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第96話 爪痕

今日はサーラン街でアース音楽団のラストライブの日だ

「ルナ…大丈夫か?」

そう声を掛けてきたのはジャッカルだった

「どういう意味で大丈夫か聞いているのかわからないけれど、精神状態としては全然大丈夫じゃない最悪の気分だよ。でもライブでパフォーマンスが出来るか大丈夫かという意味で聞いているなら絶好調よ。」

「そんな状態で?絶好調?練習もボロボロだったくせに。」

「覚醒したから。」

「…無理するな。別に今回だけ休んでもいいんだから。」

「何を言っているの?絶好調だと言ったでしょう?やるわよ。」

「…別に失敗してもいいけどよ。ステージに立つ覚悟だけはしろよ。腑抜けた姿晒すなよ。」

「任せてよ。私の全てをここに晒すから。そっちこそ私に気圧されて腑抜けな姿晒さないように気をつけてね。」

「そんな大口叩くなら大丈夫か。」

私達はラストライブのステージに立つ

大勢の観客が訪れてきており

サーラン街ほとんどの人達が集まってくれた

「ルナーーーーー!!待ってたぞー!!」

「ルナーーーーーー!!会いたかったーーー!!」

始まる前から大盛り上がりの観客達に私は空気読めない一言を言う

「ねぇ。世の中理不尽だと思わない?」

その言葉で観客達は静まり返る

「何も悪いことしてないのにさ。」

「目の前で人が苦しみながら倒れて。」

「大勢の人間が気絶するまで倒れて。」

「怖かったよね。」

「原因不明であんなことになって。」

「今度は自分が苦しみ倒れることになるかもしれないって。」

「恐怖でパニックになったよね。」

「私も…こわかったです。」

「今でも夢に見る。」

「苦しんで死にかけている騎士の姿を。」

「そして…再認識するんだ。」

「何も出来ない自分の非力さを。」

「女だからって。」

「子供だからって。」

「非力だからって。」

「守ってやるからって。」

「何もするなって。」

「そう言うんだ。」

「そしてそれは正しいんだ。」

「私は何も出来ないんだから。」

「非力なんだから。」

「守ってくれなくちゃ生きていけないんだから。」

「でも…嫌なんですよね。」

「私は守られたくなんかなくて。」

「自分の力で戦いたくて。」

「でも敗北することなんて目に見えてる戦に参加させてくれないから。」

「ここで眺めることしか出来なくて。」

「…わかってるんです。」

「私を守る為にはしょうがないことだったんだって。」

「それでも…私は戦いたかった。」

「傷ついても、死にかけても構わないから。」

「女子供の非力な力でも。」

「勝てなくても。」

「爪痕を残して一矢報いることぐらいは出来るかもしれないから。」

「噛み痕を残すぐらいは出来たかもしれないから。」

「まぁ…私の夢物語なんですけどね。」

「…力が欲しい。」

「私のような人間でも戦える力が欲しい。」

「理不尽だ。」

「理不尽だ。理不尽だ。理不尽だ。理不尽だ。理不尽だ!!!」

「女だからって!!」

「子供だからって!!」

「非力で何も出来ないこの世の中の摂理が大嫌いだ!!」

「ふざけんな!!」

「権力がある人間が嫌いだ!!」

「大きな力でねじ伏せる人間が嫌いだ!!」

「何も出来ない自分が1番大嫌いだ!!!」

「自由にさせろよ。」

「誰にも指図されたくない。」

「だから私は歌うんだ。」

「私の歌だけは。」

「誰にも邪魔されない。」

「私の歌は自由の象徴だから。」

「私の全てだから。」

「私は絶対間違ってない。」

「私は正しくて。」

「狂ってるのは世の中の方だから。」

「バカに権力を持たせるから。」

「バカに武力を持たせるから。」

「世の中おかしくなるんだよ。」

「バーーーーーーーーカ!!!」

「お前らもそう思うだろう?」

「何で毎日真面目に働いてる人間が損して!!」

「バカな権力者と武力者だけが優遇されるのか!!」

「おかしいよなぁ!!」

「絶対にお前らの方が偉いのになぁ!!」

「民衆こそこの国の宝のはずなのになぁ!!」

「モブ人間舐めてんじゃねぇぞ!!」

「非力な人間だって!!」

「この世の中に爪痕を残せるって!!」

「証明させてくれよ!!」

「お前ら全員!!」

「誰1人!!」

「必要ない人間なんていないって!!」

「証明してくれよ!!!」

「声出して!!」

「歌え!!!」

「お前ら全員の声私に届けろおおおおおおお!!!」


私は合図して演奏を始めたと同時に

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

と観客が沸く

地響きのように観客の声が響く

私はその声に負けないように

大声で歌う

気分は最悪

自分の非力さに

嫌気がする

反吐が出る

私に出来るのは

この最悪最低な気持ちを

音楽にのせることだけ

このステージで

大暴れすることだけ

私は叫ぶように歌う

この世界は狂ってると

理不尽だと



演奏が終わり

全力で演奏して

全力で歌った私は

酸欠状態になり

フラフラになりながらステージ裏へと移動した

ステージ裏でホリーと目が合ったので

「どうだった?私のステージ。」

と感想を聞いてみた

「うん。俺は今日のマナが1番イカしてて好きだよ。最高のステージだったよ。誰にも真似できない。マナのステージって感じが良かったよ。」

「…ハハッ。ありがとう。」

こうして私の自己満足だけの

怒りに身を任せたステージを終えた


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