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Cook Terror

作者: 戯言士

 しいなここみ様主催『華麗なる短編料理企画』参加の一品──ではありません。

 残念ながら概要を満たしていない規格外の……つまり企画外のナニカが出来上がってしまいました……。

『華麗なる短編料理企画』

「小説家になろう」における自主企画だが、こんなものを読んだ影響だろう、無性にカレーが食べたくなってきた。


 というわけでさっそく冷蔵庫の中を覘いてみる。確か以前に奮発して買った牛もも肉がまだ残っているはずだ。


 ……消費期限が10日も前に切れていた。

 だが問題ない。冷凍保存だ。文明の利器万歳である。


 さて、次は野菜。

 冷凍野菜ミックスの使いかけが残っているしこれでいいか。


 ……付け添えに漬物が欲しいな。

 福神漬辺りが定番だろうけど残念ながらそう都合の好い話はない。買った覚えなんてないのだから有ろうはずがないのだ。

 だったらこの際何でもよい。たくわんだろうが奈良漬けだろうが……って、さすがに梅干しってのはないけど。


 納豆発見。

 だけど今は関係ないな。


 ……仕舞おうと思ったけど、消費期限が二週間近く過ぎてるし……。

 一応は発酵食品で保存食、なにも問題はないはずだ。


 ……と思ったけど、やはり早めに食べるべきか。この際だカレーに使ってしまおう。

 多少の抵抗というか違和感はあるけど、実は意外にもいろいろと流用されていたりするのがこの納豆。和え物が定番として知られているが、揚げ物、焼き物、炒め物と加熱料理も存在する。汁物だと納豆汁が有名だ。ならばカレーにだって使ってもよいはず。

 そういえばどこかでそういうメニューがあると聞いた気もするな……。

 よし、投入決定。


 豆腐発見。

 但し(かび)が生えて凄いことになってるけど。

 さすがにこれは処分だな。


 ……と思ったけど、そういえば最近読んだ作品に毛豆腐(マオドウフー)なる物の存在が。確か明の洪武帝朱元璋の逸話で知られる食品。ならば食べられないということはないはず。

 取り敢えず火さえ通しておけば大丈夫なはず。未知の食材へのチャレンジだ。

 ということで、投入決定。


 おおっ! らっきょう発見!

 以前に趣味で作った自作の物だから消費期限とかは判らないけど、それでも漬けて一年以内だし問題はない。

 殺菌作用に免疫力アップの効果。これで古い食材を利用する不安もなんのそのだ!


 取り敢えずはこんなところか。

 他の食材といえばあとは玉子が少しばかり。

 投入の誘惑に駆られるがそれは断念。またの機会するべきだろう。

 贅沢は敵だ。



 スーパーにて玉葱とじゃがいもを少しばかり購入。

 それではいよいよ調理開始だ。


 まずは玉葱の皮を剥く。

 そして後悔。

 目に沁みて涙が出てくる。先にじゃがいもの方をやっておくべきだった……。


 玉葱を縦半分に切り、平らな面を下にして芯などを取り除く。そして放射線状のくし切りにする。

 ……ううっ、まだ目が痛い。


 次はじゃがいも。

 皮を剥いて芽を取ったら縦半分に切り、さらに半分に切ってまた半分に。だいたい八等分が目安だけど、まあ実際のところは適当だ。

 今回は男爵とメイクイーンの両方を用意してみた。男爵の溶けてカレーにとろみを与えるところは好きなのだが、煮崩れしづらいメイクイーンの食感もまた捨てがたく、結果両方をと欲張ってみたわけだ。


 切り終わったじゃがいもは暫く水に晒しておくとして、次は牛肉。

 ……と思ったけど冷凍だった……。


 まあ、仕方がない。

 肉をビニール袋に入れボウルに入れる。そしてその上から水道水を流し続ける。

 あまりやりたくはないのだが、時間が惜しい。レンジでも有れば違ったのだが……。



 ──待つこと20分。多分そのくらい。

 肉の状態は……まあ、ほどほどか……。


 それじゃ切るか。

 サイズは……一口大より少し小さめ。大きいと火の通りが不安。だって強引な解凍だしなぁ……。

 塩と胡椒を軽く(まぶ)したら今度こそ準備完了だ。



 鍋に油を引きバター……は無いのでマーガリンを一欠片落とす。

 刻みニンニクなんかも悪くはないと聞くのだが、匂いが苦手なのでこれは使わない。


 弱火でじっくり5分くらい?

 それでは牛肉の投入だ。

 但し炒めるのではなく、表面を焼くためである。肉の旨みが逃げ出さないようにコーティングするのが目的だ。

 解凍の際のことを考えると今さらではあるが、それでもやはり拘りたいのは私自身の性なのであろう。


 表面に焼き色が付いたところで一旦取り出す。

 次はじゃがいも。

 これもやはりやることは同じ。煮崩れ防止のためである。


 それが済んだら玉葱の投入だ。

 玉葱はしっかりと炒める。飴色になるまで念入りに。こうすると香ばしくて深みのある良い味が出てくるのだ。


 冷凍野菜投入。

 冷凍というが気になるので、ここで火力を中火に上げる。


 そして納豆投入。


 豆腐はどのタイミングなのだろう……?

 ええい、よく判らないしここで投入だっ!


 全体に火が通るまで炒め終わったところで──などと思っていたけど、なんだか焦げ付きが気になってきた……。


 一旦火力を弱火に戻し、慌てるように牛肉を投入。全体を混ぜる。

 そして水を入れて煮込み始める。


 ヤバいな。計算が狂ってきたぞ……。


 不安を感じながらもじゃがいもを投入。

 そのまま沸騰するのをじっくりと待つ。


 出てくる灰汁を取り除く。

 だが湧いてくる不安までは取り除けない。


 灰汁の色があまりにも気色悪い。

 いくらなんでもカビた豆腐はさすがに(はや)まったかも知れない……。


 時間の経つこと15分、そろそろルウを入れるタイミングだ。


 一旦火を止め沸騰が収まるのを待つ。

 そして投入。

 ルウは煮立ったままだと溶けづらいのだ。


 再びとろ火。

 不安を誤魔化すように鍋を混ぜる。


 ……しまった。蜂蜜を入れるのを忘れてた。

 まあいいか。

 幸いルウは「林檎と蜂蜜、とろ~り溶けてる♪」なんてCMでやってるやつだし、今さら無くたって変わらない。

 ヒ○キじゃなくても感激だろうそれだ、きっと良い味に仕上がるに決まってる。


 今は亡きあのスターのフレーズのお陰で不安は綺麗に消え去った。

 そして10分。

 とろみが付いたところで出来上がりだ。



 皿に山盛りの米。

 そこに出来立てのカレーをたっぷりとかける。

 そして付け添えのらっきょうを山ほど。

 コップにお茶を注げばいよいよだ。


 ふふっ、なんとも美味そうじゃないか。



 ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻ ◻



 唐突だが、話はここまでとさせてもらう。

 代わりに一言。

 決してマネはしないように。

 エッセイ風に書いておりますが、当作品はあくまでも筆者の妄想から生まれた創作でありフィクションです。事実とは全く関係ありません。

 当然ながら試してはおりませんし、今後もそのつもりはありません。

 だってろくな結果にならないでしょうから……。

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― 新着の感想 ―
カレーなら、たしかに何を混ぜ込んでも食べられそうな気がしますね。 カレーのルーの味にすべて染まってしまいそうです。 ですが、今回の冷蔵庫の中。 けっこう厳しそうです。
一皿いただました。 これ実体験じゃありませんか〜妙に生々しいですぞ(笑)。 見事な料理工程です。 クックパッドなんかいらないぞ。 だけど、ヤベェそうな豆腐と納豆(通常の納豆カレーは美味しいと聞きます…
戯言士さんが果敢にチャレンジして、トイレに駆け込んだのかと思ったΣ(・ω・ノ)ノ
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