表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千年竜  作者: ikhisa
序章
2/18

リュウとミレリア-2

リュウとミレリア-2



フィルの家に着くと、ミレリアは一階のフィルの部屋があるあたりの、雨戸の掛かった窓を覗き込み始めた。

「居るの?」

と言ってリュウが声を掛けると、「しっ!」と言って、ミレリアが口に人差し指をあてる。リュウもこっそりと窓から部屋を覗き込んだ。フィルと・・・近くに初老の老人が居る。その人が多分、客人の学者なのだろう。

フィルは指先に、魔法で水球を作り始めた・・・が、すぐに壊れてしまった。どうも魔法の勉強らしい。リュウは魔法を見るのは初めてだった。ミレリアを見ると、目をキラキラさせながら、その様子を見ている。なるほど、ミレリアの目的は魔法だったのか。

ミレリアがもっとよく見ようと乗り出す。その瞬間だった。


ガタッ


雨戸を支えていたつっかえ棒が外れて、覗いていたリュウとミレリアが挟まってしまった。物音に驚いて、フィルと学者が同時に窓を振り向く。しまった、バレた・・・

「リュウとミレリアじゃん。二人とも、何してんの?」

フィルが、助かった、という感じを滲ませつつ、二人に言った。


・・・・


ミレリアが指先に水球を作り始める。フィルのようにすぐに壊れずに、綺麗な球体になった。

「ミレリアさんは、筋がいいですね」

客人の学者、名をアルデスという、がミレリアの作った水球を褒めた。

ミレリアは誰も居ない方の壁に顔を向ける。ニヤケ顔をすると、それを隠すために誰も居ない方を見るのは、ミレリアの癖だった。


覗いていたのがバレた時は怒られるかと思ったのだが、特に何も言われなかった。アルデスにしてみれば、やる気のなさそうなフィルに教えるよりは、興味津々で覗き込んでいる二人の方に好感を持ったのだろう。リュウとミレリアはちゃんと玄関から上がり、フィルと一緒に魔法を教えてもらうことになった。


リュウも水球を作ってみたが、中々上手くいかない。フィルみたいに直ぐに壊れてしまう。ミレリアが得意げにリュウに言う。

「こうやって、ちょっとクルクルって回転させると、綺麗な球体になるよ」

ミレリアのアドバイスに従って、少し回転させると、確かに先ほどよりも安定するようになった。

「やった、できた。ありがとう、ミレリア!」

ミレリアはフフーン、という顔をすると、今度は両手の指でそれぞれ水球を作り始めた。ミレリアは器用だ。

それをみたアルデスが言う。

「リュウ君もうまいですね。もしかして、二人とも人間族じゃない?」

ミレリアが言う。

「私はお母さんが人魚で、リュウはお父さんがドラゴンだよ」

それを聞いて、アルデスが一瞬だけ狼狽える。

「ドラゴン、か・・・」

ドラゴン族の凶暴さは有名で、すぐキレることから、他種族からはあまりよく思われていないことが多い。とは言え子供相手に大人げないと思ったのか、アルデスはすぐに気を取り直して言う。

「人魚とドラゴンですか・・・どちらも魔力が高いと言われている種族ですね。お二人の筋が良いのは、それもあるかもしれませんね」

それを聞いて、ミレリアが疑問を口にする。

「なんで人魚とドラゴンは魔力が高いの?」

アルデスは少し笑って言う。

「いい質問ですね。どちらも寿命が長い種族なのが特徴ですね。私は生命力と魔力は同じものではないか?と考えて、それを研究しているんですよ」

リュウはアルデスが言っていることが良く分からない。アルデスが続ける。

「特に人魚は不死と言われていますからね。もしかしたらミレリアさんにも、物凄い魔力があるかもしれませんね」

それを聞いてミレリアが目を輝かせて言う。

「つまり私には、無限のパワーがある、ってこと?」

「そうかもしれませんね」

アルデスが笑った。


その日からアルデスが帰るまで、リュウとミレリアは毎日フィルの家に行って、アルデスに魔法を学んだ。アルデスは最終日に一冊の本をミレリアに渡して言った。

「よかったら読んでみて下さい。私の書いた本です」

リュウとミレリアは、書いてある字は分からなくても、夢中になってむさぼるように読んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ