青き飛竜ヴォルス
リュウはヴォルスと会うことに決めた。アルベストからの引き継ぎの一環として行った貴族との会談の内容のほとんどは、ドラゴン達からの侵攻に対する自身の領土の保全の願い。それは詰まるところ、ヴォルスとの仲介を意味したからだ。
リュウ個人としても、ヴォルスには会いたかった。このままではヴォルスとミレリアと衝突するということが、目に見えているからだ。
ハスキルの手筈によって、ヴォルスの元へ向かうことになった。単独ではない、岩竜達一族を伴っての出発となる。アルベストを引き継いだリュウは、既に一人のドラゴンという立場ではない。彼らを率いて、戦場に出なければならない。
ヴォルス達は、帝都の目前まで侵攻を進めており、そこで野営地を築いていた。ドラゴン達を率いたリュウが、そこの合流するように近づいて行く。軍団を野営地の近くに待機させると、リュウが単独で野営地に向かった。
リュウは以前のように、野営地にある一番大きなテントへ向かった。
ヴォルスはいつものように、立ったまま部下と会話をしていた。ヴォルスはリュウに気が付くと、片手を上げて挨拶をしに来た。
「よお!久しぶりだな。色々とこっちでも話題になっているぜ!」
フローゼとアルベストを喰ったリュウの噂は、既に、この野営地でも噂になっていた。
ヴォルスは明るく振舞っているが、内心では驚愕していた。彼は無名であったころのリュウを知っている。リュウが力を渇望するようになったのは知っていたが、まさか、四竜のうち二体を喰うまでに化けるとは、まるで想像していなかった。正直なところ、これからどう接すればいいのか分からず、不安であった。
「久しぶり!相変わらず忙しそうだね。ヴォルス!」
リュウも明るく振舞っていたが、リュウも、ヴォルスとどう接すればいいのか、悩んでいた。なにせヴォルスはオルドロスを喰ってまでしてでも、これからミレリアと戦うのだ。リュウとしては何としても阻止しなければならない。ただ、ヴォルスはリュウにとっては世話になった恩人であり、自分に向き合ってくれた兄貴分であった。戦う、戦わない以前に、戦いたくなどないのだ。
二人は二人きりの空間で、事務作業的なやり取りを終えると、喋ることが無くなり、黙ってしまった。沈黙がその場を支配している。
気まずい……
二人とも、互いにチラリを視線をやっては、それを逸らす。
駄目だ……何か突破口が必要だ……
「なあ?」とヴォルスが、
「ねえ?」とリュウが、
二人が同時に喋った。こういった時にすることは1つだ。
サシで飲むことになった。




