンはそのままミレリアの周りにいた男たちに向かっていく。男たちは着るものも着ず、裸足で逃げ出した。ドラゴンはそんな男たちを容赦することなく、背中から襲う。逃げ切った一人を除いて、男たちは皆、死体になった。



全てが終わり、人型へと戻ったリュウは、頭が真っ白になったまま、全ての機能を停止したかのように膝を付いて止まった。



近くに来ていたルシエラ達は、悲鳴を聞きつけて廃屋までやってきた。ルシエラは血まみれになった廃屋の光景に青ざめながらも、目の片隅に移ったミレリアを見つけると急いで駆けつけた。息があることを確認して安心すると、持っていた毛布でミレリアを包み、泣きながら抱きしめた。

「頑張ったね、ミレリア・・・アンタはよく耐えた。偉いよ、ホントに・・・よく・・・」


他の団員達もやってきた。凄惨な光景に、膝を付いて止まっているリュウ、ミレリアとそれを抱きしめるルシエラ。どうしていいか分からず、皆は呆然とその光景を見つめていた。



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