表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千年竜  作者: ikhisa
第二章
22/46

強襲-1

 着替え終わったフローゼは、部屋でぼーっとしている。何となく、何もする気にならない。

 ぼーっとしていると、フローゼの部屋の扉を、慌ただしく叩く音が聞こえた。フローゼが面倒そうに返事をすると、部下が深刻な表情で報告に来た。

「屋敷が……不死隊に包囲されています。どこかしらから、アシが付いたようです」

 フローゼの頭のモードが切り替わる。窓から外を覗くと、確かに外にそれらしき兵士たちが居る。それも……多い。

 フローゼが眉間にシワを寄せながら考える。

(何故だ……どこからアシが付いた……これほどの兵を動かすのであれば、よほど確信に近い何かが無ければ動けないはず)

 部下が捕まっても、フローゼに繋がる証拠が出ないようにしてあるし、重要任務に当るものには、尾行を巻くように徹底している。重要任務……

 フローゼの頭に思い当たるフシが1つだけ浮かんだ。

(もしかしてリュウのヤツ、わざと尾行を巻かなかったのでは?)



 リュウは焦燥していた。今の状況は既に組みあげられた上に出来たもので、何の変化も起きない。リュウにはチャンスはやってこない。

 なので、静かな水面に石を投げ入れてでも、何かを起こす必要があった。投げ入れた石がどう影響して、どのような波紋を生むのかまでは、分からない。ただ、何か起きるかもしれない。何も持たないリュウにしてみれば、失うものなど何もない。

 裏稼業の重要なポジションにつきつつあるリュウは、ある程度は不死隊からマークされる立場にある。自分が尾行されていることは、分かっていた。

 フローゼには魔術を学んだ恩義があるので、裏切るには良心の呵責があった。ただ、今回の調達材料が、明らかに反魂の研究に関係するものであったことが、今になって行動を起こす引き金になった。

 焦燥と嫌悪が、良心の留め金を弾いたのだ。

 リュウはドラゴンだった。


 

「おのれ……リュウのヤツ、恩を仇で返しやがった!!!」

 フローゼが赤髪を搔きむしりながら叫んだ。フローゼの脳裏に、リュウの顔が浮かぶ。リュウの裏切りに次ぐ裏切りで、フローゼは完全に怒り狂っていた。

 とにかく脱出する必要があった。帝都内に住むフローゼの手下は隠密任務用であり、これほどの武装集団とやりあえるほどの武力は有していない。もはやこの拠点は放棄するしかない。

 フローゼはそのままの恰好で、地下の隠し研究施設からつながる下水道に向かった。あそこからなら都市の外に脱出できる。外まで出たら、ドラゴンに変化して、飛んで逃げてしまえばいい。外に繋がる下水道は、リュウと戦ったあの地下ホールから辿れる。


 フローゼが地下ホールに着いた。その刹那、人の気配を感じた。……誰かが……居る。

 フローゼが目をやると、二人の男がそこにいた。一人は大柄な白い虎のような獣人。もう一人はモグラのような獣人。

 白虎の方がフローゼを指さして言う。

「お前がフローゼだな。神妙に、お縄に着け!」

 フローゼはそれを無視して、再びドラゴンに変化する。さっさと片づけて、逃げなければいけない。白虎も腰の剣を抜きながら、言う。

「……だよな。まあ良いよ。1回、言ってみたかっただけだから」

「だと、思ったよ」

 モグラが一言だけ、突っ込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ