第86話 尊敬してる大先輩
サーラン街で初ライブを終えてファンミーティングが始まる時に
私は初めてリリーと一緒のステージに立てた感動で涙と鼻水が止まらなくなっていて
嗚咽混じりに泣きながらタオルを持ってファンミーティングに行った
「ひっぐ…ひっぐ…私が…尊敬してる…1番大好きなリリーと一緒のステージにっ…やっと立てることが出来て…!!ううううう…嬉しいいいいいい!!うわあああああああああああああああああんんん!!リリーめっちゃかっこよかったああああああああああ!!!」
私に会いにきた観客達は私がタオル持ちながら泣いてる姿をみてみんな笑ってくれた
「よかったねぇ。」
「ルナのピアノ上手くてびっくりしたよ。」
「リリーもきっと喜んでるよ。」
と慰めるようにみんな私の頭を撫でながら励ましてくれた
私がみんなに来てくれてありがとうと感謝を伝えないといけないのに
「ううう…すみません…!!来てくれてありがとうございますううううう!!うわあああああああああああん!!」
感情を抑えられなくて全然ダメダメになってしまった
他のみんなは握手をして対応しているのに
私の列の観客はみんな私の頭を撫でていた
ファンミーティングも終えて宿に帰る前に
リリーが私に抱きついてきたので
また嬉しくて泣いてしまった
体中の水分がなくなるかもしれないと思うほど泣きまくって
目が2倍になるぐらいパンパンに腫れた
宿に戻って氷を用意してくれたので落ち着いてから私は目に氷をのせて冷やした
「ルナがそんなにリリーに肩入れしてるなんて思わなかっよ。」
とジャッカルに言われる
「何言ってんの。リリーはアース音楽団の大エース様じゃない。尊敬してるに決まってる。」
「ライバルとかじゃなくて?」
「そんなおこがましいこと思うわけないじゃん。天と地の差だよ。リリーと私は。」
「そんなことねぇよ。違うベクトルなだけでルナも天下取れる才能持った人間だよ。」
「それジャッカルしか言ってない。」
「カイも言ってる。」
「私の音楽はよくも悪くも狭く深く愛されるんだと思うんだよね。私の客層みてたらなんとなくだけど。万人の人に受ける音楽じゃないんだよ。刺さる人には深く刺さって愛されるけど。それとは違ってリリーは本当に老若男女誰にでも愛される。どこのステージに出しても無敵だ。負ける気がしないよ。だからかっこいいんだ。リリーは。」
「ルナの音楽だって世界一かっこいいよ。ルナの音楽は時代が変わっても長く愛される。ルナの曲は完成度が高いからね。」
「ジャッカルは私のこと買い被りすぎだから。」
「そんなことねぇ。お前が自分を卑下しすぎなんだよ。ルナにはリリーのことをライバルだと思ってくれないと。」
「リリーに敵うわけない。勝とうとも思ってない。リリーには私の前を独走して欲しい。」
「ダメだ。追い抜いて天下取る気持ちでステージに立て。」
「手を抜いたりは一切したことないじゃない。それはわかってるでしょう?」
「わかっているよ。ルナはいつでも全力でステージに立っている。」
「じゃあいいじゃん。私だって覚悟持ってステージ立ってるんだから。」
「覚悟持ってリリーに挑め。お前ならやれる。」
「…もしも本当に形勢逆転したらアース音楽団の仲もぐちゃぐちゃになるんじゃない?」
「知るかよ。そんなこと。仲良しこよしで音楽やってるわけじゃねぇんだろ?」
「それは…そうだけど。」
「ルナの音楽は世界一だ。ルナは何があっても音楽を書き続けるんだ。絶対に。」
「結婚したら引退とか考えるかもしれないけど。」
「そんな結婚許さないからな。」
「なんでジャッカルの許しがいるの?束縛するような男は世界一嫌い。」
「知るかよ。ルナに嫌われても俺は全然構わないからな。ルナに音楽引退なんてさせないからな。」
「…これだから権力者は嫌いなのよ。」
「どうとでも言え。俺達は仲良しこよしでやってんじゃねぇからな。」
「…まぁいいや。今のところ楽しくさせてもらえてるし。権力で束縛してくる最低男のことは一旦忘れてあげる。とても気分がいいから新曲の続きを書こうと思ってたけど萎えた。今日はもう休む。」
「今日のライブは大成功だったから見逃してやるよ。」
そう言ってジャッカルは去って行った
アーマーがこちらに近づいてきて私の頭をいきなり撫で回す
「なっ何!?」
「知らないやつらに頭を撫で回されていただろう?彼氏の俺が撫で回して上書きしてやる。」
謎の理論により私の頭はアーマーに撫で回される
突っ込む気力も怒る気力もないので
されるがままに撫で回された
「上書き完了しましたか?」
私がそう言うと次はぎゅっと抱きしめてきた
「まだだよ。こうやって抱きしめないと観客の中にいたルナに対して下心丸出しの悪い男の念を追い払えないからね。」
「泣き喚いて鼻水だらだらの女に下心なんて湧かないと思うけど。」
「わかってないな。ルナは。泣いている姿なんて男は大好物なんだよ。性的に興奮する材料なんだから。気をつけないといけないよ。」
「めちゃくちゃぶさいくになるのに?」
「好きな女を泣かせたい男はたくさんいるんだよ。」
「アーマーも?」
「そうだよ。」
「こわい…。」
「えっ!?じょ…冗談だよ!?俺は泣き顔に興奮なんかしない!!こわくない!こわくないよ!!」
「本当に…?」
私は涙目で上目遣いをしてアーマーに尋ねる
「ごめんなさい。とても興奮します。今ももっと泣かせたいと思っています。でも健全な男なら誰でも思うんです。許してください。」
「…へんたい。」
「うん…。男はみんな変態なんだ。気をつけるんだよ。人前で泣いたらダメだからね。」
「アーマーの前で泣くのが1番危険だと判断したよ。この変態男。」
「俺だけじゃない!!絶対俺だけじゃねぇから!!人前で涙を見せるな!!わかったか!?」
「そんな滅多に泣かないから大丈夫よ。」
私はアーマーの腕に抱かれながら言う
音楽をやめるなと言われたり
泣くなと言われたり
散々なことを言われた
指図されるのが嫌いだから不快感が募っていた
せっかくリリーと一緒のステージに立てて気分よかったのに
あーぁ本当に最悪
リリーに癒してもらうか
ホリーにケーキ買ってきてもらわないと




