四竜-1
四竜-1
リュウはヴォルスを尋ねた。ヴォルスは征服した都市の議事堂に、仕事の場を移していた。この都市を征服の拠点にするつもりでいるようだ。リュウはヴォルスに話しかける。
「どこかで、お時間のほうを、頂けませんか?」
ヴォルスは書類からリュウに目を移す。どこか以前とは雰囲気が違う。仕事は押しているが、何となくリュウの話を聞いてみるべきだと思った。
「なんだ?それほど時間は取れないが、今なら大丈夫だ」
ヴォルスは指を組んで、肘を机にかけながら、リュウを見つめた。リュウは聞いた。
「貴方やオルドロスのように強くなるにはどうすればいいんでしょうか?」
リュウは疑問に思っていた。ドラゴン達には個体差がある。特にヴォルスやオルドロスは飛びぬけて大きい。これが先天的なものなのか、後天的なものなのかを確認したかった。もしも後天的なものであれば、リュウにも同じことが出来るかもしれない。
ヴォルスはしばらくの間、リュウを見つめていた。
「喰うんだ・・・」
リュウが聞き返す。
「喰う?とは?」
ヴォルスは表情を変えずに言う。
「他のドラゴン達を喰うんだ。俺も、オルドロスもそうやって強くなってきた。ドラゴンは、他のドラゴンから奪って、強くなるんだ・・・」
流石に想像していなかった答えに、リュウは驚いた。他のドラゴンを喰う・・・のか。ふと周りを見回すと、話を聞いていた周りのドラゴン達も、ヴォルスと同様の目でリュウを見つめている。そして理解した。
そうか・・・これが、ドラゴンか・・・
だったら、俺も・・・そう思って手を握りしめた瞬間、ヴォルスが口を開いた。
「・・・だが、今は駄目だ。ドラゴン同士の戦いは禁じている。俺とオルドロス、フローゼ、アルベストで協定を組んで、それぞれの管轄下のドラゴンを見張っている。俺の管轄下で戦った奴は、俺が殺す。リュウ、お前であっても例外ではない。お前が戦ったら、俺がお前を殺す。これは、ルールだ」
ヴォルスがそのままの表情で、だが絶対的に言った。
「・・・まあ、そうでもしないと、ドラゴン同士で足を引っ張りあって、全然連帯しないからな。ドラゴンは力で押さえつけるしかない」
ヴォルスが緊張を解くように、くだけて言った。周りのドラゴン達も、少しほっとしたように、散っていった。ヴォルスが続ける。
「ドラゴン達はすぐにキレる。だが、ドラゴンにだって日常生活があるから、キレる方も、キレられるほうも困る。だから強いやつに、自分も相手も止めてもらう。・・・まあ、そういうのの、積み重ねの結果だな」
リュウは状況を理解した。どのみちヴォルスに勝てる見込みなどないので、この方法を取ることは出来そうもない。ではどうするべきか・・・。リュウはその場で考えこんだ。それを見てヴォルスが提案した。
「強くなりたい、と言ったな。ドラゴンが強くなりたがるのは、本能みたいなもんだ。別に悪いことじゃない。ただ、喰うのは、駄目だ。・・・だから、強くなるなら別の方法にしてくれ。例えば・・・魔術なんかどうだ?ミレリアだって強いのは魔術のおかげだ」
魔術?そういえば魔術を作ったのはミレリアと書いてあった。リュウは疑問を伝える。
「魔法と魔術って違うんですか?」
ヴォルスは頭を掻きながら答える。
「実は・・・俺もよく分からん。魔術は使っているが、あれは道具を使って何も考えずに使っているから、原理はよく分かっていない」
前の戦闘でオルドロスが撃っていた、弾のようなもの。あれが魔術によるものらしい。ヴォルスは腕を組んで、椅子の背に体重を掛けながら言う。
「その辺に詳しいのはフローゼだ。さっき話した四竜の内の一人。アイツは魔術に詳しい。俺たちの魔術の道具も、アイツから仕入れている」
フローゼ・・・女性だろうか?リュウが聞く。
「フローゼには・・・どうすれば会えるんですか?」
ヴォルスは腕を組んだまま言う。
「アイツは帝国内の都市の屋敷に住んでいる。帝国で仕入れた魔術関連の道具を、密輸出しているんだ」




