伝説の儀式
広い草原で二人の男が向かい合っている。リュウとヴォルスだ。広い草原は、多くのドラゴン達によって埋め尽くされている。リュウと共に来た岩竜も居るし、飛竜たちも居る。いつものように酒も売られ、賭場も開かれている。いつも通りの、ドラゴン達の決闘の場。いつも通りの、神聖なる儀式の場。
あれからリュウとヴォルスは、二人で話し合った。そして決まった。決闘でリュウが勝てば、ミレリアの元へ行ける。ヴォルスが勝てば、ミレリアと戦う。これで恨みっこなし、と言う約束になった。
腕を組みをしたヴォルスが、向かい合っているリュウに、言う。
「俺とお前、どちらが勝つのか、俺にも全くわからない。だから今のうちに言っておく」
ヴォルスが腕組みを解いて、前傾姿勢を取りながら、続ける。
「最後に、お前を喰うのが俺で、良かったぜ!」
リュウも構えながら、笑って言う。
「どっちが勝つか分からない、とか言いながら、勝つ気満々じゃんか!」
一瞬の間の後、二人が同時にドラゴンに変化した。
ヴォルス
飛竜たち一族の長。その姿は、巨大な青い飛竜
リュウ
1000年を越えて来た男。その姿は、天翔ける青い海竜。
その両者の体躯、かつての竜王、ウロボロスをすら凌駕する。
二人は凄まじい勢いで飛び立った。これから熾烈な戦いが始まる。
観客のドラゴン達は、何1つとして見逃すまいと、二頭の青いドラゴンを、その瞼に焼き付ける。
「凄いなーあの二人……」
「ああ、凄いよな……」
観客が呟きながら、その熾烈な攻防を見つめる。
「でも、なんだろうな?凄い楽しそうだよな」
誰かが、そう呟いた。それに同意する者も居る。
「ああ。あんなに楽しそうに殺し合うドラゴンなんて、初めて見たよ……」
その戦いは、遠くからでも見ることが出来た。巨大なドラゴン達の、熾烈で楽しそうな戦い。リュウの水隗が、太陽の光を反射して、宝石のように輝いている。
ドラゴン達だけではない。帝都の小高い丘からも、眺めている人たちも居る。多くの人たちの記憶に残るであろう戦い。
観ている者は皆、確信している。これは千年語り継がれるであろう、伝説の決闘、伝説の儀式なのだと……
その戦いは、三日三晩続いた。凄まじい戦い、凄まじい殺し合い、でも、どこか楽しそうな時間。
決着の後、そこに立っていたのは、リュウだった。




