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頭の中でレディは殺された  作者: 華矢
一章 容疑者の処刑
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疑心暗鬼

こればかりはサブを救いようがなかった。

まさか、サブがイチカに恨みがあって、あのような悲惨な殺し方をしたなんて現実味が無いが、こんなにボロが出てしまったならどうしようも無い。



「真犯人はサブだと思う人は手を上げろ」



俺の言葉に、ニアとシンは同時に手を上げた。それを見た五郎も慌ててそれに続く。

サブだけが、呆然と立ち尽くしていた。





「よってサブを死刑とする。」




四人は声を合わせて「え?」と、拍子抜けた声を上げた。

だが、俺の意思は固かった。


「当然だろ?罪の償いはするべきだ。それに、イチカ殺人の仕方はあまりにも残酷過ぎだ」



サブは俺の一言に全身を震わせていた。

汗ばんだ額、震える指先に、虚ろな目をしている。

まるで罪の重さを耐えかねているように見て取れる。


俺の声は低く、静かだが目線は一喝するような炎に満ちている。




「サブ。お前の罪は許されない」



「僕じゃない……」サブは小声で呟き、ひれ伏して嗚咽を漏らした。

サブが犯人の筈だ...。確たる証拠は無いが、皆の証言は一致してしまっている。

全員がサブを犯人だと手を挙げているのだ。

だが、心のどこかで少しだけ引っかかるものがあった。

全てを諦めかけたかのようなサブの瞳に俺の勘が惑わされる。

俺はその場にいた訳では無かったから、サブが言う、音がどのような音に聞こえたかは分からない。

少なくとも食事処から音がしたのなら、両隣りの部屋であるシンとニアが気づくだろう。

ニアが偽りを述べる可能性はあっても、シンが偽るなど考えにくい。



だから、真犯人はサブだ。その方が全て収まる。

殺人犯をイマジナリー世界に置いとく事は出来ない。

今夜中に始末しなくてはならなかった。



───そして、イチカへの罪の償いを。




「皆は部屋に戻れ。サブだけ残れ。」



ニアと五郎は素直に部屋に戻った。

シンとサブだけがここに残ったのだ。



「サブさんごめんなさい....でも...サブさんがどうしても怪しく感じちゃって...」



サブは無言でシンに近づき、何かを耳打ちした。

その言葉は聞こえなかったが、シンの動揺は伝わってきた。

死を覚悟した遺言だろうか?でも、無駄な行動は許さない。


「何してんだ!シン部屋にもどってろ!」


「....ごめんなさい。」


シンは小走りに部屋に戻った。

親友が処刑されるのだから当然の反応だろう。


「最後に言い残すことはあるか?」

「僕は無実って事しか言うことは無いよ」

「最後まで容疑を否認するってことだな」


サブの瞳は死を覚悟していた。

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