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千年竜  作者: ikhisa
終章
39/46

終章の序章-1

 ヴォルスとの激戦を終えて、大きな怪我を負っていたリュウは、しばらくの間、意識が無くなっていた。三週間ほどして、ようやくベットから目覚めた。

 頭がボーっとしている。リュウはテントの中にいた。周りには、誰も居ない。


 リュウは、自分の手を見つめる。ヴォルスを喰った感触が残っている気がした。


 リュウは、感情の無い目で、空間を見つめる。少しづつ、頭がはっきりとしてきた。

(ようやく、ここまで来たのか……これでやっと、ミレリアの元へ行ける。長かった)


 1000年を越えて来てからの、今までの旅路を、リュウは回想していく。


 最初にヴォルスとルネに助られた。そして戦場に行き、オルドロスとミレリアの戦いを見て、自分の無力さを知った。リュウの胸に刺さった、ルシエラの言葉。それと現実を見て、リュウは力を渇望するようになった。

 次にフローゼの元で魔術を学んだ。反魂の研究に嫌悪感を抱いて、彼女を裏切って、喰った。

 アルベストのところには、招待されていった。初めての決闘で勝ち、彼を喰った。

 ヴォルスとは親友になった。互いに約束をして決闘をした。それで勝って、彼を喰った。


 ……あれ……?


 フローゼ

 今思い返せば、魔術のこと以外にも色々と話しをしていた。もっと彼女と向かい合えば、もしかしたら、もっと楽しい時間もあったかもしれない。


 アルベスト

 弱点を探すための会話だったけど、それでも彼との会話は面白かった。もっと色々な話を聞きたかった気がする。


 オルドロス

 一方的に嫌っていたけど、よく考えたらあんまり喋ったこと無かった。一度、ちゃんと話してみるべきだったかも。


 ヴォルス

 親友になった。初めてできた親友だった。あんなに心から楽しかった時間はもうないだろうな。




 ……あれ……?おかしいな…………変だな……




 俺…………




 なんで




 あの人たちを、喰ったんだろう…………





 人は罪を犯すとき、

 それが罪だと気が付いていない

 終わってから、それが罪だと気が付くのだ

 気が付かずに罪を犯し続けると

 それは自分の後ろに負債として残り続ける

 そして、気が付いて振り返ったときに、それに直面することになるのだ

 積み上げられてきた罪、その濁流に


 リュウは振り返った。

「喰うとは、喰われる側ももちろんだが、喰う方にも覚悟が必要なのだよ」

 濁流に飲み込まれる瞬間、アルベストが言った言葉が、リュウの脳裏によぎった……


 何かが、リュウの思考リソースを喰いつくした。リュウは、その機能を、停止した。


 リュウは、無表情のまま、その演算の片隅で、自分が何をすべきだったのかを考える。

 俺は……俺は……俺は……

 俺は……俺は……俺は……

 俺は……俺は……俺は……

 そうだ……

 俺は……ミレリアへ会いに、行かないと……

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